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# 製薬
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レポート
製薬会社別・疾患領域別に捉える製薬市場の動向
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レポート
グローバル製薬業界の特性と評価のポイント
個別発行体評価
ジョンソン・エンド・ジョンソンの概要と投資評価ポイント
本動画では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の事業概要と、クレジット投資評価を解説。
- J&Jは製薬、医療関連機器、その他関連製品の開発、販売を手掛ける多国籍企業。 広範な疾患領域に分散化された医薬品ポートフォリオは業界内でも最大レベルで分散化。さらに医薬品以外の売上も大きく、米国最大の医薬品企業として最も安定した事業モデルを確保。
- FY2023年の総売上は約850億ドル。医薬企業としては世界最大だが、医薬品の製薬会社別売上高で同社は3位。売上の約2/3が医薬品、1/3がメドテック(医療関連機器)。
- FY2023において同社最大の売上高を占めた医薬品は、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬のステラーラ(Stelara)。他社との和解、合意の結果、2024年内はバイオシミラーの販売の阻止に成功したが、2025年以降の増収は期待しにくい。
- 数多くの創薬パイプラインを保有(総保有件数は94件)。特にフェーズⅢと申請段階に数多く創薬パイプラインを抱えており、特許切れによるブロックバスター減収への懸念も解消されやすい。
- 同社は2023~2024年にも数々のM&Aを積極的に実施、医薬ポートフォリオを拡大。直近一年間の中では最も買収額が大きい買収案件はショックウェーブ・メディカル社で、買収総額は約125億米ドル。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」は、FQ2 2023以降、1倍未満と同業他社を大きく下回る水準で推移。同社の返済能力は同業他社に比べ相対的にかなり高い。
- J&Jは、主要格付機関(Moody's、S&P)から最も信用力の高い格付評価(AAA格相当)を受けている。
- 残存10年以下の、社債のスプレッド水準は、米国の財投機関並みの低い水準。AAAクラスの安定性を前提に米国債の代替としての投資を検討しうる投資家には、債券投資の検討対象となり得る。 一方で、米国の財投機関と大差ないスプレッドを民間企業としてどう見るかは検討課題。
個別発行体評価
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(MDY:A2、S&P:A)事業概要と同社のクレジット投資評価
本動画では、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb Co.)(以下「BMS」と表記)の経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[BMSの事業概要]
- BMSのFY2023の売上は3割前後をがん腫瘍、免疫疾患、心臓病がそれぞれ占める構成。精神神経疾患(中核神経)領域における収益力強化に注力。
- 主力商品(ブロックバスター)5つの売上高合計が総売上高の75%以上を占めており、売上上位製品への依存度が高い構造となっている。
これらの商品は、いずれも2024~2030までの間に特許期限が切れる。
- ブロックバスターの収益機会喪失に対応するため、フェーズIIIまでの創薬ポートフォリオを充実化。FY2024Q1にも大型M&Aが3件を完了。
うち、2件はがん腫瘍疾患領域、残りの1件は精神神経疾患領域におけるシェア拡大が目的。
- 主力商品が、インフレ対策法の薬価交渉制度の対象となるなど、さらなる減収要因も。
[BMSの業績/財務状況]
- 直近四半期(FQ2 2024)における売上高は前年度同期より+8%ほどの増収で12,201(百万米ドル)。
Q2の営業利益は、前年度同期より▲10%ほどの減益で、1,559(百万米ドル)となった。なお、Q1の営業損益は大幅な赤字(3件の大型買収に起因)。
- 自己資本比率は大型M&Aの実施に伴い、FQ1 2024に▲14.3ポイントほどの大幅な下落がみられ16.7%まで悪化したが、FQ2 2024には18.0%へやや改善。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」はFQ1 2024にマイナスに転じたのち、直近四半期では2.87倍となった。
- M&Aによって得られた創薬パイプラインの収益化が進めば、有利子負債の圧縮が継続的に行いやすくなり、これらの指標も改善される可能性。
個別発行体評価
バイオジェン(MDY:Baa2、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- バイオジェンはアメリカの医薬品メーカー。FY2023年の総売上は98.3億米ドルで、製薬会社別売上高で売上高20位内には位置していない、独自の専門性を有するバイオ薬メーカー。
- FY2023の総売上の5割弱を「多発性硬化症(中核神経疾病)」の治療薬が占める一方、各2割弱を希少疾患が占める事業構成。
- 主力製品のうち、TysabriやSPINRAZA等の売上高上位の医薬品については、特許権失効は2034-2035年と、まだ十分な時間が残されている。一方で、Tecfideraは特許切れが迫っており、2025年にはヨーロッパでの独占的販売権を失う予定。既にバイオシミラーによる市場シェアの浸食を受けており、今後も引き続き減収が見込まれる。
- バイオジェンの創薬パイプラインの総保有件数は21件と、より上位に位置する製薬企業と比較して案件の保有件数は少ない。ただし、創薬パイプラインの数は、おおむね製薬会社の売上規模に比例することを考えれば、バイオジェンのパイプラインは、必ずしも不充分なものではないと弊社では判断している。
- 過去2年間でも二件のM&Aが完了。従来から同社が得意とする中枢神経領域の地盤を固める一方でより競合製品の少ないニッチな医薬品をM&Aにより早期拡大するという、同社の経営戦略を反映。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、バイオジェンの製品は指定されにくく、同種のリスクは他社より小さい。
- バイオジェンは中核神経領域において最も高い占有率を維持。ただし、主要製品である3製品のFY2023における合計占有率は未だ40%程度を維持するも、過去5年間ではTecfideraの著しい減収により領域内シェアが大きく落ち込む(70%強→ 40%強)。
- 財務構造は、他の製薬会社に比べても頑健。
- 2024年は減収が継続の見込み。ただし、営業利益率はM&A実施直後と比べ大幅に回復。
- バイオジェンの5年債などには充分な投資の効用が存在。20年超の債券も2~3年の保有後に入れ替えを考える場合には効用がある。反面、満期保有を前提とした場合には、超長期にわたり差別化されたビジネスモデルを維持できるかどうかは、不安定性が存在、他銘柄に劣る可能性。
個別発行体評価
アムジェン(MDY:Baa1、S&P:BBB+、Fitch:BBB) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- アムジェンはアメリカのバイオ医薬品メーカー。FY2023年の総売上は約282億米ドルで、グローバル製薬会社の中で売上高では10位前後。
- FY2023の総売上は、3割前後を「一般医薬品(主に骨粗鬆症,心臓病関連)」、「がん腫瘍」がそれぞれ占め、2.5割を「炎症」が占める事業構成。
- FQ2 2024 では前年度同期比で+20.1%の増収、売上高は8,388(百万米ドル)。M&Aで取得した医薬品が増収に大きく貢献。
- 主要医薬品の多くは2030年までに期限が切れる見込み → 一方で、創薬ポートフォリオの拡充目的で実施したM&Aにより創薬パイプラインにはフェーズⅢが多い。
過去2年間でも二件のM&Aが完了。高額な買収費用を拠出することによってパイプラインだけでなく、既に商品化された製品の取得にも積極的に取り組んでいる。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、アムジェンの製品からは免疫疾患領域を適応症とするEnbrelが指定されている。
- 同社のブロックバスターとその特許期限を意識すれば、今後も創薬ポートフォリオの安定化のためにM&Aは継続されやすいとみる。この結果、ただでさえ同業他社比で劣る財務比率はさらに低下する可能性がある。
- 脆弱な財務構造に対し、市場のスプレッドはタイトに評価。
- 単体でみた場合の投資に問題はないが、同業他社比でみれば割高なプライシングがされており、より効率的な製薬社債の投資機会が別に存在しうる、と評価している。
個別発行体評価
ギリアド・サイエンシズ(MDY:A3、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- ギリアドサイエンシズは、アメリカの製薬メーカー。FY2023年の総売上高は271億米ドルで、グローバル製薬会社の中では売上高で15位前後の規模。
- ギリアドは、HIV(AIDS)を含む感染症、がん腫瘍、肝臓病などの疾患領域に強み。特にHIV関連が総売上の7割弱を占めている(HIV薬は、大衆薬とは異なり中長期にわたり安定した収益構造を維持しやすい) 。同社製品で最も高い売上高を獲得したHIV対処薬のはBiktarvyで、FY2023総売上高の44%を占める。特許期限がFY2036まで有効であることから競合品の台頭による収益低下のリスクも小さい。
- ギリアドが提供するHIV対処薬は、治療薬ではない点に注目。HIVは発症時の致死率が高く、投薬が継続される可能性が高い。欧米で患者数が増え続ける中、持続的な売上が維持されやすい。
- ギリアドでは、肝疾患領域でのシェア拡大を目的として、シーマベイ社の買収を完了。Covid対処薬に代わる売上成長と事業分散の強化に向けた施策。
- 同社は薬価交渉制度による薬価引き下げのリスクは小さく、他の米系製薬メーカーと比べても、相対的に頑健なビジネスモデルが維持されやすいと考える。
- 同社では強力な資金創出能力により、M&Aに伴う財務の一時的な劣化をカバーし、健全性を維持している。また、同社は発行体としての相対的に高い信用力評価(MDY:A3、S&P:BBB+)を受けている。S&Pは、財務面では既にA-レベルにあり、収益強化で格上げ可能性とコメント。
- 同社の社債は、製薬業界の中でも独自の頑健なビジネスモデルを維持しやすく、20年超等の債券の長期安定保有にも向くと評価。
個別発行体評価
アッヴィ(MDY:A3、S&P:A-)事業概要と同社のクレジット投資評価
[アッヴィの事業概要]
- アッヴィ(AbbVie Inc.)は免疫疾患、神経科学などの疾患領域に強みをもつ米国の医薬品メーカー
- FY2023年の総売上は543億米ドルで、製薬会社別売上高は4位
- 免疫系医薬品が総売上の約半分(48%)を占める一方で、がん腫瘍、美容系、神経科学系医薬品がそれぞれ各1割前後を占める構成
[アッヴィ製品の特許期限と創薬パイプライン]
- 最大のブロックバスターであったHumiraの特許はFY2023初頭に切れており、今後、2024年の終わりまでにRinvoqも特許切れを迎える予定。
2製品の売上占有率(FY2023)は34%。ただし、同社の創薬パイプラインのフェーズⅢにはRinvoqに関する特許が5件含まれており、Rinvoqの特許期間は実効的に延長される可能性も。
- アッヴィの総保有件数は他企業と比較して多くはないものの、各フェーズに対して20件以上と均等に配分。
- イミュノジェン社(がん腫瘍領域)、セレベル社(精神疾患や神経疾患)の買収により疾患領域を拡大。ただし、M&Aは財務を圧迫。
[決算動向]
- FQ2 2024 における全社ベースの売上高は前年度同期より+597(百万米ドル)伸長し14, 462(百万米ドル)に。
- 特許失効によるHumiraの減収を、Skyrizi、Rinvoqなどの製品の販売増で相殺。
- 結果、営業利益水準も安定維持。
[アッヴィ社債の投資評価]
アナリスト
製薬
アムジェン(MDY:Baa1、S&P:BBB+、Fitch:BBB)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、アムジェン(Amgen Inc.)の、FY2024 Q2までの決算を元に、経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
〇 アムジェンの事業概要 p. 2
①アムジェンの事業概要
②製薬業界におけるアムジェンのビジネスモデルの特性
③アムジェンの主要疾患領域別の事業状況
〇 アムジェンの業績状況 p. 16
- 四半期決算の売上は前年度同期比で大幅な増収。Tepezza、Krystexxa(M&Aで取得した医薬品、希少疾患)などによる収益力改善が主な要因。
〇 アムジェンの財務状況 p. 18
- 自己資本比率はFY2023 Q3以降、M&A費用の計上に伴い、FY2024 Q1には5.4%まで落ち込んだものの、FY2024 Q2には負債の圧縮が進み6.5%となった。
〇 アムジェンの信用格付、及び社債の投資評価 p. 21
投資戦略動画
製薬会社の事業モデルを理解する
この動画では、各製薬会社における主要疾患領域別売り上げ構成比、それぞれの疾患領域別の各社の商品別占有率を確認し、各企業の相対優位性に関する弊社の考え方を示す。
[製薬業界を疾患領域別市場で理解することの重要性]
‐ 製薬会社別市場:製薬業界で一定のプレゼンスを保つ製薬会社の近年の動向を確認することで、市場全体の動きや外部環境からの影響を確認することができる。
‐ 疾患領域別市場:医薬品はそれぞれ適応する疾患領域が異なるため、同水準の売上高が競合関係を示すとは限らない。疾患領域別に捉えることで、実際の競合関係の把握や正確なセグメント内における優位性の可視化が可能となる。
[製薬業界の制度面からの課題]
- 特許権:保護期間を保証する特許権が切れると、競合品が市場に台頭し従来の売上高がリスクに晒される。
- 薬価交渉制度:「メディケア」において支出額の大きい新薬から対象薬を選定し、公定薬価を設ける制度。特許権の保護期間に強制的に薬価を引き下げる制度。
- 製薬会社毎のブロックバスターの売上高の推移、将来性と安定性を確認。
[疾患領域別市場で見る製薬会社のプレゼンス]
- 疾患領域別市場の市場規模の推移や将来性と安定性について確認
- また、各市場で優位性を保っている企業についても確認。
[企業別の創薬モデルの分析例]
ファイザー、アッヴィ、ジョンソンエンドジョンソン、イーライリリー、ブリストルマーヤーズスクイブの5社を取り上げた。
アナリスト
製薬
バイオジェン(MDY:Baa2、S&P:BBB+)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、バイオジェン(Biogen Inc.)の、FY2024 Q1までの決算を元に、経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎ バイオジェンの事業概要 p. 2
i. バイオジェンの事業概要
- FY2023におけるセグメント別売上はおよそ半分を「多発性硬化症」、2割を「希少疾患」、「抗CD20治療」、1割を「バイオシミラー」が占める構成。
- FY2023は多発性硬化治療薬の売上が著しく落ち込んだ。主要治療薬であるTecfideraはバイオシミラー医薬品との競争により売上高は対前年度比で▲29.9%の大幅減収となった。
ii. 製薬業界におけるバイオジェンのビジネスモデルの特性
- バイオジェンは中核神経領域内でも、さらに細胞制御や脊髄性萎縮症という限られた領域で優位性を獲得。
iii. バイオジェンの主要疾患領域別の事業状況
◎ バイオジェンの業績状況 p. 14
- 四半期決算の売上は前年度同期比で減収。その他の項目における大幅な減収に加えて、多発性硬化症とバイオシミラーにおける減収が重なった結果によるもの。
- FY2023の営業損益は前年度から▲53.7%減益の1,612(百万米ドル)。新薬や独自の疾患領域を展開する医薬品の売上が好調であった一方で、多発性硬化症医薬品の減収とM&Aによる買収の影響が目立つ。
◎ バイオジェンの財務状況 p. 16
- 自己資本比率はFY2023 Q2まで順調な右肩上がり。FY2023 Q3 にM&Aの実施に伴い、一時的に落ち込んだもののFY2024 Q1には元の水準の57%台(FY2023 Q2)まで回復。
- 2024年7月に完了した買収の影響により、再び財政状況の悪化が進むと予測。前回のM&Aですでに多くの「現金・現金同等物及びSTI」を切り崩してしまった点を考慮すると、短期的には起債の可能性。中期的には安定した財務運営を優先か。
◎ バイオジェンの信用格付、及び社債の投資評価 p. 19
アナリスト
製薬
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(MDY:A2、S&P:A)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb Co.)(以下「BMS」と表記)の、FY2024Q1までの決算を元に、BMSの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎BMSの事業概要 p. 2
i. BMSの事業概要
- FY2023の売上は3割前後をがん腫瘍、免疫疾患、心臓病がそれぞれ占める構成。精神神経疾患(中核神経)領域における収益力強化に注力。
ii. 製薬業界とBMSの状況
- ブロックバスター5つの売上高合計が総売上高の75%以上を占めており、売上上位製品への依存度が高い構造となっている。
iii. BMSの主要疾患領域別の事業状況
- 疾病領域別にBMSの位置づけを確認。
◎ BMSの業績状況 p. 13
- 直近四半期の営業損益は大幅な赤字。主な要因は3件の大型買収に伴う関連費用の発生である。ただし、大型M&Aの影響を取り除いた場合、税前利益の予測に減少傾向がみられる点に注意。
◎ BMSの財務状況 p. 16
- 自己資本比率はFY2023Q4まで30%前半で安定的であった。しかし、大型M&Aの実施により直近四半期(FY2024Q1)では16.7%まで落ち込んだ。
◎ BMSの信用格付、及び社債の投資評価 p. 19
アナリスト
製薬
ギリアド・サイエンシズ(MDY A3/S&P BBB+)の事業概要と投資評価
本レポートでは、Gilead Sciences.Inc (以下、ギリアド・サイエンシズ)の、FY2024 Q1までの決算を元に、ギリアド・サイエシズの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対する投資評価を行う。
◎ ギリアド・サイエンシズの事業概要 p. 2
- 総売上の7割弱をHIV対処薬、各1割前後をがん腫瘍や肝臓病、Vekluryがそれぞれ占めている。
◎ ギリアド・サイエンシズの業績状況 p. 13
- 四半期決算の売上は対直前期比でやや減少。HIV項目における季節性の減収と、COVID-19蔓延の終息によるVekluryの構造的な減収が主な要因。ただし収益構造に大きな変化は見られない。
◎ ギリアド・サイエンシズの財務状況 p. 15
- 自己資本比率はFY2023Q4の36.6%まで上昇傾向を継続していたが、FY2024Q1には大型M&A実施の影響により31.0%まで▲5.6ポイントの低下。
◎ ギリアド・サイエンシズの信用格付、及び社債の投資評価 p. 18
アナリスト
製薬
アッヴィ(MDY:A3、S&P:A-)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、AbbVie. Corp (以下、アッヴィ)の、FY2023 Q4までの四半期決算を元に、アッヴィの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎ アッヴィの事業概要 p. 2
- アッヴィは、免疫疾患、神経科学、がん腫瘍、美容系、アイケアなどの疾患領域に強みがある医薬品メーカー。
- 主要製薬会社中で売上高4位(FY2023)。
- 総売上のおよそ半分を免疫系医薬品、30%強を神経科学系、がん腫瘍、美容系医薬品が占めている。
◎ アッヴィの業績状況 p.12
- アッヴィのFY2023 Q3-Q4決算:売上高、営業利益は共にFY2023Q3から増収となったものの、対前年比では減収、減益。
◎ アッヴィの財務状況 p.15
- 自己資本比率は前年度同期比で5%ほど減少し7.7%に低下。
- 有利子負債返済の余力指標である「ネット有利子負債/EBTDA倍率」も過去3年間に改善傾向。
◎ アッヴィの信用格付、及び社債の投資評価 p.18
ストラテジー
製薬
製薬会社別・疾患領域別に捉える製薬市場の動向
本レポートでは、各製薬会社の主要疾患領域とそれぞれの疾患領域別の占有率を確認し、企業の優位性に関する弊社の考え方を示す。
◎ 前提
- 製薬会社別市場:製薬業界で一定のプレゼンスを保つ製薬会社の近年の動向を確認することで、市場全体の動きや外部環境からの影響を確認することができる。
- 疾患領域別市場:医薬品はそれぞれ適応する疾患領域が異なるため、同水準の売上高を保っていることが競合関係に直結すると限らない。疾患領域別市場で捉えることで、実際の競合関係の把握や正確なセグメント内における優位性の可視化につながる。
- 特許権:保護期間を保証する特許権が切れると、競合品が市場に台頭し従来の売上高がリスクに晒される。
- 薬価交渉制度:「メディケア」において支出額の大きい新薬から対象薬を選定し、公定薬価を設ける制度。特許権の保護期間に強制的に薬価を引き下げる制度。
- 製薬会社ごとのブロックバスターの売上高の推移や、それぞれの将来性と安定性について確認する。
- 疾患領域別市場の市場規模の推移や将来性と安定性について確認する。また、各市場で優位性を保っている企業についても確認。
◎ 製薬業界を疾患領域別市場で理解することの重要性 p.1
◎ 製薬業界の制度面からの課題 p.2
◎ 製薬会社別で捉える製品別収益動向 p.5
◎ 疾患領域別市場で見る製薬会社のプレゼンス p.11
◎ まとめ p.19
ストラテジー
製薬
グローバル製薬業界の特性と評価のポイント
本レポートでは、主要製薬会社の財務情報やFDA開示情報などを元に、製薬業界の現状と開発コストを主とする負荷に関するポイントをまとめ、同業界への投資リスクを理解するためのポイントを確認する。製薬業界には、他業界では見られないような構造上の問題点や環境上の問題点が見られ、そうした業界の特性を踏まえて各企業の投資評価を行う必要がある。そのため、着目点の整理と理解が重要となる。
以下では、最初に投資機会の規模を確認した後、ビジネスモデルの理解に必要な下記の各項目について、順に確認する。
-製薬業界における新製品の開発(創薬)の現状(p.4)
-創薬コスト(研究開発費)の高騰 (p.7)
-特許権の期限から捉える製薬業界の変容 (p.10)
-インフレ抑制法(IRA)成立による収益機会への影響(p.13)
-製品化後の製薬市場の差別化要因と構造的リスク要因(p.16)