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レポート
オラクルの事業概要と同社のクレジット投資評価
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レポート
第一生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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住友生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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明治安田生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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日本生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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明治安田生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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第一生命のクレジット評価と社債投資の考え方
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個別発行体評価
ゴールドマンサックスの概要と投資評価ポイント
本動画では、ゴールドマン・サックスの概要とクレジット投資評価について解説する。
-ゴールドマン・サックスは、米国に拠点を持つ投資銀行で、支店網や個人向け預金口座を持つ商業銀行とは異なり、投資銀行業務やトレーディング業務、その他法人向け業務に特化した事業モデルが特徴的。
- 近年では、リテール/ウェルス業務にも参入したものの、事業の撤退や売却が相次ぐ等、個人向け業務では成功しているとは言い難い状況。
- 金融安定理事会(FSB)が定めるグローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)にもカテゴリー1として指定されている。
- 純収益の事業別構成比は、グローバルバンキング&マーケッツが約6割を占め、アセットウェルスマネジメントは3割、プラットフォームソリューションズは5%と相対的に小規模。
税引前利益の事業別構成比では、グローバルバンキング&マーケッツが約9割を占め、アセットウェルスマネジメントが1割。プラットフォームソリューションズは継続して赤字。
- FY2024 Q3におけるゴールドマンサックスのCET1比率(%/標準的手法)は14.5%となり、前年同期比で-0.3%下落。
CET1比率は、他の米銀と比較すると相対的に高い水準にあり、規制資本証券のベイルインまでの絶対的なバッファがより大きい。
ただし、一見してベイルインへの耐性が強そうに見えるが、実際には事業リスクが他銀行よりはるかに大きく、こうした違いを勘案する必要性がある。
- 2024年のゴールドマンサックスのストレステストの結果では、ストレス顕在化後のCET1資本は最悪時に8.5%まで低下する可能性があるとFRBから指摘されている。
- 同社の発行体格付けは、S&PがBBB+に据え置く一方、Moody’sとフィッチはA格中位とするなど、格付機関でも評価が分かれている。よって、シニア債(TLAC債)や、期限付劣後債(Tier2)等の投資においてはMoody’sやフィッチの格付けに準じた評価は妥当。一方、AT1証券については、S&Pのより厳しい信用力評価を参考にするべき。
- GSのシニア債(TLAC債)については、他の米商業銀行対比で相対的にスプレッドがのっており、より効率的な投資対象の一つとして、検討に値する。
個別発行体評価
ジョンソン・エンド・ジョンソンの概要と投資評価ポイント
本動画では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の事業概要と、クレジット投資評価を解説。
- J&Jは製薬、医療関連機器、その他関連製品の開発、販売を手掛ける多国籍企業。 広範な疾患領域に分散化された医薬品ポートフォリオは業界内でも最大レベルで分散化。さらに医薬品以外の売上も大きく、米国最大の医薬品企業として最も安定した事業モデルを確保。
- FY2023年の総売上は約850億ドル。医薬企業としては世界最大だが、医薬品の製薬会社別売上高で同社は3位。売上の約2/3が医薬品、1/3がメドテック(医療関連機器)。
- FY2023において同社最大の売上高を占めた医薬品は、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬のステラーラ(Stelara)。他社との和解、合意の結果、2024年内はバイオシミラーの販売の阻止に成功したが、2025年以降の増収は期待しにくい。
- 数多くの創薬パイプラインを保有(総保有件数は94件)。特にフェーズⅢと申請段階に数多く創薬パイプラインを抱えており、特許切れによるブロックバスター減収への懸念も解消されやすい。
- 同社は2023~2024年にも数々のM&Aを積極的に実施、医薬ポートフォリオを拡大。直近一年間の中では最も買収額が大きい買収案件はショックウェーブ・メディカル社で、買収総額は約125億米ドル。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」は、FQ2 2023以降、1倍未満と同業他社を大きく下回る水準で推移。同社の返済能力は同業他社に比べ相対的にかなり高い。
- J&Jは、主要格付機関(Moody's、S&P)から最も信用力の高い格付評価(AAA格相当)を受けている。
- 残存10年以下の、社債のスプレッド水準は、米国の財投機関並みの低い水準。AAAクラスの安定性を前提に米国債の代替としての投資を検討しうる投資家には、債券投資の検討対象となり得る。 一方で、米国の財投機関と大差ないスプレッドを民間企業としてどう見るかは検討課題。
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社)の「公営企業」化への影響
【結論】
◎ 業態変更がPEMEXの信用力に与える影響
- PEMEXが事業運営において、公的な目的の優先度を高めることは、必ずしも同社社債の信用力を高めることを意味しない。
- 財源、税制、金融保証など、国家財政との一体性が示されれば、信用力のプラス要因。一方で、国家の支援が不透明なまま、政治的に負担増だけを迫られれば、PEMEX社債の信用力にはマイナス要因。
- 債務保証行為はPEMEXの潜在格上げ要因になると同時に、メキシコ政府の潜在格下げ要因にもなり得る。→ 恒久的な支援を行う枠組みを早急に整備する可能性は低い。
- PEMEXの公的な性格の強化は、10年以下などの相対的に短期の信用力を高めやすいが、20年超の超長期の信用力への影響は不透明。
【主な論点】
◎メキシコ石油公社(以下、PEMEX)について、同国内の法律上で規定される「事業種別」を憲法の条文改正を伴って実施する動きが進んでいる。
本レポートは、同変更に関して足元で生じている状況のアップデートと、信用力に対する影響についての考えを整理することを目的とする。
◎ メキシコの政権交代とPEMEXの業態の推移
- PEMEXでは、過去に右派政権の下で商業的な優先順位を伴う「国営生産企業」に分類変更。現在の左派政権の下で、優先順位を公共サービスの提供に置く「公営企業」への変更案が提示、進行中。
◎ 2024年エネルギー改革と憲法改正の現状
- エネルギー改革に伴う憲法の改正点:
(i) PEMEX、CFEは「国営生産企業」から「公営企業」へ、事業の優先度も公的な役割へ
(ii) 公共電力サービスの継続性とアクセシビリティを保証
(iii) 戦略的分野から民間資本を排除し、国家の安全と主権を保証
◎ 憲法改正に関するこれまでと今後のスケジュール
- 2024年10月9日には下院で承認、2024年10月16日に上院で承認。
- 現在は32の州の議会によって議論中。
◎ フィッチ・レーティングスが示したPEMEXの格付け変更可能性
- PEMEXの業態変更に関する議論を受け、フィッチでは3パターンの格付け変更可能性(すべて格上げ方向)を示す。うち、2つのパターンは、メキシコ政府によるPEMEXへの金融債務保証が前提。
◎ 社債市場の反応
- フィッチの事業種別変更に伴う格上げ可能性が市場で好感され、PEMEXの債券価格は9月中旬から10月中旬にかけて大きく上昇。
個別発行体評価
バークレイズ(Barclays PLC)概要と投資評価ポイント
バークレイズへの債券投資を検討するにあたって、8月1日に公表されたFY2024Q2までの決算を参照して,企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説します。
[バークレイズの概要]
- バークレイズは、イギリス国内でHSBCに次ぐ資産規模を持つ銀行であり、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[バークレイズの信用リスク評価の着目点]
(1). 収益力評価 - 評価軸 #1
収益力から見た場合、シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(2). 経営環境の変化への耐性- 評価軸 #2
経営環境の変化耐性には、重大な懸念点は無いものの、必ずしも他行より頑健ではなく。G-SIBsの中位程度。シニア債券の投資評価上はポジティブに評価。
(3). 資金流動性とRWA当たりの収益性 - 評価軸 #3
RWAあたりの収益性が相対的に高く、短期の資金流出による悪影響が生じにくい資金調達構造を維持。シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(4). 規制資本から見た安定性 - 評価軸 #4
劣後債投資に重要な、CET1資本に生じうる劣化がG-SIBsの中でも中程度(ただし平均を下回る)。AT1債の潜在的なコールスキップ・リスクはG-SIBsの中で相対的に高い。
[英国に特有の金融規制など]
- 英国では独自のリングフェンス規制を導入済。銀行持株会社の潜在リスクは、理論上、他地域に比べ相対的に高くなりやすい。AT1債のベイルインのトリガー条件も他地域(スイス以外)の銀行より高く、ベイルインが生じる潜在リスクがより大きい。ストレステスト結果の前提に「戦略的マネジメント施策」としてAT1債の損失吸収が含まれる可能性も。
[バークレイズの債券への投資評価]
- AT1債の投資評価;現時点ではベイルインリスクは抑制的だが、マクロ経済にストレスが生ずるとAT1債には配当停止やコール・スキップが生ずる可能性は他のG-SIBsに比べ相対的に高く非推奨。
- TLAC債(無担保シニア債)は良好な投資機会を提供。仕組み債の発行体としても同様の効用が存在。
個別発行体評価
ソシエテ・ジェネラルの概要と投資評価ポイント
ソシエテ・ジェネラルへの債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。
[概要]
- ソシエテ・ジェネラルは、フランスでBNPパリバ、クレディアグリコルに次ぐ規模で、全世界に11万人以上の従業員を持ち、顧客数は2,500万人に上る巨大金融機関。
- また、同社はG-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[同行の事業構造]
- 同社の事業構成は大きく3つに区分(国内リテール銀行等/国際銀行・投資銀行等/海外リテール銀行等)。
- 足元では、国内外のリテール銀行は、いずれも減益トレンドを継続。投資銀行は増益のタイミングもあったがもともと不安定で持続性はない。
- 銀行事業に関しても、リテール向け融資に傾斜していることから、金利や失業率といったマクロ経済への影響度が高く、リスク分散の観点で、他の欧州主要行よりも安定性で劣る。
[同社の収益力評価]
- ソシエテ・ジェネラルの収益規模は大きな変動はない一方で、減益傾向が継続しており、収益性は悪化していると評価。
[同社の環境変化耐性]
- ソシエテジェネラルは費用水準が上昇傾向にあり、他行と比較し市場環境の変化に脆弱であると評価。
[同社の健全性評価]
- ソシエテ・ジェネラルは現時点の健全性指標に重大な問題点は見受けられず、現状ではG-SIBs内でも中程度の健全性であると評価。
- ただし、マクロストレステストではより大きな資本毀損が生じやすく、ストレス状況下では同行が発行する劣後債の時価に大規模な下方修正が生じる可能性も。
[同社のクレジット投資評価]
- 同行に対する投資で個人投資家などに最も効用が高いのは、シニア債とデフォルトのトリガー条件(実質破綻認定)が一致する、Tier2債(期限付劣後債)。ただし流動性面で投資機会が得られない場合には、無担保優先シニア債(TLAC債)にも投資の効用が存在。
個別発行体評価
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(MDY:A2、S&P:A)事業概要と同社のクレジット投資評価
本動画では、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb Co.)(以下「BMS」と表記)の経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[BMSの事業概要]
- BMSのFY2023の売上は3割前後をがん腫瘍、免疫疾患、心臓病がそれぞれ占める構成。精神神経疾患(中核神経)領域における収益力強化に注力。
- 主力商品(ブロックバスター)5つの売上高合計が総売上高の75%以上を占めており、売上上位製品への依存度が高い構造となっている。
これらの商品は、いずれも2024~2030までの間に特許期限が切れる。
- ブロックバスターの収益機会喪失に対応するため、フェーズIIIまでの創薬ポートフォリオを充実化。FY2024Q1にも大型M&Aが3件を完了。
うち、2件はがん腫瘍疾患領域、残りの1件は精神神経疾患領域におけるシェア拡大が目的。
- 主力商品が、インフレ対策法の薬価交渉制度の対象となるなど、さらなる減収要因も。
[BMSの業績/財務状況]
- 直近四半期(FQ2 2024)における売上高は前年度同期より+8%ほどの増収で12,201(百万米ドル)。
Q2の営業利益は、前年度同期より▲10%ほどの減益で、1,559(百万米ドル)となった。なお、Q1の営業損益は大幅な赤字(3件の大型買収に起因)。
- 自己資本比率は大型M&Aの実施に伴い、FQ1 2024に▲14.3ポイントほどの大幅な下落がみられ16.7%まで悪化したが、FQ2 2024には18.0%へやや改善。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」はFQ1 2024にマイナスに転じたのち、直近四半期では2.87倍となった。
- M&Aによって得られた創薬パイプラインの収益化が進めば、有利子負債の圧縮が継続的に行いやすくなり、これらの指標も改善される可能性。
アナリスト
テクノロジー
オラクルの事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、Oracle.Corp(以下、オラクル)のFY2024Q1までの四半期決算をもとに、同社に対するクレジット評価を行う。
◎オラクルの事業概要とクラウドサービス市場の構造
◎オラクルの業績・財務状況
◎オラクルの財務状況
◎オラクルの信用格付、及び社債、株式の投資評価
個別発行体評価
オラクルの概要と投資評価ポイント
本動画では、Oracle.corp(オラクル)のFY2025 Q1(2024/8月期)までの決算をもとに、オラクルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[オラクルの事業概要]
- オラクルは、データベースを中核に統合的なソフトウェア・サービスを提供。主に4事業分野からなる。
- 総売上高の7割強をコア事業であるクラウドサービス&ライセンスサポートが占めている。同事業は、オラクルの成長ドライバーである (年10%程度の成長を継続)。
半面で、他の3事業の売上高は、漸減傾向にある。
[クラウドサービス市場の構造]
- クラウドサービスは、大きく(i)SaaS(最も高付加価値で市場規模も大きい;アプリを含む)、(ii) PaaS(中位;プラットフォーム提供)、(iii) IaaS(最も基本的;インフラのみ)の3種に大別できる。
- 世界のクラウドサービス市場は急成長を継続している。最も高付加価値分野のSaaS-アプリが最も高い売上高を誇り、オラクルも同セグメントの売上高が最も高く市場シェア4位に位置する。
- SaaSは、各社が異なる付加価値で差別化を図っており、中長期での独自の強みを維持しやすい。IaaSのような低付加価値サービスは、スケールメリットによる価格競争力以外での差別化が相対的に困難。
[オラクルの業績・財務状況]
- 直近四半期(FY2025Q1)における売上高は、最も売上高構成比の高いクラウドサービス&ライセンスサポートへの新規顧客の流入によって、売上高が増大、前年比+6%強の増収。
- 営業利益・純利益の増益率は、+17.3%・+23.1%、また直近のQ1においてもそれぞれ +21.1%・+21.0%と十分な増益率を示していた。
- オラクルでは現在、事業の再編と効率化(売上原価率の改善)を図る2024年リストラクチャリング・プランを進行中。増収・増益によって十分な利益水準が保たれている状態での事業再編のため、特段に不安視する必要はない。
[オラクルの財務状況]
- FY2023のサーナー買収の影響で大幅に負債が増え、債務超過に陥っていたが、FY2023Q3に有利子負債圧縮を行い、債務超過を解消。Q1には7.8%まで急回復。
- 負債返済能力も同時に高めており、ネット有利子負債/EBITDA倍率が3.45倍まで低下(改善)した。
- 直近3四半期で営業CFの増加を裏付けとして投資規模を維持しつつも高水準のフリーCFを確保、同時に財務CFにおける返済超過が継続されている傾向から、オラクルの債務返済能力は向上、財務健全性も高まっている。
[オラクルの信用格付、及び社債、株式の投資評価]
- Moody’sからはBaa2格、S&PからはBBB格、FitchからもBBB格とされている。
- 高い売上高、CFの改善、業界の成長性を鑑みて、今後2-5年以内に格付けにポジティブな影響が顕在化する可能性も。
- グローバルなブロック経済化が進む中で、米国内の情報保全の重要性も高まっており、オラクルの米国市場における競争力は維持されやすいと考えられる。
- 利回りとスプレッドの期間構造から、2040年頃の満期(残存13~17年)のオラクル社債が、相対的に良好な投資機会を提供。
個別発行体評価
バイオジェン(MDY:Baa2、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- バイオジェンはアメリカの医薬品メーカー。FY2023年の総売上は98.3億米ドルで、製薬会社別売上高で売上高20位内には位置していない、独自の専門性を有するバイオ薬メーカー。
- FY2023の総売上の5割弱を「多発性硬化症(中核神経疾病)」の治療薬が占める一方、各2割弱を希少疾患が占める事業構成。
- 主力製品のうち、TysabriやSPINRAZA等の売上高上位の医薬品については、特許権失効は2034-2035年と、まだ十分な時間が残されている。一方で、Tecfideraは特許切れが迫っており、2025年にはヨーロッパでの独占的販売権を失う予定。既にバイオシミラーによる市場シェアの浸食を受けており、今後も引き続き減収が見込まれる。
- バイオジェンの創薬パイプラインの総保有件数は21件と、より上位に位置する製薬企業と比較して案件の保有件数は少ない。ただし、創薬パイプラインの数は、おおむね製薬会社の売上規模に比例することを考えれば、バイオジェンのパイプラインは、必ずしも不充分なものではないと弊社では判断している。
- 過去2年間でも二件のM&Aが完了。従来から同社が得意とする中枢神経領域の地盤を固める一方でより競合製品の少ないニッチな医薬品をM&Aにより早期拡大するという、同社の経営戦略を反映。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、バイオジェンの製品は指定されにくく、同種のリスクは他社より小さい。
- バイオジェンは中核神経領域において最も高い占有率を維持。ただし、主要製品である3製品のFY2023における合計占有率は未だ40%程度を維持するも、過去5年間ではTecfideraの著しい減収により領域内シェアが大きく落ち込む(70%強→ 40%強)。
- 財務構造は、他の製薬会社に比べても頑健。
- 2024年は減収が継続の見込み。ただし、営業利益率はM&A実施直後と比べ大幅に回復。
- バイオジェンの5年債などには充分な投資の効用が存在。20年超の債券も2~3年の保有後に入れ替えを考える場合には効用がある。反面、満期保有を前提とした場合には、超長期にわたり差別化されたビジネスモデルを維持できるかどうかは、不安定性が存在、他銘柄に劣る可能性。
個別発行体評価
アムジェン(MDY:Baa1、S&P:BBB+、Fitch:BBB) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- アムジェンはアメリカのバイオ医薬品メーカー。FY2023年の総売上は約282億米ドルで、グローバル製薬会社の中で売上高では10位前後。
- FY2023の総売上は、3割前後を「一般医薬品(主に骨粗鬆症,心臓病関連)」、「がん腫瘍」がそれぞれ占め、2.5割を「炎症」が占める事業構成。
- FQ2 2024 では前年度同期比で+20.1%の増収、売上高は8,388(百万米ドル)。M&Aで取得した医薬品が増収に大きく貢献。
- 主要医薬品の多くは2030年までに期限が切れる見込み → 一方で、創薬ポートフォリオの拡充目的で実施したM&Aにより創薬パイプラインにはフェーズⅢが多い。
過去2年間でも二件のM&Aが完了。高額な買収費用を拠出することによってパイプラインだけでなく、既に商品化された製品の取得にも積極的に取り組んでいる。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、アムジェンの製品からは免疫疾患領域を適応症とするEnbrelが指定されている。
- 同社のブロックバスターとその特許期限を意識すれば、今後も創薬ポートフォリオの安定化のためにM&Aは継続されやすいとみる。この結果、ただでさえ同業他社比で劣る財務比率はさらに低下する可能性がある。
- 脆弱な財務構造に対し、市場のスプレッドはタイトに評価。
- 単体でみた場合の投資に問題はないが、同業他社比でみれば割高なプライシングがされており、より効率的な製薬社債の投資機会が別に存在しうる、と評価している。
個別発行体評価
ギリアド・サイエンシズ(MDY:A3、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- ギリアドサイエンシズは、アメリカの製薬メーカー。FY2023年の総売上高は271億米ドルで、グローバル製薬会社の中では売上高で15位前後の規模。
- ギリアドは、HIV(AIDS)を含む感染症、がん腫瘍、肝臓病などの疾患領域に強み。特にHIV関連が総売上の7割弱を占めている(HIV薬は、大衆薬とは異なり中長期にわたり安定した収益構造を維持しやすい) 。同社製品で最も高い売上高を獲得したHIV対処薬のはBiktarvyで、FY2023総売上高の44%を占める。特許期限がFY2036まで有効であることから競合品の台頭による収益低下のリスクも小さい。
- ギリアドが提供するHIV対処薬は、治療薬ではない点に注目。HIVは発症時の致死率が高く、投薬が継続される可能性が高い。欧米で患者数が増え続ける中、持続的な売上が維持されやすい。
- ギリアドでは、肝疾患領域でのシェア拡大を目的として、シーマベイ社の買収を完了。Covid対処薬に代わる売上成長と事業分散の強化に向けた施策。
- 同社は薬価交渉制度による薬価引き下げのリスクは小さく、他の米系製薬メーカーと比べても、相対的に頑健なビジネスモデルが維持されやすいと考える。
- 同社では強力な資金創出能力により、M&Aに伴う財務の一時的な劣化をカバーし、健全性を維持している。また、同社は発行体としての相対的に高い信用力評価(MDY:A3、S&P:BBB+)を受けている。S&Pは、財務面では既にA-レベルにあり、収益強化で格上げ可能性とコメント。
- 同社の社債は、製薬業界の中でも独自の頑健なビジネスモデルを維持しやすく、20年超等の債券の長期安定保有にも向くと評価。
個別発行体評価
ボーダフォンの概要と社債投資の評価ポイント
本動画では、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
◎ボーダフォンの信用格付け(発行体格付け)はBBB格中位。S&Pでは6/30に格付見通しをポジティブから安定的に引き下げ。当面、信用格付けが上方修正される余地は限定されやすい状況。
◎社債投資評価の3つのポイントは、(1)同社の利益水準は当面の事業再編を経る中でも一定の水準を保持し継続可能、(2)財務レバレッジを目標ガイダンスの下限を以上に維持することへの経営陣のコミット、(3)事業価値の保全可能性の高さ
◎事業モデルの持続性に不安があり、株式投資の観点での評価は高くない。シニア債については、米ドル建ての20年超の超長期債に投資妙味。ハイブリッド劣後債については、初回コール日までの期間が長い債券を売却し、同期間が短い債券に入れ替えるような投資戦略が有効。
アナリスト
通信
ボーダフォン(Vodafone Group Plc)の事業概要と同社クレジットの評価アップデート
本レポートでは、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
ボーダフォンは、事業規模の観点では、欧州の一部同業他社をはるかに凌駕する事業規模を有していたが、多くの市場では他のトップ・モバイル事業者に対し、競争力の面で充分な優位性を保持できていない。結果としてイタリア・スペインからの撤退を含む大規模な事業再編を実施中。
〇 無線通信会社のクレジット評価上の特性 p.2
〇 ボーダフォンの事業概要 p.5
〇 ボーダフォンの地域別の事業状況 p.9
〇 ボーダフォンの業績(P/L)状況 p.14
〇 ボーダフォンの財務(B/S)の状況と返済余力の見方 p.16
〇 ボーダフォンの事業再編状況 p.19
〇 ボーダフォンの信用格付、及び社債の投資評価 p.22
〇 Appendix 主要市場4か国におけるボーダフォンの事業状況 p.29
個別発行体評価
アッヴィ(MDY:A3、S&P:A-)事業概要と同社のクレジット投資評価
[アッヴィの事業概要]
- アッヴィ(AbbVie Inc.)は免疫疾患、神経科学などの疾患領域に強みをもつ米国の医薬品メーカー
- FY2023年の総売上は543億米ドルで、製薬会社別売上高は4位
- 免疫系医薬品が総売上の約半分(48%)を占める一方で、がん腫瘍、美容系、神経科学系医薬品がそれぞれ各1割前後を占める構成
[アッヴィ製品の特許期限と創薬パイプライン]
- 最大のブロックバスターであったHumiraの特許はFY2023初頭に切れており、今後、2024年の終わりまでにRinvoqも特許切れを迎える予定。
2製品の売上占有率(FY2023)は34%。ただし、同社の創薬パイプラインのフェーズⅢにはRinvoqに関する特許が5件含まれており、Rinvoqの特許期間は実効的に延長される可能性も。
- アッヴィの総保有件数は他企業と比較して多くはないものの、各フェーズに対して20件以上と均等に配分。
- イミュノジェン社(がん腫瘍領域)、セレベル社(精神疾患や神経疾患)の買収により疾患領域を拡大。ただし、M&Aは財務を圧迫。
[決算動向]
- FQ2 2024 における全社ベースの売上高は前年度同期より+597(百万米ドル)伸長し14, 462(百万米ドル)に。
- 特許失効によるHumiraの減収を、Skyrizi、Rinvoqなどの製品の販売増で相殺。
- 結果、営業利益水準も安定維持。
[アッヴィ社債の投資評価]
個別発行体評価
ソフトバンクグループ:2024年度第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
[2024年度第1四半期決算について]
- ソフトバンクGのFY2024 Q1の売上高は1.7兆円と前年同期比で+9.3%の増収、純利益が105億円の黒字、株主帰属純利益は▲1,743億円だが赤字幅は縮小。
ただし、会計上の赤字は、必ずしもソフトバンクGの社債の元利金支払いの安定性に影響しない。
[クレジット投資上の注目指標について]
- 債務の返済余力の多寡の評価尺度として、LTV、NAV、現預金、有利子負債残高、キャッシュの創出能力、自己資本比率などを確認することが必要。
- 同社の保有株式価値はアーム株の上場と円安の進行により、2024/6末時点には38.3兆円まで増加。
NAVも2022/12末時点の13.9兆円をボトムとして反転上昇し、2024/6末には35.3兆円まで急拡大。
LTVは7.8%まで低下(返済余力が拡大)
- 2024/6末の単体ベースの手元流動性(コミットメントライン未使用枠を含む)は4.6兆円と高水準を維持
- 単体ベースの有利子負債は14.3兆円と横ばい。調整後の単体純有利子負債も2.98兆円と若干増加
- 自己資本比率は5四半期連続で上昇。一方、中長期の返済能力については、今後の市場環境に大きく依存
[経営方針の転換によるクレジット投資への影響可能性について]
- 負債と手元流動性を両建てで持ちつつ純有利子負債を圧縮している会社の財務指標や格付けは、企業の財務戦略の転換により容易に劣化。
- ソフトバンクGの社債投資家にとっての一番の潜在リスクファクターは、同社の財務方針の転換。
[社債流通市場の状況と投資機会]
- 2026年に償還を迎える米ドル建てシニア債で5.5%以上の利回りが確保可能。
一方、初回コール日まで2.8年の米ドル建てハイブリッド劣後債の慣例利回りは7.46%
(いずれも仲値ベースの気配値であり、実際に取引可能な価格とは異なる点に注意)。
- ソフトバンクGでは、社債の余裕を持った借り換えを実施。
- 同社のハイブリッド債のリプレイスメント(初回コールによる借換)可能性は安定的。
- ここから新規に投資を開始する社債投資家の場合には、米ドル建てハイブリッド債に
対する投資の効用はシニア債よりも、リスクあたりリターンの観点からより相対的に高い。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループの2024年度第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
本レポートでは、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)の2024年度第1四半期決算状況と、同社社債投資にあたってのクレジット評価上の着目点について確認する。
〇 2024年度第1四半期決算について p.1
- ソフトバンクGのFY2024 Q1の売上高は1.7兆円と前年同期比で+9.3%の増収、純利益が105億円の黒字、株主帰属純利益は▲1,743億円だが赤字幅は縮小。ただし、会計上の赤字は、必ずしもソフトバンクGの社債の元利金支払いの安定性に影響しない。
〇 クレジット投資上の注目指標について p.3
- 債務の返済余力の多寡の評価尺度として、LTV、NAV、現預金、有利子負債残高、キャッシュの創出能力、自己資本比率などを確認することが必要。
〇 経営方針の転換によるクレジット投資への影響可能性について p.7
- 負債と手元流動性を両建てで持ちつつ純有利子負債を圧縮している会社の財務指標や格付けは、企業の財務戦略の転換により容易に劣化。
〇 社債流通市場の状況と投資機会 p.9
アナリスト
製薬
アムジェン(MDY:Baa1、S&P:BBB+、Fitch:BBB)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、アムジェン(Amgen Inc.)の、FY2024 Q2までの決算を元に、経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
〇 アムジェンの事業概要 p. 2
①アムジェンの事業概要
②製薬業界におけるアムジェンのビジネスモデルの特性
③アムジェンの主要疾患領域別の事業状況
〇 アムジェンの業績状況 p. 16
- 四半期決算の売上は前年度同期比で大幅な増収。Tepezza、Krystexxa(M&Aで取得した医薬品、希少疾患)などによる収益力改善が主な要因。
〇 アムジェンの財務状況 p. 18
- 自己資本比率はFY2023 Q3以降、M&A費用の計上に伴い、FY2024 Q1には5.4%まで落ち込んだものの、FY2024 Q2には負債の圧縮が進み6.5%となった。
〇 アムジェンの信用格付、及び社債の投資評価 p. 21
個別発行体評価
ドイツ銀行 訴訟リスクをどう見るか?
本動画では、ドイツ銀行のY2024 Q2までの決算と、今回の決算で注目された訴訟リスクや規制強化に伴う信用コスト増大リスクに関するアップデートも行います。
[ドイツ銀行債の投資評価方針]
- 個社要因(財務指標等)は事業構造改革により改善を継続。投資評価のプラス要因
-外部要因(訴訟、経済減速、規制強化)は、投資評価のマイナス要因。
[ドイツ銀行の個社要因(FY2024 Q2決算概要と、財務面からの評価)]
-2019年以降、事業構造改革を継続により、純収益は安定成長。
-主要3セグメントのうち、投資銀行事業は大幅な増収。コーポレートバンク事業とプライベートバンク事業は横ばいと減収。
-FY2024 Q2には税前利益が1/4程度に急減。訴訟引当金の計上による影響を除けば、おおむね近年の水準を維持。税前利益率もFY2024 Q2に5.4%に急落したが、同一時影響を除くと、23.0%と従前なみの利益率を維持。
-利益率は欧州主要行に比べ低いが改善を継続。ソシエテジェネラルよりは上位に逆転。
[ドイツ銀行に影響する外部要因]
- ドイツ銀行の信用力に影響しうる3つの外部リスク要因について考察。
- ポストバンク訴訟による賠償金積み増しリスクは、Q1決算の公表直後に顕在化。過去の買収取引に関連しているため、賠償債務の上限は収まりやすい。ただし、裁判費用(弁護士費用)は今後も継続して必要。
- 監督当局が実施するストレステストにおいて、マクロ経済へのストレスが生じてもAT1債のベイルイン可能性は充分に抑制。ただし、ストレス時におけるドイツ銀行のコール・スキップや一時的な配当停止可能性などは、他の欧州主要行よりも高い。
- ECB(欧州中央銀行)では、主にレバレッジド・ファイナンスの質的劣化に備えて、検査を厳格化し、銀行に大幅な引当金の積み増しを求めることを検討。企業向け与信を得意とするドイツ銀行では、同監督強化による悪影響をより強く受けやすい可能性も。
[ドイツ銀行債の投資評価]
-ドイツ銀行の発行体格付けはそれぞれ2度の格上げを受け、2024年までにA/A1/A-格まで回復。現在の発行体格付けは、主要米銀と遜色ない水準。
(i). Tier2債(期限付劣後債)、TLAC債(非優先シニア債)の投資評価;投資の効用が高い
(ii). AT1債(永久劣後債)の投資評価;外部要因による時価下落リスクが存在。投資を開始するには不適切なタイミング。既存の保有ポジションは売却・乗り換えを推奨。
個別発行体評価
インテル(Intel)概要と社債投資の評価ポイント
インテルへの米ドル建て債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価上のポイントまで簡潔に解説します。
[インテルの事業概要]
- インテル(Intel Corporation)は、コンピューター部品及び関連製品を設計、製造、そして販売する半導体メーカーである。売上高の半分をClient Computing (CCG)事業、そして3割前後をData Center & AI(DCAI)が占める。
[世界のCPU市場とインテルの市場シェアの状況]
- 顧客向けx86 CPUのシェアで見れば、インテルのシェアは79.4%と首位であるものの、AMDの追随により減少傾向が続いている。
- サーバー向けCPU市場では、アクセラレーションコンピューティングの台頭によりx86 CPUのシェアが弱体化し、インテルのシェアも縮小傾向にある。
- CHIPSプラス法による政策支援を受け期待が高まるファウンドリー事業への本格的な参入を図っているものの、競合となるTSMCやサムスンとの差は依然大きい。
[インテルの業績・財務状況]
- FY2023における連結売上高は、PCやサーバー等の需要が減退したことで、前年比-14.0%の2桁減収であった。営業利益はトップラインの減少に伴い、-98.8%と大幅な減益となった。
- 売上高を地域別でみると、中国が最も大きい売上構成比を占めており、米国で導入されたCHIPS法によって、設備投資が加速される一方で中国への厳格な輸出規制が行われることから、売上に影響を受ける可能性がある。
[インテルの財務状況]
- EBITDAの減少とネット有利子負債の増加により、ネット有利子負債/EBITDA倍率は9.82倍にまで高まっているが、潤沢な手元流動性により支払能力を担保。
- フリーキャッシュフローは、設備投資がかさんでいることでマイナスが続いており、今後もファウンドリー事業の成長の追求により改善が見込みにくい。
[インテルの信用格付、及び社債の投資評価]
アナリスト
テクノロジー
インテル(MDY:A3、S&P:A-、Fitch:BBB+)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、Intel. Corp (インテル)の、FY2024 Q2(2024年6月期)までの四半期決算(インテルは12月末決算)を元に、インテルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎ インテルの事業概要 p.2
- インテルは、コンピューター部品及び関連製品を設計、製造、そして販売する半導体メーカーである。
- 総売上高の約半分(54%)をPC/モバイル向けCPU(CCG)事業、約30%をクラウドサービス事業者向け(DCAI)事業が占めている。
- Intel Foundry(ファウンドリー事業)以外のセグメントは、それぞれ世界的なPCやタブレット端末、データセンター、サーバー等の最終製品の需要に業績が連動している。
◎ 世界のCPU市場とインテルの市場シェアの状況 p.5
◎ インテルの業績・財務状況 p.9
◎ インテルの財務状況 p.13
◎ インテルの信用格付、及び社債の投資評価 p.16
アナリスト
一般消費財
アンハイザー・ブッシュ・インベブ(MDY:A3、S&P:A-)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、Anheuser-Busch InBev N.V. (ABインベブ)の、FY2023の通期決算(ABインベブは12月末決算)を元に、ABインベブの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎ ABインベブの事業概要
◎ 世界のビール市場とABインベブの市場シェアの状況
◎ ABインベブの業績状況
◎ ABインベブの財務状況
◎ ABインベブの信用格付、及び社債の投資評価
アナリスト
保険
第一生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2024年3月期本決算を受けた第一生命HD及びグループ傘下の第一生命等の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
◎第一生命グループの概要、評価の方針 p. 1
- 第一生命HDは、国内の純民間四大生保(日本、第一、明治安田、住友)の1社であり、唯一の株式公開企業。
- 4社の中で第一生命は最も海外事業に積極的に取り組んでいる。
◎第一生命HDの経営状況と、国内外の事業状況 p. 5
- グループ全体での連結年換算保険料は4.8兆円となり、増収傾向。海外事業が3割程度を占める事業構成を維持。
- 第一生命グループのクレジット面での評価には連結経常利益、連結純利益の多くを占める第一生命相互会社の評価が必要。
◎第一生命(相互会社単体)の経営状況 p. 7
①. 第一生命相互会社の保険事業の状況
②. 第一生命相互会社の資産運用の状況
③. 第一生命相互会社の経常利益の状況
◎第一生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況 p. 13
◎第一生命の信用格付けとスプレッドに債券の利回りと投資機会の考え方 p.16
アナリスト
保険
住友生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2024年3月期本決算を受けた住友生命の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
◎住友生命グループの概要・評価の方針 p. 1
-住友生命は総資産が48.2兆円(連結、単体では38.2兆円)の巨大企業である。
- 年換算保険料(2023年度)では四大生命の第2位に位置する。
◎住友生命の経営状況と、国内外の事業状況 p. 5
- グループ全体での保険料は2.6兆円となり、前年比で増加傾向。海外事業が+23.2%増。
- 住友生命単体の保険料収入は横ばい傾向であった。
◎住友生命(相互会社単体)の経営状況 p. 7
①. 住友生命の保険事業の状況
②. 住友生命の資産運用の状況
③. 住友生命の経常利益の状況
◎住友生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況 p. 13
◎住友生命の信用格付けと、スプレッドに債券の利回りと投資機会の考え方 p.16
アナリスト
保険
明治安田生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2024年3月期本決算を受けた明治安田生命の連結・単体の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
◎ 明治安田生命グループの概要、評価の方針 p. 1
- 明治安田生命は2024年3月期における連結年間保険料収入が3.3兆円、連結総資産が52.9兆円の巨大企業。
- 年換算保険料(2023年度)の大きさでは4大民間生命の第3位に位置する。
- 連結基礎利益は5,610億円と前年比+39.6%の大幅増益。
- 保険金支払い能力の指標であるソルベンシー・マージン比率は、連結ベースで1048.9%、明治安田生命単体ベースで994.5%と、極めて安定した水準を維持。
- 発行体格付けは、国内格付機関でAA格相当、海外格付機関でA+格相当と高い信用力評価。
◎ 明治安田生命の連結ベースの経営状況と、国内外の事業状況 p. 5
- 連結保険料(再保険を除く)は3.33兆円、前年比-9.0%の減収。
- 海外事業の保険料は15%を占め前年比+10.6%の増収。
◎ 明治安田生命(相互会社単体)の経営状況 p. 7
i. 明治安田生命の保険事業の状況
ii. 明治安田生命の資産運用の状況
iii. 明治安田生命の経常利益の状況
◎ 明治安田生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況 p.13
◎ 明治安田生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方 p.15
アナリスト
保険
日本生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2024年3月期本決算を受けた日本生命の連結・単体の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
◎ 日本生命グループの概要、評価の方針 p. 1
◎ 日本生命(連結)の経営状況と国内外の事業状況 p. 5
- 日本生命の連結保険料等収入は8.6兆円となり増収傾向。ただし、増分の多くは銀行販売チャネル(前年比+64.7%)と、営業職員チャネル(前年比+21%)に起因。
◎ 日本生命(相互会社単体)の経営状況 p. 8
i. 日本生命の保険事業の状況
ii. 日本生命の資産運用の状況
iii. 日本生命の経常利益の状況
◎ 日本生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況 p. 13
- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、連結で1023%、単体で980%と極めて安定した水準を維持。民間大手生保4社の中で最も高い水準。
◎ 日本生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方 p.16
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社;MDY B3/S&P BBB)のクレジット評価アップデート2024/3末
本レポートでは、メキシコ石油公社(以下、PEMEX)の財務状況に関するストレス状況や政府支援状況、同社の経営環境についてのアップデートを行うことを目的とする。
◎ PEMEXの連結決算と財務動向 p. 2
1. PEMEXの損益動向
- 昨年(FY2023)に好調だったPEMEXの業績は、直近3四半期に継続して悪化、売上高は前同期比-28%の減収、純利益も大幅な下落。
2. PEMEXの財務動向とCFの状況
- PEMEXではFY2019から現在まで巨額の債務超過が継続。FY2024 Q1の債務超過額は-15,770 億ペソ(約-14.4 兆円)と前年同期より若干改善。
3. PEMEXの金融債務と、借換え可能性
- PEMEXの総金融債務残高は、FY2022からFY2023までに1,061→1,015億米ドルに減少。
4. PEMEXへの政策支援状況
- 2019年から2024年3月末までに、政府の累計公的支援額は合計約983億米ドル(約16,401 億ペソ・日本円で約15.0兆円)。
◎ PEMEX社債の投資評価 p. 12
i. PEMEXの信用格付け状況
ii. PEMEX社債の相場状況
iii. PEMEXクレジットの見方
Appendix 1. 2024年6月のメキシコ選挙前の政治状況確認 p. 18
Appendix 2.PEMEXの生産状況 p. 20
Appendix 3.PEMEXの四半期売上高・営業利益と原油価格の関係 p. 23
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社)へのムーディーズによる2ノッチ格下げの影響
本レポートでは、メキシコ石油公社(以下、PEMEX)の財務状況、信用力評価に影響を与える直近での経営環境とムーディーズによる格下げ等についてのアップデートを行うことを目的とする。
◎ 主なアップデート情報 (p.1)
i. ムーディーズによるPEMEXの2ノッチ格下げ (p.1)
- 2024年2月9日にPEMEXの信用格付けをウォッチ指定することもなく2段階引き下げ(B1格→B3格)にし、さらに格付見直しもネガティブのままとした。
ii. メキシコ政府予算の最終化と、PEMEXへの資本注入額の確定 (p.4)
- 2023年11月に2024年度のメキシコ連邦政府支出予算が成立。
- PEMEXへの資本拠出額は97億米ドルから85億米ドルに減額。
iii. ムーディーズによる格下げへの注意点 (p.5)
アナリスト
通信
ベライゾン・コミュニケーションズの事業概要と同社債券・株式の長期保有目的投資上のポイント
本レポートでは、米国のモバイル回線数で最大シェアを有するベライゾンの事業概要と特性を確認し、同社社債・株式への長期保有の観点での投資評価を行う。
- ベライゾンは無線通信サービスの提供を主とする米国の通信事業会社。
- 事業セグメント別売上高を契約対象別で分類すると、個人消費者向けワイヤレス事業が75%を占める。
- FY2021Q4にトラックフォンの統合によりプリペイド契約を上積み。直近でプリペイド契約が全体の15%を占めるが、同契約のポストペイドへの移管も好調に進む。
- ベライゾンの四半期売上高は前年同期比で2.6%減少し、約333億ドルに。ただし、無制限プレミアムプランを選択する顧客の増加によって、ワイヤレスサービス収入は前年同期比で+2.9%の増加。
- 解約率は値上げにも関らず1%前後を推移、同社の強固な顧客基盤を反映。
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社)の格付ネガティブ・ウォッチをフィッチが解消
本レポートでは、メキシコ石油公社(以下、PEMEX)の財務状況、信用力評価に影響を与える直近での経営環境に関する変化についてのアップデートを行うことを目的とする。
- 2024 年度のメキシコ連邦政府支出予算の最終化と、PEMEX への資本注入額の確定。
- 2023 年 12 月 20 日、フィッチは B+格は維持しつつも、2023 年 7 月に付与したネガティブ・ウォッチを取下げ、現在の格付けを再承認。
アナリスト
通信
AT&T(AT&T Inc)の事業概要と同社のクレジットの評価
本レポートでは、米国のモバイル回線数で 3 位、有線回線数では最大シェアを有する AT&Tの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
- 主力のポストペイド市場では、AT&T のシェアは大手 3 社の中で 3 位(26%)となっているが、高品質回線を志向し、ARPU は 3 社の中で最高水準。
- 売上高、営業利益はともに FY2023Q2 から横ばいとなっている。当期純利益は非継続事業の影響で、テクニカル要因から前年同期比‐42%と大きく落ち込んだ。
- 自己資本比率は 29.5%に上昇、事業売却資金の充当によりネット有利子負債も減少。
- AT&T の信用格付け(発行体格付け)を示した。AT&T は Moody‘sからは Baa2 格、そしてFitch からは BBB+格とそれぞれ評価されている。見通しは安定的。
アナリスト
通信
ボーダフォン(Vodafone Group Plc)の事業概要と同社のクレジットの評価
本レポートでは、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
- ボーダフォンは、事業規模の観点では、欧州の一部同業他社をはるかに凌駕する事業規模を有しているが、多くの市場では他のトップ・モバイル事業者に対し、競争力の面で充分な優位性を保持できておらず、大規模な事業再編の実施中。
- ボーダフォンのモバイル事業では、契約回線のうち32%が定期契約(後払い)型、68%がプリペイド契約型であり、より不安定なプリペイド契約型が、安定した定期契約型に比べはるかに大きい。スペイン事業は不採算を理由に2024年前半までに完全売却予定。
- ボーダフォンは解約率の高さから、日米の無線通信事業者に比べ相対的に不安定な事業特性を持つ。
- ボーダフォンの信用格付け(発行体格付け)はBBB格中位。S&Pでは6/30に格付見通しをポジティブから安定的に引き下げ。
- 無線通信事業では参入障壁も高く、10年程度では元利金の支払い能力への懸念は生じにくい。一方、超長期(20年超)でのビジネス・モデルの持続性には一定の懸念。
個別発行体評価
メキシコ石油公社(PEMEX)の概要と社債投資の評価ポイント
◎弊社の PEMEX クレジットの見方;巨額の債務借換えが求められる中、債務の短期化により財務運営は厳しいがコントロール可能。弊社も S&P と同じく投資対象として保持可能とみる。
◎弊社が考える4つの変動要因と評価;(i)長期負債による借り換えを実施する手段は あるが実施されておらず債務短期化が継続。(ii)利益マージンは相場次第で経営体 質の抜本的な改善が行われず。(iii)生産量・埋蔵量が着実に伸びており、精製設備の 稼働率も改善可能性あり。(iv)次期大統領選挙後の政策支援は、当面(10 年以内)は 継続。長期的(10~30 年)には後退。
◎2024年の総選挙後も政府サポートは継続しやすいため社債保有におけるデフォルト懸念は限定。 ただし、スプレッド拡大に伴う超長期債の時価下落可能性は存在。
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社;MDY B1/S&P BBB)のクレジット評価アップデート2023/9末
PEMEX 社債の投資評価
- S&P はメキシコ政府との政策一体性から投資適格(BBB レンジ)を維持。ムーディーズとフィッチは個別財務を重視し投機級の中でも B+格相当まで格付けを引き下げ。
- 7 年以下の社債相場は政策支援の安定を、10 年超は政策の不安定性を織り込む。
- 弊社の PEMEX クレジットの見方;巨額の債務借換が求められる中、財務運営は厳しいがコントロール可能。弊社も S&P と同じく投資対象として保持可能とみる。
- 弊社が考える 4 つの変動要因と評価;(i) 長期負債による借り換えを実施する手段はあるが実施されておらず債務短期化が継続、(ii) 利益マージンは相場次第で経営体質の抜本的な改善が行われず、iii).生産量・埋蔵量が着実に伸びており、精製設備の稼働率も改善可能性あ、iv). 次期大統領選挙後の政策支援は、当面(10 年以内)は継続。長期的(10~30 年)には後退。
アナリスト
一般消費財
日本たばこ産業(2914)の事業概要と、同社株式の長期保有上のポイント
◎ 結論
日本たばこ産業は格付けも高くクレジット市場も日本国並みの低リスクと評価。同社株式の配当利回りは6.3%と高く、PER・PBRなどの指標はTOPIXより割安感があり、長期安定保有の投資対象株式として推奨。
◎日本たばこの概要
- 売上高の91%、営業利益の97.8%をたばこ事業が占め、ともに増収・増益傾向
- 日本たばこが認識する主要市場はアジアと西欧地域となっている。
- アジアは度重なる値上げ等により需要鈍化。西欧地域では英国でRMC・FCTカテゴリーでの売上増を牽引するマーケットリーダーであり、堅調な市場が今後は加速すると同社では想定。EMAはトルコでの増税値上げ前の在庫拡充等の一時要因により、総販売量が前年比で大幅に増加、次年度には正常化で減少する可能性も。
◎世界のたばこ市場と日本たばこの市場シェアの状況
- 日本たばこはたばこ市場上位8社のうちシェア5位で、安定的なプレゼンスを維持
- 世界全体でのたばこの総消費量は過去3年間で伸び続けており、今後も成熟市場では燃焼式たばことリスク低減製品、新興市場では高品質な燃焼式たばこを中心に需要は拡大していくと予想される。
◎日本たばこ産業の損益、財務の推移
- 直近期であるFY2023 Q2において、売上高は727,534百万円(前年同期比+6.2%)と増収、純利益も142,325百万円(前年同期比+1.7%)。
- 毎年第4四半期には、販売促進費に関連し営業利益が減少する季節性が存在するが、前年比で見れば増収・増益傾向を継続。
- 同社の自己資本比率は健全性の強化を継続、直近四半期には、約57%に達した
- ネット有利子負債EBITDA倍率は0.7倍と極めて低い水準に留まっており、財務の健全性は十分に保たれている。新規の投資余力も存在。
アナリスト
テクノロジー
オラクル(MDY:Baa2、S&P:BBB、Fitch:BBB)の事業概要と同社のクレジット投資評価
◎ 本レポートの目的
本レポートでは、Oracle.corp(以下、オラクル)のFY2024Q1までの四半期決算をもとに、オラクルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。本レポートでは、2023年9月11日公表の、2024年度第1四半期までの決算を参照している。
◎ 結論 : オラクルの社債、株式の投資評価
- オラクルは、Moody’sからBaa2格、S&PからBBB格、FitchからBBB格に評価されている。
- 現在のクラウドサービス市場(特にSaaP市場)の拡大が米国で継続する限り、オラクル独自のビジネスモデルの優位性は揺るがない。
- 利回りとスプレッドの期間構造から、2040年頃の満期(残存13~17年)のオラクル社債が、相対的に良好な投資機会を提供していると考える。
- 一方、オラクル株式の今のバリュエーションと財務状況、及び米国以外での業務の伸び悩みなどを勘案すると、同社株式は長期安定保有に適した銘柄とは考えない。
個別発行体評価
電源開発(9513)の事業概要と同社株式の長期保有上のポイント
電源開発株式の投資評価
経営リスクの分散が図られており、ビジネスモデルの安定性も長期にわたり維持されやすく、弊社では長期安定保有の投資対象株式として、電源開発を推奨。
個別発行体評価
日本特殊陶業(5334)の事業概要と同社株式の長期保有上のポイント
- 日本特殊陶業の株式は、約35万円強から投資が可能。TOPIXに比べ、予想PER、PBR、配当利回り(約4.7%)の点から割安感がある。
- 同社は、株主への利益還元を重視、配当性向40%の方針を示しており、実績配当も過去3年増加を継続している。
- 新車販売のEV化が進んでも、既存の保有自動車が置き換わるには時間がかかる。同社は消耗品を供給するメーカーであり、そのビジネスモデルは自動車メーカーよりもEV化への耐性が強い
入門用動画
日本特殊陶業(5334)の事業概要と同社株式の長期保有上のポイント
- 日本特殊陶業の株式は、約35万円強から投資が可能。TOPIXに比べ、予想PER、PBR、配当利回り(約4.7%)の点から割安感がある。
- 同社は、株主への利益還元を重視、配当性向40%の方針を示しており、実績配当も過去3年増加を継続している。
- 新車販売のEV化が進んでも、既存の保有自動車が置き換わるには時間がかかる。同社は消耗品を供給するメーカーであり、そのビジネスモデルは自動車メーカーよりもEV化への耐性が強い
個別発行体評価
インテル(Intel)の概要と社債投資の評価ポイント
- インテルの信用格付は、Moody’sからA2格、S&PからはA格、FitchからはA-格と高い信用能力は評価されているものの、全格付会社から2023年2月に1-2ノッチの格下げが実施されていた。全格付機関とも格付け見通しもネガティブとしている。
- 弊社では、今後1-2年以内にインテルの信用格付けがさらに1ノッチ程度格下げされる可能性があるがAレンジには留まりやすいと考える。
- 投資対象としては、2年以下もしくは15~20年の社債を推奨するが、利回り水準が格下げを織り込んでいることが前提。
- 一方、株式投資の対象として考えられるのはファウンドリー事業の外部売上比率が大きく成長すると想定する場合のみ。弊社では、自社生産分による生産額は短期に成長するが、他社生産分のシェアを上位6社から奪うことには困難があり、株式投資の前提となる利益成長シナリオには懐疑的。株式投資は必ずしも推奨しない。
個別発行体評価
アップル(Apple)の概要と社債投資の評価ポイント
- アップルの社債は、米国の事業社債の中でも流動性が高く、一般投資家にとっても投資機会となりやすい。株式より社債での投資が効率的。
- アップルの信用格付は、Moody’sから最高格のAaa格、S&Pからは上位から2番目のAA+格と、極めて信用力の高い発行体。
- 米国債投資の代替として考えれば、特に5年超のアップル社債の利回りには相対的な投資価値がある。
- 一方、アップルの中長期にわたる継続的な利益成長シナリオは描きにくい。足元で観測されている株価推移は、中国政府の 政府部門におけるiPhone使用禁止を受けた株価の調整を受けても、ファンダメンタルズからの説明は困難。
入門用動画
電源開発(9513)の事業概要と同社株式の長期保有上のポイント
本基礎知識動画では、株式投資の評価ポイントの一例として、電源開発の株式に関して、主に長期保有上の観点からビジネスモデルの性格をご説明いたします。
個別発行体評価
フランス電力(EDF)の概要とクレジット評価ポイント
◎フランス電力は、通常の電力会社と、原子力発電所製造企業としての2つの側面を持つ。
◎フランス電力のシニア債と永久劣後債の信用リスク要因は根本的に異なる。シニア債の投資リスクは、「フランス政府が送配電網を保有する電力事業者を法的破綻させた場合」にのみ顕在化。過去事例を見ても政府出資企業の法的破綻は避けるようにフランス政府が仲介。米ドル債6%台の利回りに対し暗黙の政府保証を想定し得る。投資を行いやすい。
◎永久劣後債の投資リスクは、「海外(イギリス)での原発建設を予定通りに完工出来ず、賠償請求を受ける」場合に顕在化。フランス電力が、イギリスで建設中のヒンクリー・ポイントC原発を計画から課題に遅れることなく完成させられる、 と考える投資家にとっては、米ドル債9%台の利回りは充分な投資価値がある。失敗すれば、配当停止・コールスキップが長期に継続の可能性。投資家自身による、原発完成能力への評価が重要。
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社;MDY B1/S&P BBB)のクレジット評価アップデート
PEMEX社債の投資評価
- PEMEXの負債は業績の悪化を受け、急速に短期化が進展。年次の借換え額も急増中。
- 弊社のPEMEXクレジットの見方;巨額の債務借換えが求められる中、財務運営は厳しいがコントロール可能。弊社もS&Pと同じく投資対象として保持可能とみる。
理由となる今後の改善可能性は以下3点;
(i) 資産担保調達であれば、長期負債による借り換えの実施可能性
(ii) 生産量・埋蔵量の伸長により、時間をかければ収益構造が改善する可能性
(iii) より深刻になるほど、メキシコ政府による追加支援が強化されやすい可能性
- ただし、2024年予定の次期大統領選挙は前提条件を不安定化させ得る要因。
アナリスト
エネルギー
電源開発(9513)の事業概要と、同社株式の長期保有上のポイント
結論:電源開発株式の投資評価
経営リスクの分散が図られており、ビジネスモデルの安定性も長期にわたり維持されやすく、弊社では長期安定保有の投資対象株式として、電源開発を推奨。
アナリスト
テクノロジー
インテル(MDY:A2、S&P:A、Fitch:A-)の事業概要と同社のクレジット投資評価
- インテルの信用格付は、Moody’sからA2格、S&PからはA格、FitchからはA-格と高い信用能力は評価されているものの、全格付会社から2023年2月に1-2ノッチの格下げが実施されていた。全格付機関とも格付け見通しもネガティブとしている。
- 弊社では、今後1-2年以内にインテルの信用格付けがさらに1ノッチ程度格下げされる可能性があるがAレンジには留まりやすいと考える。
- 投資対象としては、2年以下もしくは15~20年の社債を推奨。
アナリスト
通信
楽天グループの2023年度第2四半期決算とクレジット評価上の着目点
◎ 結論:楽天G社債の市場状況と社債投資の考え方
- 国内格付機関による格下げの実施にも関らず、楽天Gの資金流動性は引き続き国内資本市場からサポートされやすい。
- 設備投資を抑制する中で楽天Gの資金流動性は2年以内の期間において十分に管理下にあり、信用リスクは現時点において引きつづき抑制されている。
- 社債投資家にとっては、楽天Gの短期(2024/11償還)の米ドル建てシニア社債や、同じく短期(2024/12償還)の日本円建てシニア社債は相対的に優位な投資機会
- 楽天Gの社債への投資にあたっては、長期の外貨建てハイブリッド債よりも短期のシニア債を対象とした投資を推奨
アナリスト
通信
ソフトバンクグループの2023年第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
ソフトバンクGの第1四半期決算では、株主帰属純利益が-4,776億円と3四半期連続で赤字だが、ただし社債の元利金支払いの安定性に重要な保有資産の現在価値(NAV)は15.5兆円と調整後の単体純有利子負債も1.4兆円を大幅に上回る。
「反転攻勢」による新規投資がコントロールされつつアーム上場によりさらなる資金を得られれば、さらに社債価格は安定。ドル建て社債市場では財務健全性を評価し同社の社債価格が大幅に上昇、既に債券を保有する投資家にとっては債券保有の安定性が高まっている。
アナリスト
一般事業
日本特殊陶業(5334)の事業概要と、同社株式の長期保有上のポイント
- 日本特殊陶業の株式は、約32万円強から投資が可能。TOPIXに比べ、予想PER、PBR、配当利回り(約5%)の点から割安感がある。
- 同社は、株主への利益還元を重視、配当性向40%の方針を示しており、実績配当も過去3年増加を継続している。
- 新車販売のEV化が進んでも、既存の保有自動車が置き換わるには時間がかかる。同社は消耗品を供給するメーカーであり、そのビジネスモデルは自動車メーカーよりもEV化への耐性が強い
アナリスト
テクノロジー
アップル(Apple Inc、MDY;Aaa/S&P;AA+)のクレジット評価
本レポートでは、Apple Inc.(以下、アップル)の、FY2023 Q2(2023年3月期)までの四半期決算(アップルは9月末決算)を元に、アップルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
個別発行体評価
楽天グループ社債投資の評価ポイント
本リサーチ動画では、楽天グループ社債投資における評価ポイントについて説明しました。
個別発行体評価
ソフトバンクグループ社債投資の評価ポイント
本リサーチ動画では、ソフトバンクグループ社債投資における評価ポイントについて説明しました。
アナリスト
保険
日本生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2023年3月期本決算を受けた日本生命の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
◎ 日本生命グループの概要、評価の方針 p. 1
◎ 日本生命(連結)の経営状況と国内外の事業状況 p. 5
- 日本生命連結での保険料等収入は6.4兆円となり増収傾向。ただし、増分の多くは一時払商品に起因。2022年度における連結基礎利益は4,794億円(前年比-43.7%)と大幅な減益。当期純余剰(利益)も1,182億円(前年比-65.9%)に留まった。
◎ 日本生命(相互会社単体)の経営状況 p. 8
i. 日本生命の保険事業の状況
ii. 日本生命の資産運用の状況
iii. 日本生命の経常利益の状況
◎ 日本生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況 p. 13
◎ 日本生命の信用格付け、債券の投資機会の考え方 p.16
アナリスト
保険
明治安田生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2023年3月期本決算を受けた明治安田生命の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
アナリスト
保険
第一生命のクレジット評価と社債投資の考え方
本レポートでは、2023 年 3 月期本決算を受けた第一生命 HD 及びグループ傘下の第一生命等の業績の傾向とクレジット投資における投資評価の考え方を示す。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループの2022年度通期決算とクレジット評価上の着目点
本レポートでは、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク G)の決算状況と、同社社債投資にあたってのクレジット評価上の着目点について確認する。
アナリスト
通信
楽天グループの2023年度第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
本レポートでは、楽天 G の決算及び上記などの要因を考慮した、同社クレジット投資評価上で重要と思われるポイントを確認する。
アナリスト
エネルギー
PEMEX(メキシコ石油公社;MDY B1/S&P BBB)のクレジット評価と社債投資戦略
本レポートでは、PEMEX(メキシコ石油公社)の経営状況と政府支援に関する格付機関別のスタンスを確認し、社債相場の現状を踏まえた同社債券に対する投資戦略を提案する
アナリスト
通信
楽天グループの2022年度通期決算とクレジット評価上の着目点
2023 年 2 月 14 日、楽天グループ株式会社(楽天 G)では、2022 年度(2022 年 12月期)の通期連結決算を公表した。本レポートでは、楽天 G の決算におけるクレジット投資評価上で重要と思われるポイントを確認する。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループのFY2022Q3決算とクレジット評価上の着目点
2023 年 2 月 7 日、ソフトバンクグループ株式会社は、2023 年 3月期 第3四半期の決算を公表した。本レポートでは、同決算内容のうち、同社発行社債などクレジット評価上で重要と考えるポイントについて解説した。