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# 投資適格債
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米ドル建て債券市場動向 週次:11月1日まで
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米ドル建て債券市場動向 週次:10月18日まで
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米ドル建て債券市場動向 週次:10月11日まで
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米ドル建て債券市場動向 週次:8月16日まで
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レポート
米国ドル建て債券市場動向 2023年5月時点
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レポート
米ドル建て銀行社債の取引傾向の変化
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個別発行体評価
ゴールドマンサックスの概要と投資評価ポイント
本動画では、ゴールドマン・サックスの概要とクレジット投資評価について解説する。
-ゴールドマン・サックスは、米国に拠点を持つ投資銀行で、支店網や個人向け預金口座を持つ商業銀行とは異なり、投資銀行業務やトレーディング業務、その他法人向け業務に特化した事業モデルが特徴的。
- 近年では、リテール/ウェルス業務にも参入したものの、事業の撤退や売却が相次ぐ等、個人向け業務では成功しているとは言い難い状況。
- 金融安定理事会(FSB)が定めるグローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)にもカテゴリー1として指定されている。
- 純収益の事業別構成比は、グローバルバンキング&マーケッツが約6割を占め、アセットウェルスマネジメントは3割、プラットフォームソリューションズは5%と相対的に小規模。
税引前利益の事業別構成比では、グローバルバンキング&マーケッツが約9割を占め、アセットウェルスマネジメントが1割。プラットフォームソリューションズは継続して赤字。
- FY2024 Q3におけるゴールドマンサックスのCET1比率(%/標準的手法)は14.5%となり、前年同期比で-0.3%下落。
CET1比率は、他の米銀と比較すると相対的に高い水準にあり、規制資本証券のベイルインまでの絶対的なバッファがより大きい。
ただし、一見してベイルインへの耐性が強そうに見えるが、実際には事業リスクが他銀行よりはるかに大きく、こうした違いを勘案する必要性がある。
- 2024年のゴールドマンサックスのストレステストの結果では、ストレス顕在化後のCET1資本は最悪時に8.5%まで低下する可能性があるとFRBから指摘されている。
- 同社の発行体格付けは、S&PがBBB+に据え置く一方、Moody’sとフィッチはA格中位とするなど、格付機関でも評価が分かれている。よって、シニア債(TLAC債)や、期限付劣後債(Tier2)等の投資においてはMoody’sやフィッチの格付けに準じた評価は妥当。一方、AT1証券については、S&Pのより厳しい信用力評価を参考にするべき。
- GSのシニア債(TLAC債)については、他の米商業銀行対比で相対的にスプレッドがのっており、より効率的な投資対象の一つとして、検討に値する。
個別発行体評価
ジョンソン・エンド・ジョンソンの概要と投資評価ポイント
本動画では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の事業概要と、クレジット投資評価を解説。
- J&Jは製薬、医療関連機器、その他関連製品の開発、販売を手掛ける多国籍企業。 広範な疾患領域に分散化された医薬品ポートフォリオは業界内でも最大レベルで分散化。さらに医薬品以外の売上も大きく、米国最大の医薬品企業として最も安定した事業モデルを確保。
- FY2023年の総売上は約850億ドル。医薬企業としては世界最大だが、医薬品の製薬会社別売上高で同社は3位。売上の約2/3が医薬品、1/3がメドテック(医療関連機器)。
- FY2023において同社最大の売上高を占めた医薬品は、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬のステラーラ(Stelara)。他社との和解、合意の結果、2024年内はバイオシミラーの販売の阻止に成功したが、2025年以降の増収は期待しにくい。
- 数多くの創薬パイプラインを保有(総保有件数は94件)。特にフェーズⅢと申請段階に数多く創薬パイプラインを抱えており、特許切れによるブロックバスター減収への懸念も解消されやすい。
- 同社は2023~2024年にも数々のM&Aを積極的に実施、医薬ポートフォリオを拡大。直近一年間の中では最も買収額が大きい買収案件はショックウェーブ・メディカル社で、買収総額は約125億米ドル。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」は、FQ2 2023以降、1倍未満と同業他社を大きく下回る水準で推移。同社の返済能力は同業他社に比べ相対的にかなり高い。
- J&Jは、主要格付機関(Moody's、S&P)から最も信用力の高い格付評価(AAA格相当)を受けている。
- 残存10年以下の、社債のスプレッド水準は、米国の財投機関並みの低い水準。AAAクラスの安定性を前提に米国債の代替としての投資を検討しうる投資家には、債券投資の検討対象となり得る。 一方で、米国の財投機関と大差ないスプレッドを民間企業としてどう見るかは検討課題。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第5週
本動画は、2024年10月25日から11月1日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2024年10月28日から11月1日まで)
大統領選の結果で細かい動きは変わり得るものの、現状の公約ではいずれの候補が当選しても、大規模減税により、米国の債務は増大し、インフレは再加速しやすい、というのが市場コンセンサス。この結果、利下げへの動きは停止し、再利上げも織り込んだ動きに。ただし、トランプ候補の経済・金融政策は定まっておらず、同候補が当選する可能性を考慮するほど、不安定性が高まりやすい状況。
〇米ドル建て債券起債動向
-起債額の特に大きかった銘柄は管理医療セクターのエレバンス・ヘルスの52億ドルの起債。債務借換え、事業から得たキャッシュ、新規起債による超過資金を合わせてM&A等の目的に充当の予定。2番目は、たばこセクターのフィリップ・モリス・インターナショナルの30億ドル。3番目は、政府開発銀行セクターのドイツ復興金融公庫の20億ドル。
〇米ドル建て社債取引動向
-前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
-最も債券の取引額が多かった金融機関債はJPモルガンチェース債、次いでバンクオブアメリカ債、ゴールドマンサックスグループ債だった。
-事業会社のうち投資適格債券で取引額が最も多かったのはメキシコ石油公社(ぺメックス)で、ウエイストマネジメント、ボーイングがそれに続いた。
〇米ドル建て債券価格動向
-ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
-大統領選の減税公約等がさらなる債務増とインフレを誘発するとの見方から、長期金利を含むイールドカーブも全般的に上昇。米国債金利が大きく変動する中、投資適格(IG)社債のスプレッドは小幅な変動に留まった。
-米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは衣料、繊維製品セクターのVF。投機級債で、最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS債。
-外国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。投機級債では探査・生産セクターのLeviathan Bond Ltd。
-金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは三井住友フィナンシャルグループ債。一方、最も下落したのはバークレイズ債。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:11月1日まで
本レポートでは、2024年10月25日から11月1日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2024年10月28日から11月1日まで)
大統領選の結果で細かい動きは変わり得るものの、現状の公約ではいずれの候補が当選しても、大規模減税により、米国の債務は増大し、インフレは再加速しやすい、というのが市場コンセンサス。この結果、利下げへの動きは停止し、再利上げも織り込んだ動きに。ただし、トランプ候補の経済・金融政策は定まっておらず、同候補が当選する可能性を考慮するほど、不安定性が高まりやすい状況。
〇米ドル建て債券起債動向
-起債額の特に大きかった銘柄は管理医療セクターのエレバンス・ヘルスの52億ドルの起債。債務借換え、事業から得たキャッシュ、新規起債による超過資金を合わせてM&A等の目的に充当の予定。2番目は、たばこセクターのフィリップ・モリス・インターナショナルの30億ドル。3番目は、政府開発銀行セクターのドイツ復興金融公庫の20億ドル。
〇米ドル建て社債取引動向
-前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
-最も債券の取引額が多かった金融機関債はJPモルガンチェース債、次いでバンクオブアメリカ債、ゴールドマンサックスグループ債だった。
-事業会社のうち投資適格債券で取引額が最も多かったのはメキシコ石油公社(ぺメックス)で、ウエイストマネジメント、ボーイングがそれに続いた。
〇米ドル建て債券価格動向
-ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
-大統領選の減税公約等がさらなる債務増とインフレを誘発するとの見方から、長期金利を含むイールドカーブも全般的に上昇。米国債金利が大きく変動する中、投資適格(IG)社債のスプレッドは小幅な変動に留まった。
-米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは衣料、繊維製品セクターのVF。投機級債で、最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS債。
-外国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。投機級債では探査・生産セクターのLeviathan Bond Ltd。
-金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは三井住友フィナンシャルグループ債。一方、最も下落したのはバークレイズ債。
投資戦略動画
グローバル銀行劣後債投資の考え方
日米欧の主要銀行における劣後債投資のリスク要因等の考え方について解説していきます。
1.主要銀行への劣後社債投資を検討する理由
2.重要な「銀行」をつぶさないための、損失吸収の仕組み - バーゼルIII銀行規制の概要 -
3.銀行破綻前のシグナル
4.商品性に起因する、時価変動リスクや商品特有の投資リスク
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第3週
本動画は、2024年10月11日から10月18日まで(ただし、起債額、及び取引額は10月14日~10月18日のデータを集計)の米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、10月14日~10月18日までの起債市場動向を確認する。
- RBC(ロイヤルバンクオブカナダ)は米ドル建てとカナダドル建て同時起債を実施。カナダドルのフォワードレートがプラスに転じる中、与信ニーズも高まり、大型同時起債を実施することとなった。
前週に公表された決算が好調だったモルガン・スタンレーは事業資金ニーズが高く、規制上の要件から非常時にベイルイン可能な持株会社発行のシニア債(TLAC債) に加え、より安全な子銀行債も合わせて発行。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、 JPモルガンチェース債、次いでゴールドマンサックスグループ債だった。
2,3位を占めた投資銀行2行では相次いでTLAC債の起債を実施。投資銀行業務が好調な中、既存債務の借り換えと損失吸収余力の拡大によるさらなる事業機会の拡大を目指す動きを受け、社債取引も活発化していた。
- 投資適格社債は、過去2週と同じ銘柄が主な取引対象。投機級では、米国の天然ガス価格の急落を受け、米州のエネルギー企業の社債が、集中的な取引の対象に。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 投資適格の米国籍事業債で、最も上昇したのは航空宇宙・防衛セクターのボーイング。ボーイングは、19日、ストライキを実施中の労働組合に対し4年間で35%の賃上げを含む新労働協約案を提示。労組側は23日に組合員の投票の予定。可決されれば1カ月以上にわたって実施されたストライキが終了するため、週末にかけて社債価格が上昇。米国籍の投機級事業債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス。
- 米国籍の投資適格債で最も下落したのが、投資適格債で最も下落したのが、管理医療セクターのセンティーン。米国の医療保険会社は、公的医療保険のメディケアとメディケイドからの支払い減少に直面。政府統計によるメディケアの平均支払い額が0.2%減少したとの統計情報が、主要医療保険会社の利益率圧迫懸念により、株式・社債の両時価の下落を誘引。
- 外国籍事業法人の投資適格債で、最も価格が上昇したのは林産物・紙製品製造セクターのスザノ・オーストリア。世界的なパルプ価格の上昇の中で、ESGとの兼ね合いでも負荷が限定されているブラジルのスザノ社の株価がFCF改善期待から上昇、同グループの米ドル建て資金調達に主に活用されている、子会社のスザノ・オーストリアの社債価格も上昇した。
- 投資適格の外国籍債で最も下落したのが、投資適格債で最も下落したのが、パイプラインセクターのエンブリッジ。北米(ヘンリーハブ)の天然ガス先物価格が、 10月18日には2.258(MMBtu)と過去5年で最低レベルまで急落、北米でパイプライン事業を営むカナダ企業エンブリッジでは、採掘地域の採算性の低さから輸送量の減少が懸念され、社債時価が下落した。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 前週の米国債市場は、主要指標の合間ということで材料出尽くし感もあり、値動きに乏しかった。
- 投資適格社債も、同様に値動きが減る中、個別の材料を求め、相対価値に基づく取引が進んだ。
- 株価指数は最高値を更新も、不動産価格指数や、実物資産価格は下落。高止まりする金利のさらなる上値が重い中、株価の急落に備え、ディフェンシブなポジションを債券で構築する機会か。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:10月18日まで
本レポートでは、2024年10月11日から10月18日まで(ただし、起債額、及び取引額は10月14日~10月18日のデータを集計)の米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年10月14日から10月18日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄は国際機関(Supra)セクターの国際復興開発銀行の51億ドルの起債。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はJPモルガンチェース債、次いでゴールドマン・サックス・グループ債だった。事業会社のうち、投資適格債券で取引額が最も多かったのはボーイング債。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。主要なマクロ統計の公表タイミングとずれたこともあり、週次での金利の動きは鎮静化。全年限で金利は横ばい。
- 米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは航空宇宙・防衛セクターのボーイング債。投機級債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスだった。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、林産物・紙製品製造セクターのスザノ・オーストリア。投機級債では化学工業セクターのUPLだった。
個別発行体評価
バークレイズ(Barclays PLC)概要と投資評価ポイント
バークレイズへの債券投資を検討するにあたって、8月1日に公表されたFY2024Q2までの決算を参照して,企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説します。
[バークレイズの概要]
- バークレイズは、イギリス国内でHSBCに次ぐ資産規模を持つ銀行であり、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[バークレイズの信用リスク評価の着目点]
(1). 収益力評価 - 評価軸 #1
収益力から見た場合、シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(2). 経営環境の変化への耐性- 評価軸 #2
経営環境の変化耐性には、重大な懸念点は無いものの、必ずしも他行より頑健ではなく。G-SIBsの中位程度。シニア債券の投資評価上はポジティブに評価。
(3). 資金流動性とRWA当たりの収益性 - 評価軸 #3
RWAあたりの収益性が相対的に高く、短期の資金流出による悪影響が生じにくい資金調達構造を維持。シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(4). 規制資本から見た安定性 - 評価軸 #4
劣後債投資に重要な、CET1資本に生じうる劣化がG-SIBsの中でも中程度(ただし平均を下回る)。AT1債の潜在的なコールスキップ・リスクはG-SIBsの中で相対的に高い。
[英国に特有の金融規制など]
- 英国では独自のリングフェンス規制を導入済。銀行持株会社の潜在リスクは、理論上、他地域に比べ相対的に高くなりやすい。AT1債のベイルインのトリガー条件も他地域(スイス以外)の銀行より高く、ベイルインが生じる潜在リスクがより大きい。ストレステスト結果の前提に「戦略的マネジメント施策」としてAT1債の損失吸収が含まれる可能性も。
[バークレイズの債券への投資評価]
- AT1債の投資評価;現時点ではベイルインリスクは抑制的だが、マクロ経済にストレスが生ずるとAT1債には配当停止やコール・スキップが生ずる可能性は他のG-SIBsに比べ相対的に高く非推奨。
- TLAC債(無担保シニア債)は良好な投資機会を提供。仕組み債の発行体としても同様の効用が存在。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:10月11日まで
本レポートでは、2024年10月4日から10月11日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年10月7日から10月11日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄はシェル・ファイナンスUSインクの債。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は前週に続きバンクオブアメリカ債、次いでJPモルガンチェース債だった。事業会社のうち、投資適格債券で取引額が最も多かったのはメキシコ石油公社(ぺメックス)。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。米国CPIの下げ渋りや堅調な雇用指標からくる景気の安定化期待もあり、利下げへの慎重論が増加、米国債イールドカーブも全般的に上昇し、7月中旬の水準まで戻す展開になった。
- 米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは石油:総合セクタースーパーマーケット&薬局セクターのクローガー。投機級債で、最も上昇したのは消費者サービスセクターのジオ・グループ債だった。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第2週
本動画は、2024年10月4日から10月11日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[全体動向]
- 米国CPIの下げ渋りや堅調な雇用指標からくる景気の安定化期待もあり、利下げへの慎重論が増加、米国債イールドカーブも全般的に上昇し、7月中旬の水準まで戻す展開に。
- 米ドル建て社債市場では、投資適格社債のスプレッドがおおむねタイト化した。一方で、投機級社債のスプレッドは拡大しており、信用リスクによる選別が広がった形となった。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、2024年10月7日から10月11日までの起債市場動向を確認する。
- 新たに観測された起債額の特に大きかった銘柄はシェル・ファイナンスUSインクの債。シェルでは、グループ内の債務を事業地域に合わせ再編するためにシェル・インターナショナル・ファイナンスの既存債券をシェル・ファイナンスUSインクの債券と交換するエクスチェンジ・オファーを実施、10月8日に新会社から巨額(計8本、114.6億ドル)の社債が発行された。
- 次に起債額が多かったのは、定期的な社債発行体であるトヨタ モーター クレジットの社債(計3本、30億ドル)。同社は、計30億ドルの巨額起債を実施。トヨタの7?9月期の米国新車販売は前期比-8%減の54.3万台。HV車等の販売は同+39%増の25.6万台に伸長した一方、複数車種でのリコールと生産停止が一時的な売上減少要因となった。同要因解消後の販売金融は回復の見込みであり、トヨタ モーター クレジットの資金調達は順当と評価。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、前週に続き大手米銀6行の債券。これに加え、新たに取引金額が増えていたのは、RBC(ロイヤルバンクオブカナダ)債。同銀行では、10/18のドル建て債、10/17のカナダドル建て債の起債がそれぞれ決まっており、また発行条件がそれぞれ10/8、10/9に決まる中で、入れ替えに伴う取引が大幅に増加した。さらに、カナダ国債の10y-2yの利回り格差は長らくマイナスであったが、長期金利の急騰により同年限間のフォワードレートがプラスに転じたことも、銀行経営上にプラスの評価となった。
- 事業会社のうち、投資適格の事業会社社債のうち上位4社(ボーイング、PEMEX、CVSヘルス、オラクル)は前週と同様に盛んな取引対象となっていた。加えてゼネラルモーターズ債の取引額が増えていた。投機級では、10/22の新発起債や日本製鉄によるUSスチール買収に絡んだ思惑などから、クリーブランド・クリフス社債の取引が増加した。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 米国籍の事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは投資適格の米国籍事業債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのクローガー。米食品スーパー2位のクローガーが同4位のアルバートソンズの買収条件をおおむね決定したことを受け社債価格も上昇(正式発表は14日)。実現すれば、首位のウォルマートの店舗数に迫る大型買収だが、まだ規制当局の承認は得られていない。
- 米国籍の投資適格債で最も下落したのが、航空宇宙・防衛セクターのボーイング。ボーイングでは、ストライキの影響を受け、11日に資金繰りの改善に向けた諸施策を発表。 全世界の従業員を1割削減、中型貨物機「767F」の生産中止、開発中の新大型機「777X」の初号機納入も1年遅れの2026年に。これを受け社債価格も下落。
- 外国籍の投資適格債では最も価格が上昇したのは総合石油セクターのトタルエネルジー・キャピタル・インターナショナル。次いで上昇したのは、欧州製鉄企業のアルセロール・ミタル債。日本製鉄が、11日、「米USスチール買収が実現した場合にアルセロール・ミタルとの米国での合弁を解消、合弁会社のAM/NSカルバート株式持分を約9億ドルの債権放棄後に1ドルでミタルに譲渡することで合意」と発表。市場ではミタル債が好感され購入対象に。
- 投機級債で、最も上昇したのは探査・生産セクターのLeviathan Bond Ltd。
- 投資適格の外国籍債で最も下落したのが、石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。過去3週にわたり上昇を続けてきたペメックス債だが、10/8にFitchレーティングスが、公式な格上げシナリオの前提条件を公表したことを受け、当面の材料が尽きたこともあり、大きく反落した。また、投機級の外国籍債で、最も下落したのは総合石油セクターのエコペトロル。
- 金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは金融機関の投資適格債で、最も上昇したのはBlackstone Private Credit Fund。
- 一方、最も下落したのが、ウエストパック銀行。2024年7~9月のオーストラリアの住宅価値の上昇率が前期比+1.0%上昇に留まるなど住宅需要の低下を受け、住宅向け与信が多いウェストパック銀やナショナルオーストラリア銀等の豪銀の社債価格が下落。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 米国債のイールドカーブは反転したが、金融当局の関心がインフレ抑制から経済・雇用対策に移った現状が変化したわけではない。
- マクロ的な指標からみれば、9月のFOMC前後は実態を超えた過度な金利低下のオーバーシュートが、その後の雇用指標を受けた後には過度な金利上昇のアンダーシュートが発生している。
- 投資家は、短期の相場変動に過剰に反応することなく、市場の真のトレンドに沿った投資評価を行うことで、利回りを確定させる投資機会を得やすい市場環境。
個別発行体評価
ソシエテ・ジェネラルの概要と投資評価ポイント
ソシエテ・ジェネラルへの債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。
[概要]
- ソシエテ・ジェネラルは、フランスでBNPパリバ、クレディアグリコルに次ぐ規模で、全世界に11万人以上の従業員を持ち、顧客数は2,500万人に上る巨大金融機関。
- また、同社はG-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[同行の事業構造]
- 同社の事業構成は大きく3つに区分(国内リテール銀行等/国際銀行・投資銀行等/海外リテール銀行等)。
- 足元では、国内外のリテール銀行は、いずれも減益トレンドを継続。投資銀行は増益のタイミングもあったがもともと不安定で持続性はない。
- 銀行事業に関しても、リテール向け融資に傾斜していることから、金利や失業率といったマクロ経済への影響度が高く、リスク分散の観点で、他の欧州主要行よりも安定性で劣る。
[同社の収益力評価]
- ソシエテ・ジェネラルの収益規模は大きな変動はない一方で、減益傾向が継続しており、収益性は悪化していると評価。
[同社の環境変化耐性]
- ソシエテジェネラルは費用水準が上昇傾向にあり、他行と比較し市場環境の変化に脆弱であると評価。
[同社の健全性評価]
- ソシエテ・ジェネラルは現時点の健全性指標に重大な問題点は見受けられず、現状ではG-SIBs内でも中程度の健全性であると評価。
- ただし、マクロストレステストではより大きな資本毀損が生じやすく、ストレス状況下では同行が発行する劣後債の時価に大規模な下方修正が生じる可能性も。
[同社のクレジット投資評価]
- 同行に対する投資で個人投資家などに最も効用が高いのは、シニア債とデフォルトのトリガー条件(実質破綻認定)が一致する、Tier2債(期限付劣後債)。ただし流動性面で投資機会が得られない場合には、無担保優先シニア債(TLAC債)にも投資の効用が存在。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第1週
本動画は、2024年9月27日から10月4日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[全体動向]
- 強い米国労働指標を受け、利下げペースへの期待が後退。前年限で米国債金利が上昇。ただし、6月までの労働統計上の失業者数の増加自体が、雇用者の減少ではなく移民などの流入に起因、今回はこれらが就業した結果を反映。
- 前々週に引き続き、社債は動意が薄く、スプレッドはほとんど変化しなかった。国債金利の急激な動きに社債市場がついてこれていない状況。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、2024年9月27日から10月4日までの起債市場動向を確認する。
- 新たに観測された起債額の特に大きかった銘柄は10月2日に発行した半導体セクターの「ブロードコム」の50億ドルの起債。債券の本数は4本、年限は3~10年、優先債調達。ブロードコムはストレージやネットワークの制御プロセッサー等を製造する半導体メーカー。長い年限の起債が難しい業態で、既存債務の借り換えが目的。(2025年に10億ドル以上、2027年に40億ドル以上が償還。)
- 次に大きい新規案件は、10月4日に発行したソフトウエア&サービスセクターの「Accenture Capital Inc」の50億ドルの起債。債券の本数は4本、年限は3~10年、優先債調達。アクセンチュアは機械学習に特に重点を置いたデジタル、クラウド、セキュリティ機能を構築する上で活発なM&Aパイプラインを維持しており、継続的な買収資金の調達が必要。買収は人材強化に効果的と説明。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、前週に続き大手米銀6行の債券。金融相場が大きく動く中、過去にも影響を受けた資産運用事業の構成比が大きいモルガンスタンレー社債の取引が増加した。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「メキシコ石油公社(ぺメックス)」が最も多く、「CVSヘルス」、「オラクル」がそれに続く。投資適格債では、前々週に引き続きぺメックスは格上げ期待からの取引が継続、また同様に新発債が出た直後のオラクル、ヒューレットパッカード社債も頻繁な取引の対象となった。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。とはいえ、価格変動のほとんどはベースとなる米国債金利に連動、スプレッドの変化は限定的。一部銘柄で限定的な物色が行われた形。
- 米国籍の事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのシェル・インターナショナル・ファイナンス。シェルは、グループ内の債務を米国事業と整合させるために既存のシェル・インターナショナル・ファイナンスB.V.発行の旧債券をシェル・ファイナンスUSインクの債券と交換するエクスチェンジ・オファーを実施していた。10月4日に最終結果が公表された。
- 米国籍の投資適格債で、最も債券価格が下落したのは、管理医療セクターのヒューマナ。ヒューマナは、米国で医療保険などを手掛ける管理医療会社。メディケア(高齢者向け公的医療保険)は、ヒューマナの主要な健康保険プランを格下げする方針で、来年以降同プランでは政府から支払われる追加収入が制限される見込み。
- 外国籍の投資適格債ではぺメックス債が上昇。また外国籍の投資適格債で最も下落したのは、、公益事業セクターのステート・グリッド・オーバーシーズInv2016だった。中国の経済停滞状況を受け、中国関連の社債が軒並み下落。中国国家電網(State Grid Overseas)や寧徳時代新能源科技の子会社(Contemporary Ruiding Development Ltd.)等の社債が値を下げた。
- 金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは三井住友フィナンシャルグループ、イギリスのナットウェストが続いた。米国金利が激しく変動する中、個別銘柄の物色が継続。英国での利下げの中で、英銀の中でも相対的に金利変動に対して堅固なビジネスモデルを持つナットウエストの社債価格が選別的に買われた形。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 米国国債カーブの変動が大きくなっている中、本質を見失わない投資スタンスが重要。
- マクロ指標は早急な景気対策を要するほど深刻な状況にはない。同時にインフレは抑制されており、穏やかな利下げペースに変更は生じにくい。
- 9月のFOMC時に、そもそもパウエル議長は「今回の▲0.5%のようなペースで利下げが進むと考えるべきではない」と言及。
- 過剰な期待や反動に振り回さわれる市場だが、本質を見誤らなければ、むしろ良好な投資機会を提供。
個別発行体評価
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(MDY:A2、S&P:A)事業概要と同社のクレジット投資評価
本動画では、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb Co.)(以下「BMS」と表記)の経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[BMSの事業概要]
- BMSのFY2023の売上は3割前後をがん腫瘍、免疫疾患、心臓病がそれぞれ占める構成。精神神経疾患(中核神経)領域における収益力強化に注力。
- 主力商品(ブロックバスター)5つの売上高合計が総売上高の75%以上を占めており、売上上位製品への依存度が高い構造となっている。
これらの商品は、いずれも2024~2030までの間に特許期限が切れる。
- ブロックバスターの収益機会喪失に対応するため、フェーズIIIまでの創薬ポートフォリオを充実化。FY2024Q1にも大型M&Aが3件を完了。
うち、2件はがん腫瘍疾患領域、残りの1件は精神神経疾患領域におけるシェア拡大が目的。
- 主力商品が、インフレ対策法の薬価交渉制度の対象となるなど、さらなる減収要因も。
[BMSの業績/財務状況]
- 直近四半期(FQ2 2024)における売上高は前年度同期より+8%ほどの増収で12,201(百万米ドル)。
Q2の営業利益は、前年度同期より▲10%ほどの減益で、1,559(百万米ドル)となった。なお、Q1の営業損益は大幅な赤字(3件の大型買収に起因)。
- 自己資本比率は大型M&Aの実施に伴い、FQ1 2024に▲14.3ポイントほどの大幅な下落がみられ16.7%まで悪化したが、FQ2 2024には18.0%へやや改善。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」はFQ1 2024にマイナスに転じたのち、直近四半期では2.87倍となった。
- M&Aによって得られた創薬パイプラインの収益化が進めば、有利子負債の圧縮が継続的に行いやすくなり、これらの指標も改善される可能性。
個別発行体評価
オラクルの概要と投資評価ポイント
本動画では、Oracle.corp(オラクル)のFY2025 Q1(2024/8月期)までの決算をもとに、オラクルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[オラクルの事業概要]
- オラクルは、データベースを中核に統合的なソフトウェア・サービスを提供。主に4事業分野からなる。
- 総売上高の7割強をコア事業であるクラウドサービス&ライセンスサポートが占めている。同事業は、オラクルの成長ドライバーである (年10%程度の成長を継続)。
半面で、他の3事業の売上高は、漸減傾向にある。
[クラウドサービス市場の構造]
- クラウドサービスは、大きく(i)SaaS(最も高付加価値で市場規模も大きい;アプリを含む)、(ii) PaaS(中位;プラットフォーム提供)、(iii) IaaS(最も基本的;インフラのみ)の3種に大別できる。
- 世界のクラウドサービス市場は急成長を継続している。最も高付加価値分野のSaaS-アプリが最も高い売上高を誇り、オラクルも同セグメントの売上高が最も高く市場シェア4位に位置する。
- SaaSは、各社が異なる付加価値で差別化を図っており、中長期での独自の強みを維持しやすい。IaaSのような低付加価値サービスは、スケールメリットによる価格競争力以外での差別化が相対的に困難。
[オラクルの業績・財務状況]
- 直近四半期(FY2025Q1)における売上高は、最も売上高構成比の高いクラウドサービス&ライセンスサポートへの新規顧客の流入によって、売上高が増大、前年比+6%強の増収。
- 営業利益・純利益の増益率は、+17.3%・+23.1%、また直近のQ1においてもそれぞれ +21.1%・+21.0%と十分な増益率を示していた。
- オラクルでは現在、事業の再編と効率化(売上原価率の改善)を図る2024年リストラクチャリング・プランを進行中。増収・増益によって十分な利益水準が保たれている状態での事業再編のため、特段に不安視する必要はない。
[オラクルの財務状況]
- FY2023のサーナー買収の影響で大幅に負債が増え、債務超過に陥っていたが、FY2023Q3に有利子負債圧縮を行い、債務超過を解消。Q1には7.8%まで急回復。
- 負債返済能力も同時に高めており、ネット有利子負債/EBITDA倍率が3.45倍まで低下(改善)した。
- 直近3四半期で営業CFの増加を裏付けとして投資規模を維持しつつも高水準のフリーCFを確保、同時に財務CFにおける返済超過が継続されている傾向から、オラクルの債務返済能力は向上、財務健全性も高まっている。
[オラクルの信用格付、及び社債、株式の投資評価]
- Moody’sからはBaa2格、S&PからはBBB格、FitchからもBBB格とされている。
- 高い売上高、CFの改善、業界の成長性を鑑みて、今後2-5年以内に格付けにポジティブな影響が顕在化する可能性も。
- グローバルなブロック経済化が進む中で、米国内の情報保全の重要性も高まっており、オラクルの米国市場における競争力は維持されやすいと考えられる。
- 利回りとスプレッドの期間構造から、2040年頃の満期(残存13~17年)のオラクル社債が、相対的に良好な投資機会を提供。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:9月27日まで
本レポートでは、2024年9月20日から9月27日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年9月20日から9月27日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄はハードウエアセクターの「ヒューレット・パッカード・エンタープライズ」の90億ドルの起債。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はバンクオブアメリカ債。債券の取引額が多かった金融機関債は、ほぼ大手米銀6行が占めた形。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「オラクル」が最も多く、「ボーイング」、「ヒューレットパッカードエンタープライズ」がそれに続く形となった。一方、投機級債券では「ベンチャー・グローバルLNG」の取引額が多かった。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。利下げを受け、2-3年の国債金利が低下。FOMC以降の金利変動はわずかに留まった。米国市場の社債利回りは、前々週にはイールドハンティングによりスプレッドが低下したが、先週は市場最低水準に近づいたスプレッドが、ほとんど動かなかった。
- 米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのが、半導体セクターのマイクロン・テクノロジー。投機級債ではケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 – 2024年8月末から9月末まで –
本レポートでは、2024年8月末から9月末までの相場動向と、米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。なお、弊社の金利・為替の予想値を本レポートのp.21-22に示した。
〇 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 2024年9月17日~18日のFOMCにおいて0.5%の利下げが行われ、政策金利(FF金利)の目標レンジは4.75〜5.00%に引き下げ。
〇 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 9月には米ドル建て個別社債(事業法人債など)の市場価格は上昇、利回りは、全面的に低下。全般的にスプレッドがタイト化。特に米国籍企業の投機級債では、さらにタイト化が進む(投機級の事業会社と金融機関だけは例外的にワイド化)。
〇 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ウーバー・テクノロジーズ、ヒューレット・パッカード等大型起債銘柄の即時売却取引、特に新発債の即時売却に伴う商いが多かった。
- この他、価格上昇を伴い頻繁な商いの対象になったのはボーイング、メキシコ石油公社(ペメックス)など。
〇 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
〇 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/10/1時点)p.21
個別発行体評価
バイオジェン(MDY:Baa2、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- バイオジェンはアメリカの医薬品メーカー。FY2023年の総売上は98.3億米ドルで、製薬会社別売上高で売上高20位内には位置していない、独自の専門性を有するバイオ薬メーカー。
- FY2023の総売上の5割弱を「多発性硬化症(中核神経疾病)」の治療薬が占める一方、各2割弱を希少疾患が占める事業構成。
- 主力製品のうち、TysabriやSPINRAZA等の売上高上位の医薬品については、特許権失効は2034-2035年と、まだ十分な時間が残されている。一方で、Tecfideraは特許切れが迫っており、2025年にはヨーロッパでの独占的販売権を失う予定。既にバイオシミラーによる市場シェアの浸食を受けており、今後も引き続き減収が見込まれる。
- バイオジェンの創薬パイプラインの総保有件数は21件と、より上位に位置する製薬企業と比較して案件の保有件数は少ない。ただし、創薬パイプラインの数は、おおむね製薬会社の売上規模に比例することを考えれば、バイオジェンのパイプラインは、必ずしも不充分なものではないと弊社では判断している。
- 過去2年間でも二件のM&Aが完了。従来から同社が得意とする中枢神経領域の地盤を固める一方でより競合製品の少ないニッチな医薬品をM&Aにより早期拡大するという、同社の経営戦略を反映。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、バイオジェンの製品は指定されにくく、同種のリスクは他社より小さい。
- バイオジェンは中核神経領域において最も高い占有率を維持。ただし、主要製品である3製品のFY2023における合計占有率は未だ40%程度を維持するも、過去5年間ではTecfideraの著しい減収により領域内シェアが大きく落ち込む(70%強→ 40%強)。
- 財務構造は、他の製薬会社に比べても頑健。
- 2024年は減収が継続の見込み。ただし、営業利益率はM&A実施直後と比べ大幅に回復。
- バイオジェンの5年債などには充分な投資の効用が存在。20年超の債券も2~3年の保有後に入れ替えを考える場合には効用がある。反面、満期保有を前提とした場合には、超長期にわたり差別化されたビジネスモデルを維持できるかどうかは、不安定性が存在、他銘柄に劣る可能性。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第5週
本動画は、2024年9月20日から9月27日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[全体動向]
- FOMCで利下げが確定した後、これまで期待が先行していた長期・超長期債はスティープ化(長短金利差が増す)する一方で、利回り水準は低下しにくい状況。
- 長期・超長期の利回りにフォーカスした長期保有投資による利回りベースでの投資が引き続き有効であることが確認された。一方で、短期の価格変動にベットしたストリップス債投資等の有効性は低下。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、2024年9月20日から9月27日までの起債市場動向を確認する。
- 起債額の特に大きかった銘柄はヒューレット・パッカード。AI革命に伴う成長を目指したジュニパーネットワークスの買収資金として前々週の強制転換優先株発行に続いて、前週にはシニア債の巨額起債を実施した。
- オラクルも、大型起債を実施。同社は2022年に実施した医療用デジタル情報システムのプロバイダであるCerner買収後、財務レバレッジが悪化していた。今回の起債は負債の借換えと一般的な資金需要が背景。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、前週に続きバンクオブアメリカ債、次いでシティ・グループ債だった。債券の取引額が多かった金融機関債は、ほぼ大手米銀6行が占めた形。むしろ前週までのようにトピック的な理由でのその他銘柄の取引が含まれなかったことで平常時に戻った形。
- 事業会社のうち、事業会社のうち、投資適格債券では「オラクル」が最も多く、「ボーイング」、「ヒューレットパッカードエンタープライズ」がそれに続く。投資適格債では、大型起債を行ったオラクル、ヒューレットパッカードの社債が入れ替えニーズを背景に積極的な取引対象に。特にHP債の取引は9月28日に集中。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。利下げを受け、2-3年の国債金利が低下。FOMC以降の金利変動はわずかに留まった。米国市場の社債利回りは、前々週にはイールドハンティングによりスプレッドが低下したが、先週は市場最低水準に近づいたスプレッドが、ほとんど動かない展開に。
- 9月25日に2024/8月期決算を公表したマイクロン・テクノロジーが、8四半期で最高の売上高・営業利益を示したことを好感され、社債価格が上昇。人工知能向けに急拡大している広帯域メモリー(HBM) の需要増が影響。
- 投機級債で、最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS。
- 外国籍債ではぺメックス債が上昇の背景、には、JPモルガンのアナリストが流した「Fitchによる同社の区分が、採掘会社から公共企業に変更になれば、格上げ対象になりうる」との見解が影響。ロンドンで開催されたFitchのカンファレンスでの議論を受けたもの。また、投機級債で、最も上昇したのは林産物・紙製品製造セクターのマーサー・インターナショナル。
個別発行体評価
アムジェン(MDY:Baa1、S&P:BBB+、Fitch:BBB) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- アムジェンはアメリカのバイオ医薬品メーカー。FY2023年の総売上は約282億米ドルで、グローバル製薬会社の中で売上高では10位前後。
- FY2023の総売上は、3割前後を「一般医薬品(主に骨粗鬆症,心臓病関連)」、「がん腫瘍」がそれぞれ占め、2.5割を「炎症」が占める事業構成。
- FQ2 2024 では前年度同期比で+20.1%の増収、売上高は8,388(百万米ドル)。M&Aで取得した医薬品が増収に大きく貢献。
- 主要医薬品の多くは2030年までに期限が切れる見込み → 一方で、創薬ポートフォリオの拡充目的で実施したM&Aにより創薬パイプラインにはフェーズⅢが多い。
過去2年間でも二件のM&Aが完了。高額な買収費用を拠出することによってパイプラインだけでなく、既に商品化された製品の取得にも積極的に取り組んでいる。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、アムジェンの製品からは免疫疾患領域を適応症とするEnbrelが指定されている。
- 同社のブロックバスターとその特許期限を意識すれば、今後も創薬ポートフォリオの安定化のためにM&Aは継続されやすいとみる。この結果、ただでさえ同業他社比で劣る財務比率はさらに低下する可能性がある。
- 脆弱な財務構造に対し、市場のスプレッドはタイトに評価。
- 単体でみた場合の投資に問題はないが、同業他社比でみれば割高なプライシングがされており、より効率的な製薬社債の投資機会が別に存在しうる、と評価している。
個別発行体評価
ギリアド・サイエンシズ(MDY:A3、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- ギリアドサイエンシズは、アメリカの製薬メーカー。FY2023年の総売上高は271億米ドルで、グローバル製薬会社の中では売上高で15位前後の規模。
- ギリアドは、HIV(AIDS)を含む感染症、がん腫瘍、肝臓病などの疾患領域に強み。特にHIV関連が総売上の7割弱を占めている(HIV薬は、大衆薬とは異なり中長期にわたり安定した収益構造を維持しやすい) 。同社製品で最も高い売上高を獲得したHIV対処薬のはBiktarvyで、FY2023総売上高の44%を占める。特許期限がFY2036まで有効であることから競合品の台頭による収益低下のリスクも小さい。
- ギリアドが提供するHIV対処薬は、治療薬ではない点に注目。HIVは発症時の致死率が高く、投薬が継続される可能性が高い。欧米で患者数が増え続ける中、持続的な売上が維持されやすい。
- ギリアドでは、肝疾患領域でのシェア拡大を目的として、シーマベイ社の買収を完了。Covid対処薬に代わる売上成長と事業分散の強化に向けた施策。
- 同社は薬価交渉制度による薬価引き下げのリスクは小さく、他の米系製薬メーカーと比べても、相対的に頑健なビジネスモデルが維持されやすいと考える。
- 同社では強力な資金創出能力により、M&Aに伴う財務の一時的な劣化をカバーし、健全性を維持している。また、同社は発行体としての相対的に高い信用力評価(MDY:A3、S&P:BBB+)を受けている。S&Pは、財務面では既にA-レベルにあり、収益強化で格上げ可能性とコメント。
- 同社の社債は、製薬業界の中でも独自の頑健なビジネスモデルを維持しやすく、20年超等の債券の長期安定保有にも向くと評価。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:9月20日まで
本レポートでは、2024年9月13日から9月20日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年9月13日から9月20日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄は総合銀行セクターの「シティグループ」、TLAC債で71億ドルの大型起債を実施。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はシティグループ債。新発債の大型起債に合わせた、シティグループ債の入れ替えに伴う広範な取引が、前週に引き続き観測された。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「ヒューレットパッカードエンタープライズ」が最も多く、「ボーイング」、「インテル」がそれに続く形となった。投機級債券では「ロイヤルカリビアンクルーズ」の取引額が多かった。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。FOMCでの0.5%の利下げを受け短期金利(1~5年)は大きく低下したが、10年超の金利はわずかにしか反応せず、特に25年超の金利はほぼ変化なし。米国国債の利回りが下がりにくくなる一方、イールドハンティングの目的で社債は幅広く買われ、スプレッドは全般的に低下。特に低位ハイイールド債のタイト化が著しい状況。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第4週
2024年9月13日から9月20日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
- 起債額の特に大きかった銘柄は総合銀行セクターの「シティグループ」、TLAC債で71億ドルの大型起債を実施。
- 2番目は、医薬品セクターの「ノバルティス・キャピタル」。昨年のチヌーク・セラピューティクス買収以降、弱っていた財務の強化が図られることに。
- 3番目は、生活必需品小売セクターの「ブンゲ・リミテッド・ファイナンス」。
(2)流通市場における取引金額
- 2024年9月13日から9月20日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はシティグループ債。新発債の大型起債に合わせた、シティグループ債の入れ替えに伴う広範な取引が、前週に引き続き観測された。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「ヒューレットパッカードエンタープライズ」が最も多く、「ボーイング」、「インテル」がそれに続く形となった。一方、投機級債券では「ロイヤルカリビアンクルーズ」の取引額が多かった。
(3)流通市場における価格動向
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- FOMCでの0.5%の利下げを受け短期金利(1~5年)は大きく低下したが、10年超の金利はわずかにしか反応せず、特に25年超の金利はほぼ変化なし。
- 米国国債の利回りが下がりにくくなる一方、イールドハンティングの目的で社債は幅広く買われ、スプレッドは全般的に低下。特に低位ハイイールド債のタイト化が著しい状況。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは旅客航空輸送業セクターのアメリカン航空2015-1クラスAパス・スルー債だった。前週まで下落を続けていたインテル債は、クアルコムによる救済的合併の可能性が報じられ、反転上昇した。また、投機級債で、最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS債だった。
- 外国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。一方で、最も下落したのは化学工業セクターのUPL。
- 金融機関の投資適格債では、最も上昇したのはサンタンデール・ホールディングスUSA債。一方、最も下落したのはJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー債。
(4) まとめ
- FOMCで「利下げ」が確定した中、これまで期待が先行していた長期・超長期債はスティープ化(長短金利差が増す)する一方で、利回り水準は低下しにくい状況。
- 長期・超長期の利回りにフォーカスした長期保有投資による利回りベースでの投資が引き続き有効であることが確認された。一方で、短期の価格変動にベットしたストリップス債投資等の有効性は低下。
個別発行体評価
ボーダフォンの概要と社債投資の評価ポイント
本動画では、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
◎ボーダフォンの信用格付け(発行体格付け)はBBB格中位。S&Pでは6/30に格付見通しをポジティブから安定的に引き下げ。当面、信用格付けが上方修正される余地は限定されやすい状況。
◎社債投資評価の3つのポイントは、(1)同社の利益水準は当面の事業再編を経る中でも一定の水準を保持し継続可能、(2)財務レバレッジを目標ガイダンスの下限を以上に維持することへの経営陣のコミット、(3)事業価値の保全可能性の高さ
◎事業モデルの持続性に不安があり、株式投資の観点での評価は高くない。シニア債については、米ドル建ての20年超の超長期債に投資妙味。ハイブリッド劣後債については、初回コール日までの期間が長い債券を売却し、同期間が短い債券に入れ替えるような投資戦略が有効。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第3週
2024年9月6日から9月13日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
- 起債額の特に大きかった案件は、9月10日に発行した総合銀行セクターの「バークレイズ」の45億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は4~11年、優先債調達。
- 2番目は、9月9日に発行したインターネットメディアセクターの「ウーバー・テクノロジーズ」の40億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は5~30年、優先債調達。 同社は、クルーズ社との自動運転車のプラットフォーム構築で業務提携に至っており、今後の投資資金需要もあって巨額起債を実施した。
- 3番目は、9月10日に発行した石油:総合セクターの「トタルエネルジー・キャピタル」の30億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は10~40年、優先債調達。
(2)流通市場における取引金額
- 2024年8月31から9月6日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は、シティグループ債。今週は同社や他の地銀で、クレジット・カード債権等無担保消費者信用の取り扱いが多い企業の社債が積極的に取引された。
- 投資適格債券ではストライキ問題も生じたボーイング債が商われ、これに加え8月にBBB+格ゾーンに格下げされたインテル債も積極的に取引された。投機級債券では、カリフォルニアで電力・ガス供給を行うPG&Eの社債が取引額を増やしていた。
(3)流通市場における価格動向
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- FOMCを控え-50bpsの利下げとの思惑も広がり、米国債金利はさらに低下、特に3~5年ゾーンの金利低下が著しく進展した。この結果、5年~20年にかけての順イールド化も更に進展した。
- 米国市場の社債利回りは、ほぼ米国債の利回り変動に連動し、スプレッドの変動はわずかに留まった。より低格付けのB格だけは、スプレッドが拡大した。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは娯楽コンテンツセクターのワーナー・ディスカバリー・コミュニケーションズ債。これまで時価が低下してきた同社債は、チャーター・コミュニケーションズとの配給契約を増額して更新し安定収益が期待されることを受け反転上昇した。投機級債で、最も上昇したのは小売(一般消費財)セクターのリバティ・インタラクティブ。
- 投資適格債で最も下落したのが、コーチなどのブランドを有するハンドバッグメーカーのタペストリーは、ライバル企業のカプリを買収合併を目指すが、米国連邦取引委員会(FTC)が差し止め訴訟を起こし、混乱を嫌気した市場で社債価格も下落した。また、投機級では、自動車生産に不安が高まる中、部品メーカーのアメリカン・アクスル&マニュファクチャリングや自動車パーツ小売りのアドバンス・オート・パーツなどの社債価格が下落した。
- 外国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのはパイプラインセクターのトランスカナダ・パイプラインズ。投機級債で、最も上昇したのは林産物・紙製品製造セクターのマーサー・インターナショナル。
9月に入り65.69$/bblまで低下したWTI価格が反転し71$/bblを回復したことを受け、投資適格・投機級ともにパイプラインや油井を有する総合石油企業の社債価格が上昇した。
- 外国籍の投資適格債で最も下落したのが、金属・鉱業セクターのKRAKATAU POSCO(クラカタウ・ポスコ,インドネシア)。投機級債で、最も下落したのは化学工業セクターのメタネックス。
中国経済の減速の中、アジアの鉄鋼企業であるKrakatau Posco社債は鋼材相場の低迷懸念から下落。また、原油価格が上昇する中、価格転嫁が難しい石油化学系企業の社債も下落した。
- 金融機関の投資適格債で、米銀シチズンズ・ファイナンシャル・グループでは、CFOが非中核債権ポートフォリオの縮小に、損失計上を要する取引はしない考えを表明したことを受け、債券価格が上昇した。
- 一方、最も下落したのが、スペインのサンタンデール・ホールディングスUSA債。
(4) まとめ
- 先週は、FOMC前ということもあり、景気に敏感なセクターの社債がテーマ的に商われた。FOMC後には再度、マクロ的なテーマに沿った取引が進みやすくなるものと思われる。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:9月13日まで
本レポートでは、2024年9月6日から9月13日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年9月6日から9月13日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった案件は、9月10日に発行した総合銀行セクターの「バークレイズ」の45億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は4~11年、優先債調達。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は、シティグループ債。今週は同社や他の地銀で、クレジット・カード債権等無担保消費者信用の取り扱いが多い企業の社債が積極的に取引された。
- 事業会社のうち、投資適格債券ではストライキ問題も生じたボーイング債が商われ、これに加え8月にBBB+格ゾーンに格下げされたインテル債も積極的に取引された。投機級債券では、カリフォルニアで電力・ガス供給を行うPG&Eの社債が取引額を増やしていた。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。FOMCを控え50bpsの利下げとの思惑も広がり、米国債金利はさらに低下、特に3~5年ゾーンの金利低下が著しく進展した。
アナリスト
通信
ボーダフォン(Vodafone Group Plc)の事業概要と同社クレジットの評価アップデート
本レポートでは、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
ボーダフォンは、事業規模の観点では、欧州の一部同業他社をはるかに凌駕する事業規模を有していたが、多くの市場では他のトップ・モバイル事業者に対し、競争力の面で充分な優位性を保持できていない。結果としてイタリア・スペインからの撤退を含む大規模な事業再編を実施中。
〇 無線通信会社のクレジット評価上の特性 p.2
〇 ボーダフォンの事業概要 p.5
〇 ボーダフォンの地域別の事業状況 p.9
〇 ボーダフォンの業績(P/L)状況 p.14
〇 ボーダフォンの財務(B/S)の状況と返済余力の見方 p.16
〇 ボーダフォンの事業再編状況 p.19
〇 ボーダフォンの信用格付、及び社債の投資評価 p.22
〇 Appendix 主要市場4か国におけるボーダフォンの事業状況 p.29
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:9月6日まで
本レポートでは、2024年8月30日から9月6日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
なお、弊社の金利・為替の予想値を本レポートのp.11に示した。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年8月30日から9月6日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった案件は、9月5日に発行した消費者金融セクターの「マスターカード」の30億ドルの起債。債券の本数は3本、優先債調達。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は、新発債の起債に伴う入れ替えニーズがあった「バンク・オブ・アメリカ」、「モルガンスタンレー」、「シティグループ」等。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「ウーバー・テクノロジーズ」が最も多く、「インテル」、「メタプラットフォームズ」がそれに続く形となった。一方、投機級債券では「フロンティアコミュニケーションズペアレント」の取引額が多かった。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。米国市場の社債利回りは、国債利回りの低下に合わせ全般に低下したが、一方でスプレッドは全般に拡大。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年9月6日-
2024年8月6日から9月6日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年、20年、30年と利回り水準別に分けて確認。
◎ 米国社債市場の状況:
-米国国債金利の低下に連動し7月末から9月初頭にかけ、米国社債利回りは短期から長期のいずれの年限でも低下した。米国長期債(10年)では、7月31日の4.05%から9月6日には3.69%まで一気に低下。
-投資適格社債(2-5年)の利回りは3.8%~4.8%(前月比約-0.30ポイント)と低下した、スプレッドはタイト化した。10年の利回りは4.3%~5.3%と低下(前月比約-0.25ポイント)、スプレッドはタイト化した。
-長期ゾーン(20年-30年)の利回りは4.7%~5.7%と低下(前月比約-0.26ポイント)、スプレッドは若干タイト化した。
-投機級(ハイイールド)では、平均利回り(2-5年)は5.5%程度、20-30年は6.8%程度。前月に比べて、利回りはわずかに低下、スプレッドはタイト化した。
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの分類条件 p.1
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの全体傾向 p.2
◎ 各米ドル建て投資適格社債(IG)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.5
◎ 各米ドル建て投機級社債(ハイイールド)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.18
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第2週
2024年8月30日から9月6日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
- 5日の木曜日前後には、歴史的にみても巨額の起債案件が集中した。通常であれば、大型起債は需給面からスプレッドの拡大要因になりやすいが、今回は逆にタイト化に影響した。FRBの利下げ期待が高まってはいるものの、発行体は今の金利・スプレッド水準で起債した方が有利だと考えた結果を反映。つまり起債市場は、既に市場レートが利下げ後を織り込んだ水準に近いとみなしている、と考えらえる。
- 起債額の特に大きかった案件は、9月5日に発行した消費者金融セクターの「マスターカード」の30億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は3~10年、優先債調達。
- 2番目は、9月3日に発行した廃棄物・環境サービス・機器セクターの「ベラルト」の21億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は2~9年、優先債調達。
- 3番目は、9月5日に発行した自動車セクターの「アメリカンホンダファイナンス」の18.5億ドルの起債。債券の本数は3本、年限は2~5年、優先債調達。
(2)流通市場における取引金額
- 2024年8月31から9月6日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は、新発債の起債に伴う入れ替えニーズがあった「バンクオブアメリカ」で、「モルガンスタンレー」、「シティグループ」等の債券が続いた。
- 米国G-SIBs以外で取引の多かったのは、HSBC債、UBS債であった。
- 投資適格の事業会社社債では、「ウーバー・テクノロジーズ」が最も多く取引され、「インテル」、「メタプラットフォームズ」がそれに続く形に。投資適格債でより積極的に取引されたウーバーは、8月に公表されたFY2024Q2決算が好調、さらに22日にはCruise社と自動運転車導入に向けた戦略的パートナーシップを発表、これらが好感された。
- 投機級債では、フロンティアコミュニケーションズ、CSCホールディングスが取引対象に。特にCSC債は取引が急増(通常の2倍以上を継続)、乱高下していた。
(3).流通市場における価格動向
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 米国市場の社債利回りは、国債利回りの低下に合わせ全般に低下したが、一方でスプレッドは全般に拡大。米国債に比べ米ドル建て社債の利回りが維持されていることを示している。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのはヘルスケア施設・サービスセクターのサターヘルス。大統領選で個人医療費の価格抑制が話題となり利用増大期待から上昇。次いでカリフォルニア州で電力・ガスを独占的に供給するPG&Eが続く形。電力会社のPG&Eは定期発行体でスプレッドが維持されやすく、国債連動で債券価格が上昇。
- 投機級債で最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS。新たな動きでは娯楽コンテンツのパラマウント債が上昇。- 投資適格債で、最も下落したのはパイプラインセクターのEQMミッドストリーム・パートナーズ。エネルギー相場の下落を受け、パイプラインのEQM、ターガ・リソーシズや探査・生産のデボン・エナジー等のエネルギー企業債が下落。
(4) まとめ
- 先週は、株価が下落し米国国債の長期金利に加え2年までの短期金利も引き続き低下。イールドカーブのスティープ化(急角度化)も進む。国債・社債共に居所を探る展開が継続。
- 当面、ドル円レートは140円台のボックス圏、米10年国債利回りは3%台後半で推移すると想定。
個別発行体評価
明治安田生命の概要と投資評価ポイント
[明治安田生命グループの概要]
- 明治安田生命は2024年3月期における連結年間保険料収入が3.3兆円、連結総資産が52.9兆円の巨大企業。
- 年換算保険料(2023年度)の大きさでは4大民間生命の第3位に位置する。
- 2024年9月に新発でドル建てのハイブリッド劣後債を起債したため、当面は流動性が高まりやすい。
[明治安田生命の連結ベースの経営状況と、国内外の事業状況]
- 2023年度の連結保険料(再保険を除く)は3.33兆円、前年比-9.0%の減収、海外事業の保険料は15%を占め前年比+10.6%の増収
- 2023年度における連結基礎利益は5,610億円となり前年比+39.6%の大幅増益
- 明治安田生命連結での当期純余剰(利益)は1,535億円(前年比+78.8%)の大幅な増益
[明治安田生命(相互会社単体)の経営状況]
①. 明治安田生命の保険事業の状況
- FY2023における単体保険料は2兆8,172億円、前年同期比で-11.8%減収。
- 単体基礎利益は4,989 億円となり、前年比で+34.3%の増益。
②. 明治安田生命の資産運用の状況
- 一般勘定運用資産残高は約46.8兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 2023年度の有価証券運用利回りは3.56%と極めて好調。資産別の運用利回りは、外国株式と不動産を除き上昇。ただし外国株式も依然として高水準。
③. 明治安田生命の経常利益の状況
- 明治安田生命の経常利益は2,310億円、前年比で-18.4%の減益。
- 臨時費用の拡大とキャピタル損益の赤字が寄与。
[明治安田生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]
- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、グループ連結ベースで1033% 、明治安田生命単体ベースで996% と極めて安定した水準を維持(4社中1位)
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2024年3月末時点で220%との数値を開示。いずれの指標からも、明治安田生命はきわめて健全な財務体質を有する保険会社と評価。
個別発行体評価
日本生命の概要と投資評価ポイント
日本生命への債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。
[日本生命の概要]
- 日本生命は、国内の民間4大生命(日本、第一、明治安田、住友)の1社であり、長年にわたり業界首位の保有契約高を誇る相互会社。
- グループ連結での年間保険料収入は約8.6兆円と、大手4社のうちの同業他社比で突出した高い水準。
[日本生命(連結)の経営状況と国内外の事業状況]
- 日本生命の連結保険料等収入は増収傾向。増分の多くは銀行販売チャネル(前年比+64.7%)と、営業職員チャネル(前年比+21%)に起因。
2023年度における連結基礎利益は7,640億円と前年比+59.4%と大幅な増益。 日本生命連結での当期純余剰(利益)も4,124億円(前年比+190.2%)と大幅増益。
[日本生命(相互会社単体)の経営状況]
①. 日本生命の保険事業の状況
- 2023年度における日本生命単体の保険料等収入は52,974億円(前年比+14%)と増収。基礎利益は7,087億円(前年比+42.1%)と増益。危険差益(死差益)が2,808億円(前年比+19.8%)、利差益が3,733億円(前年比+70.4%)の増益が寄与。他の国内四大生保より、国内事業が相対的に好調。
②. 日本生命の資産運用の状況
- 2023年度末における日本生命の一般勘定運用資産残高は約82兆円とFY2022Q2以降増加継続。
- 日本生命の運用資産は様々なセクターに分散しているが、四大民間生命の中では、国内外の株式への投資比率が相対的に高いことが特徴の一つ。
- 2023年度末の運用利回りは2.00%まで低下(前年は2.08%)。資産別の運用利回りは、国内株の運用利回りが最も高い。
③. 日本生命の経常利益の状況
- 2023年度の日本生命の経常利益は5,813億円、前年同期比+308.5%の増益。
- 内訳に基礎利益の増益、臨時費用の縮小が寄与。
[日本生命の連結/単体のソルベンシー・マージン比率、ESRの状況]
- 金融監督指標である国内ソルベンシー・マージン比率は、連結で1023%、単体で980%と極めて安定した水準を維持。民間大手生保4社の中で最も高い水準。
- 2025年4月以降に適用される新たな監督指標であるESRでは、2023年度の決算時に初めて224% (2023年3月末時点)。この数値も同業他社の中でも最も高い水準。
- 長らく安定性についても業界首位であったが、近年では明治安田生命に逆転されている。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 -2024年7月末から9月初旬まで-
本レポートでは、2024年7月末から9月初旬までの相場動向と、8月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。なお、弊社の金利・為替の予想値を本レポートのp.21-22に示した。
〇 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 利下げ期待から3-5年の利回りが最も大きく下落、3~20年のイールド・カーブは、全体として順イールドの傾きが強まり、長短金利差が拡大。
- 投資適格社債のスプレッドは、特に5年ゾーンでタイト化。一方、2年や10年では若干のワイド化を観測。
〇 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 米国籍の投資適格では、電気機器製造、化学工業、医療機器・装置製造、などの社債単価が上昇。投機級では、相対的に単価上昇が大きかったのは、ケーブルテレビ・衛星放送、娯楽コンテンツ、容器・梱包など。
〇 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、メタ・プラットフォームズ等大型起債銘柄の即時売却取引。
〇 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
〇 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/9/3時点)p.21
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第1週
2024年8月23日から8月30日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
[起債市場の傾向]
-起債額の特に大きかった案件は、8月27日に発行したスーパーマーケット&薬局セクターの「クローガー」の105億ドルの起債。債券の本数は7本、年限は2~40年、優先債調達。
クローガーの巨額起債は、大規模スーパーマーケットチェーンのアルバートソンズとの合併交渉を踏まえたもの。同問題はオレゴン州に8つの州とコロンビア特別区が連邦取引委員会(FTC)に加わるなど政治問題化。
-2番目は、8月27日に発行した国際機関セクターの「欧州投資銀行」の50億ドルの起債。債券の本数は1本、年限は5年、優先債調達。通常の投資業務の資金を調達する普通債を8/27に50億ドル発行、その前後に環境対応資金を調達するための気温意識向上債(CAB)も起債。
[流通市場における取引金額]
- 2024年8月23から8月30日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガンチェース」がそれに続く形。ただし、前週より取引金額規模は縮小。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「クローガー」が最も多く取引された。
- 投機級債では、オクシデンタルペトロリアムが2024年8月末までに償却される債務23億米ドルに対し資産の売却と調達を進め、短期的なバランスシートの改善を達成、買い材料に。
[流通市場における価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 8月初頭の米国債金利の急落後は、修正後の水準をおおむね維持しながら推移していたが、5年~20年にかけての順イールド化が進展。
- 米国市場の社債利回りは、前週には国債利回りの低下に合わせ全般に低下したが、本期間ではほぼ横ばいで推移。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは旅客航空輸送業セクターのアメリカン航空。
次いで上昇したジョン・ディア・キャピタル債の市場価格の背景には、これまで世界の建築や農業が減速する中で、特に売られ過ぎていた同社債に、売り圧力と買い戻しが発生したことにある。
- 債券価格が下落で目立ったのは米ディスカウントチェーン、ダラー・ゼネラルの社債。主要顧客の低所得者層が支出を控え、通期の売上高見通しを下方修正したことが影響。
- 投機級債で、最も下落したのは娯楽コンテンツセクターのAMCネットワークスだった。
-外国籍事業法人の投資適格債で、最も価格が上昇したのは再生可能エネルギーへの投資を重視する総合電力事業者のエネル・チリ債。同社は、国内最大規模のハイブリッド再生可能エネルギー発電センターとなるPFVラスサリナスの商業運転を7月末に無事に開始させ、CFの改善が期待されることも材料視された。
外国籍事業法人の投機級債で、最も上昇したのは化学工業セクターのUPLだった。
-外国籍事業法人の社債で最も価格が下がったのは、前週に引き続きメキシコ石油公社(PEMEX)。メキシコ・ペソ安が継続し2022年並みの20ペソ/米ドルに近づいたこともあり、ドル負債資金の調達懸念から続落。
また外国籍事業法人の投機級債で、最も下落したのは林産物・紙製品製造セクターのマーサー・インターナショナル。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:8月23日まで
本レポートでは、2024年8月19日から8月23日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年8月19日から8月23日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄はソフトウエア&サービスセクターの「ローパー・テクノロジーズ」。資金使途は、既存債務の借り換えを含む一般的な資金繰り。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガン チェース」がそれに続く形。ただし、前週より取引金額規模は縮小。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「クローガー」が最も多く取引された。大規模スーパーマーケットチェーンの、クローガーとアルバートソンズの合併案に対し、連邦取引委員会(FTC)の反トラスト規制当局が反対、仮差止命令の請求を認めるかどうかが週明けに判断されることが、材料視された。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.5
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。前週の米国債金利は急落後の水準をおおむね維持しながら推移。米国市場の社債利回りは、国債が微増(10Yは微減)に転じたのに対し、全体的には先週に続き下落傾向。
個別発行体評価
インテル(Intel)概要と社債投資の評価ポイント
インテルへの米ドル建て債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価上のポイントまで簡潔に解説します。
[インテルの事業概要]
- インテル(Intel Corporation)は、コンピューター部品及び関連製品を設計、製造、そして販売する半導体メーカーである。売上高の半分をClient Computing (CCG)事業、そして3割前後をData Center & AI(DCAI)が占める。
[世界のCPU市場とインテルの市場シェアの状況]
- 顧客向けx86 CPUのシェアで見れば、インテルのシェアは79.4%と首位であるものの、AMDの追随により減少傾向が続いている。
- サーバー向けCPU市場では、アクセラレーションコンピューティングの台頭によりx86 CPUのシェアが弱体化し、インテルのシェアも縮小傾向にある。
- CHIPSプラス法による政策支援を受け期待が高まるファウンドリー事業への本格的な参入を図っているものの、競合となるTSMCやサムスンとの差は依然大きい。
[インテルの業績・財務状況]
- FY2023における連結売上高は、PCやサーバー等の需要が減退したことで、前年比-14.0%の2桁減収であった。営業利益はトップラインの減少に伴い、-98.8%と大幅な減益となった。
- 売上高を地域別でみると、中国が最も大きい売上構成比を占めており、米国で導入されたCHIPS法によって、設備投資が加速される一方で中国への厳格な輸出規制が行われることから、売上に影響を受ける可能性がある。
[インテルの財務状況]
- EBITDAの減少とネット有利子負債の増加により、ネット有利子負債/EBITDA倍率は9.82倍にまで高まっているが、潤沢な手元流動性により支払能力を担保。
- フリーキャッシュフローは、設備投資がかさんでいることでマイナスが続いており、今後もファウンドリー事業の成長の追求により改善が見込みにくい。
[インテルの信用格付、及び社債の投資評価]
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 週次:8月26日版
2024年8月19日から8月23日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
-起債額の特に大きかった銘柄はソフトウエア&サービスセクターの「ローパー・テクノロジーズ」。資金使途は、既存債務の借り換えを含む一般的な資金繰り。
-この他、8月22日に発行したハードウェアセクターの「CDW/CDWファイナンス」の12億ドルの起債も同時起債の大型案件。債券の本数は2本、年限は5~10年、優先債調達が行われた。
(2)流通市場における取引金額
-2024年8月19日から8月23日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
-最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク・オブ・アメリカ」で、「JPモルガンチェース」がそれに続く形。ただし、前週より取引金額規模は縮小。
-事業会社のうち、投資適格債券では「クローガー」が最も多く取引された。大規模スーパーマーケットチェーンの、クローガーとアルバートソンズの合併案に対し、連邦取引委員会(FTC)の反トラスト規制当局が反対、仮差止命令の請求を認めるかどうかが週明けに判断されることが、材料視された。
-一方、投機級債券では「ベクターグループ」の取引額が多かった。日本のJTグループに約24億ドルで買収されることに合意、同社の発行体格付けはB格相当、JTはA格相当であることから実質的な信用力の改善を評価、ベクターグループ社債に買い需要が集まった。
(3).流通市場における価格動向
-ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
-前週の米国債金利は急落後の水準をおおむね維持しながら推移。米国市場の社債利回りは、国債が微増(10Yは微減)に転じたのに対し、全体的には先週に続き下落傾向。
-米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは公益事業セクターのコンシューマーズ・エナジー。一方で、最も下落したのは、探査・生産セクターのデボン・エナジー。
-外国籍事業法人の投資適格債で、金属・鉱業セクターのABJAインベストメント。一方で、最も下落したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(PEMEX)。
(4)まとめ
-先週は、米国国債金利が低下した後の、イールド・ハンティングより年限の長い社債、低格付けのHY社債が買われる展開となった。
-ジャクソンホールでの9月利下げへの言及もあり、当面、9月のFOMCまでは利下げ方向の圧力がかかりやすい相場環境と考える。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:8月16日まで
本レポートでは、2024年8月12日から8月16日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年8月12日から8月16日までの起債市場動向を確認する。
- 新規起債案件のうち発行額が大きかった銘柄は総合銀行セクターの「ドイツ銀行」、債券の本数は1本、年限は20年、優先債調達。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関は「バンク オブ アメリカ」。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「イーライリリー」が最も多い。一方、投機級債券では「オクシデンタル ペトロリアム」の取引額が多かった。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。前週には国債利回りの低下に合わせ全般に低下していたが、本期間ではほぼ横ばいで推移した。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 週次:8月19日版
2024年8月12日から8月16日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
起債額の特に大きかった案件は、8月16日に発行した総合銀行セクターの「ドイツ銀行」(Deutsche Bank)の151.96億ドルの起債。債券の本数は1本、年限は20年、優先債調達。TLAC拡充を目的とした大型起債案件。
2番目は、8月14日に発行した医薬品セクターの「イーライリリー」(Eli Lilly and Co)の50億ドルの起債。債券の本数は5本、年限は3~40年、優先債調達。開発コストやM&Aが拡大している製薬業界の大型起債案件。
(2)流通市場における取引金額
最も債券の取引額が多かった金融機関債は「バンク オブ アメリカ」債、次点で「JPモルガン チェース」債。
事業法人債の投資適格(IG)債では、投資適格債券では「イーライ リリィ」が最も多く、「メタ プラットフォームズ」、「メキシコ石油公社(ぺメックス)」がそれに続く形。
投機級(HY)債では、短期債務削減目標の達成がほぼ確実となった「オクシデンタル ペトロリアム」の取引額が多かった。
(3)流通市場における価格動向
- 前週の米国債金利の急落後は、修正後の水準をおおむね維持しながら推移し、5年近辺及び、流動性の乏しい11-12年近辺の金利が最も低下。
- 5年~20年にかけての順イールド化が進展。
- 低格付け債ほど利回りが縮小、縮小要因はほぼスプレッドのタイト化。利回り低下の中で、イールド・ハンティングが進んだことが原因。
- 米国籍の投資適格債で、最も価格が上昇したのはウエスタンデジタル、下落したのはディスカバリー・コミュニケーションズ。
- 外国籍の投資適格債で、最も価格が上昇したのはメキシコ石油公社(PEMEX)、下落したのはエクイノール。
債券市場アップデート
米国債券市場動向(2024年8月2日まで)
2024年6月末から8月2日までの相場動向と、7月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
[債券指数レベルで見た相場動向と着目点]
- 2024年7月30日~31日のFOMC声明文等とパウエル議長の記者会見内容について確認。政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(8回連続)。
- 利下げ期待から3-5年の利回りが最も大きく下落した結果、3~20年のイールド・カーブは、全体として順イールドの傾きが強まり、長短金利差が拡大。
- 国債の利回りが低下する中、米国社債利回りも全面的に低下。ただし、社債のスプレッドは全般にワイド化。特に、短中期債と低格付け債でワイド化傾向が顕著。
[個別債券レベルで見た相場動向]
- 7月には米ドル建て個別社債(事業法人債など)の市場価格は上昇。社債の7月末の利回りは、全面的に低下。
- 米ドル建て社債の投資適格債のスプレッドは全般にワイド化が進む。投機級でもB/CC格を中心にさらにワイド化。
- 米国籍の投資適格では、公益事業、ソフトウェア&サービス、衣料、繊維製品、食品・飲料などの社債単価が上昇。投機級では、相対的に単価上昇が大きかったのは、小売(一般消費財)、ケーブルテレビ、娯楽コンテンツ、有線通信サービスなど。
- 金融債の時価上昇銘柄をみると、Zurich Holding、キーコープ、フェアファックスなど値を上げた形。相対的に値を下げたのはナショナルオーストラリア銀行など。
[米国社債の流通市場における取引動向(TRACE)]
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ユナイテッドヘルス・グループ、ブロードコム、キンダー・モルガン等大型起債銘柄の即時売却取引。
- 価格上昇を伴う頻繁な商い対象となったのはボーイング、ボーダフォン・グループ。
- 金融機関の社債で取引量が多かったのは、米国G-SIBsのTLAC債。新発債の即時売却に伴う商いが多かった。
[米ドル建て債券の起債市場の動向]
- 2024年7月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比+26.1%の277(10億ドル)と増加。米国籍発行体は前年比+55.7%の増加、海外発行体も前年比+13.6%の増加。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年6月末から8月初旬まで-
本レポートでは、2024年6月末から8月初旬までの相場動向と、7月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
〇 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 国債の利回りが低下する中、米国社債利回りも全面的に低下。ただし、社債のスプレッドは全般にワイド化。特に、短中期債と低格付け債でワイド化傾向が顕著。
〇 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 7月には米ドル建て個別社債(事業法人債など)の市場価格は上昇。社債の7月末の利回りは、全面的に低下。
- 米ドル建て社債の投資適格債のスプレッドは全般にワイド化が進む。投機級でもB/CC格を中心にさらにワイド化。
〇 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
〇 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
〇 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/8/5時点)p.21
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年8月6日-
2024年7月5日から8月6日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎ 米国社債市場の状況:
- 米国長期債(10年)の利回りは、7月末のFOMCと雇用統計における失業者数増などを材料視した急激な株式相場の下落に連動し、7月24日の4.28%から8月2日には3.78%まで一気に低下。同時に、米国社債のスプレッドもワイド化。
- 投資適格社債(2-5年)の利回りは4.3%~5.1%(前月比約-0.35ポイント)と低下した、スプレッドは約+15.0bpsワイド化した。長期ゾーン(10年)の利回りは4.7%~5.8%と低下(前月比約-0.20ポイント)、スプレッドは約+20.0bpsワイド化した。
- 投機級(ハイイールド)では、平均利回り(2-5年)は6.0%程度。前月に比べて、利回りはわずかに低下、スプレッドは約+43.0bpsワイド化した。
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの分類条件 p.1
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの全体傾向 p.2
◎ 各米ドル建て投資適格社債(IG)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.5
◎ 各米ドル建て投機級社債(ハイイールド)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.13
アナリスト
テクノロジー
インテル(MDY:A3、S&P:A-、Fitch:BBB+)の事業概要と同社のクレジット投資評価
本レポートでは、Intel. Corp (インテル)の、FY2024 Q2(2024年6月期)までの四半期決算(インテルは12月末決算)を元に、インテルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
◎ インテルの事業概要 p.2
- インテルは、コンピューター部品及び関連製品を設計、製造、そして販売する半導体メーカーである。
- 総売上高の約半分(54%)をPC/モバイル向けCPU(CCG)事業、約30%をクラウドサービス事業者向け(DCAI)事業が占めている。
- Intel Foundry(ファウンドリー事業)以外のセグメントは、それぞれ世界的なPCやタブレット端末、データセンター、サーバー等の最終製品の需要に業績が連動している。
◎ 世界のCPU市場とインテルの市場シェアの状況 p.5
◎ インテルの業績・財務状況 p.9
◎ インテルの財務状況 p.13
◎ インテルの信用格付、及び社債の投資評価 p.16
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年5月末から7月初旬まで-
本レポートでは、2024年5月末から7月初旬までの相場動向と、6月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
〇 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 2024年6月11日~12日のFOMC声明文等とパウエル議長の記者会見内容について確認。政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(7回連続)。
- FRBのドットチャートでは、政策金利の利下げ方向の予想に関するバラツキは、前回(3月)予想に比べ低下。
- 米国債の長期金利水準は、利下げ期待を反映し下落トレンドを継続していたが、月末にトランプ元大統領の再選可能性が高まると、長期金利が反転上昇。
〇 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 米国籍の投資適格では衣料、繊維製品、住宅建設、ソフトウェア&サービス、公益事業などの社債単価が上昇。投機級で相対的に単価上昇が大きかったのは、航空宇宙・防衛、精製・販売、カジノ、ゲーミングなど。
〇 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ホーム・デポ、ネクストエラエナジー・キャピタルホールディングス等大型起債銘柄の即時売却取引。
〇 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
- 全体的な傾向として、信用リスクに対する懸念は後退。利回りの出る相対的に短期で低格付けの債券(劣後債を含む)の起債が大きく伸長した一方、スプレッドの低下していた長期の高格付け債の起債は落ち込んだ。
〇 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/7/2時点)p.21
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年7月2日-
2024年6月4日から7月2日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎ 米国社債市場の状況:
- 6月には、米国長期債の利回りが一旦低下した後、トランプ元大統領の再選可能性が高まる中で再度元の水準に戻した。この間、米国社債のスプレッドもワイド化した後に反転タイト化したが、トータルで見るとワイド化した。
- 7月初旬までの投資適格社債(2-5年)の利回りは4.9%~5.6%(前月比約+0.10ポイント)と上昇した。長期ゾーン(10年)の利回りは5.1%~6.3%と、こちらも+0.15ポイント程度上昇した。
- 投機級(ハイイールド)では、平均利回り(2-5年)は6.2%程度。前月に比べて2年から10年ゾーンの利回りはわずかに上昇、スプレッドはワイド化した。
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの分類条件 p.1
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの全体傾向 p.2
◎ 各米ドル建て投資適格社債(IG)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.5
◎ 各米ドル建て投機級社債(ハイイールド)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.13
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年4月末から6月初旬まで –
本レポートでは、2024年4月末から6月初旬までの相場動向と、5月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
〇 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 2024年4月30日~5月1日のFOMC声明文等とパウエル議長の記者会見内容について確認。政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(6回連続)
- 5月上旬の市場では米国債の長期金利(10年)が上昇しオーバーシュート。ただし、5月下旬には景気後退指標を受け、急速に低下方向に修正が進んだ。
- 米国債のイールド・カーブは、年限で異なる形状を示しており、5年以下は逆イールド、5~10年はフラット(同様の水準)、10~20年は順イールドに近い形状に。
〇 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 米国籍の投資適格・投機級の事業債について、全般的な利回りの低下(価格上昇)の中、投資適格では
探査・生産、ハードウェア、パイプライン、公益事業などが、投機級では娯楽コンテンツ、有線通信サービスなどの社債単価が上昇。
- 金融債相場;金融債の時価上昇銘柄をみると、一部の米国地方銀行の社債が選別され値を上げた形。相対的に値を下げたのはAPACの銀行債など。
〇 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、コカ・コーラ、UPS、CVSヘルス等大型起債銘柄の即時売却取引。
〇 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
- 全体的な傾向として、信用リスクに対する懸念は後退。利回りの出る相対的に短期で低格付けの債券(劣後債を含む)の起債が大きく伸長した一方、スプレッドの低下していた長期の高格付け債の起債は落ち込んだ。
〇 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/6/5時点)p.21
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日 2024年6月4日-
2024年5月6日から年6月4日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 米国債券市場では、Q1のGDPの落ち込み等全体として経済の減速を受け再度利下げへの期待が高まり金利水準が切り下がった(価格は上昇)。
- 米国債の利回りが高止まりしていた時には米国社債のスプレッドもタイト化していたが、国債金利の反転下落を受け、社債のスプレッドは若干ワイド化した。ベース金利の下落を受け、社債の利回りもわずかに低下(4.7%~5.6%まで-0.10%程度の低下)したが、国債に比べれば利回りが維持されやすい傾向にある。
- 投機級(ハイイールド)では、平均利回り(2-5年)は6.0%程度。前月に比べて短期ゾーン(2年)の利回りはわずかに上昇、スプレッドはワイド化した。一方、長期ゾーンでは(5-10年)利回りは低下、スプレッドはタイト化した。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年5月6日-
2024年4月5日から年5月6日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(6回連続)。
- 証券保有額の継続的な削減(QT)は継続するもペースダウン(6月以降、米国債の毎月の償還上限を600億ドルから250億ドルへ引き下げ)。現在の政策金利水準をより長期間に渡り維持することで、インフレ対策を重視。「どれだけ長く制約的な政策を続けるか」が主たる論点。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年3月末から5月初旬まで-
本レポートでは、2024年3月末から5月初旬までの相場動向と、4月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
◎ 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 2024年4月30日から5月1日のFOMC声明文等とパウエル議長の記者会見内容について確認。政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(6回連続)。
- 米国債利回りは1月~5月初頭にかけ反転・上昇傾向を継続。短期は動きにくく、中長期が差を埋める形。全体としてフラット化。
- 米国社債利回りは、国債の利回り上昇に伴い全面的に上昇。ただし、スプレッドのタイト化がより強く影響した相場となり、国債よりもマイルドな利回り上昇ペース。
◎ 個別債券レベルで見た相場動向 p.6
- 米国籍の投資適格・投機級の事業債相場;全般的に利回りは上昇、スプレッドはタイト化。投資適格で相対的に単価上昇が大きかったのは探査・生産、パイプライン、公益事業、旅客航空輸送業などの社債。投機級では、探査・生産、自動車部品などで社債単価の上昇を観測。
◎ 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.13
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ボーイング、ダイヤモンドバック・エナジー等大型起債銘柄の即時売却。投機級の事業法人債で、時価上昇を伴いつつ商いの対象となったのは、クラウド・ソフトウエア・グループ、テネコ。
◎ 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.17
- 2024年4月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比+5.5%の281(10億ドル)と増加。年初来4カ月連続で高水準な起債額が継続。
◎ 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/5/2時点)p.21
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年2月末から4月初旬まで –
本レポートでは、2024年2月末から4月初旬までの相場動向と、2月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
◎ 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 p.1
- 2024年3月のFOMC声明文等とパウエル議長の記者会見内容について確認。政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(5回連続)。
- 米国社債利回りは、国債の利回りが上昇する中、米国社債利回りは、短期債では上昇したが、長期債では逆に低下した。スプレッドのタイト化がより強く影響した相場となった。
◎ 個別債券レベルで見た相場動向 p.7
- 米国籍の投資適格・投機級の事業債相場;全般的にスプレッドがタイト化。投資適格では、ハードウェア、旅行&宿泊施設、石油・ガスサービス・設備等で社債単価が上昇。投機級では、娯楽コンテンツ、航空宇宙・防衛、自動車部品等の消費者関連業種で幅広い社債単価の上昇を観測。
◎ 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) p.14
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アッヴィ、シスコシステムズ等大型起債銘柄の即時売却。
- 金融機関の社債で、取引量が多かったのは、米国G-SIBsのTLAC債、この他、JPモルガンのAT1証券も。
◎ 米ドル建て債券の起債市場の動向 p.18
- 2024年3月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比+10.7%の326(10億ドル)と増加。2024年1月から3カ月連続で高水準な起債額が継続。
- 米国籍発行体の起債額は前年比+2.2%の増加、米国籍以外の海外発行体が前年比+19.1%の増加と、新規起債額全体の増加を牽引。
◎ 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/4/2時点)p.22
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年3月28日-
2024年3月1日から年3月28日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 政策金利の目標レンジを5.25-5.50%に維持(5回連続)。
- バランスシートと量的緩和政策からの正常化(QT)のペースについて、パウエル議長の記者会見では早期のペースダウンに言及。利下げ時期の後ずれも示唆。
- 3月FOMCで想定された経済状況;
(i)2024年中は当初想定ほどインフレ率の低位安定化は進まない、
(ii)経済の足腰は強くすぐに利下げによる景気刺激を要しない、
(iii)念のため、QTのペースダウンにより一部金融機関に起因した想定外のシステミックリスクを生まないよう事前対応。
- 米国社債市場のスプレッドは割高感が感じられた投資適格のスプレッドがわずかにタイト化した。
- 投機級(ハイイールド)など低格付けの社債では利回りを求める動きもわずかにタイト化していた。
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの分類条件 p.1
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの全体傾向 p.2
◎ 各米ドル建て投資適格社債(IG)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.5
◎ 各米ドル建て投機級社債(ハイイールド)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.13
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2024年1月末から3月初旬まで –
本レポートでは、2024年1月末から3月初旬までの相場動向と、2月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
◎ 債券指数レベルで見た相場動向と着目点
- 米国債利回りは2023年末にかけて過度な低下傾向を示したが、1月~3月初頭にかけ反転・上昇傾向を継続。
- 米国社債利回りは、国債と同様に上昇したが、その変化はスプレッドがクッションとなり、国債よりも投資適格債で若干穏やか、投機級債ではさらに穏やかであった。
◎ 個別債券レベルで見た相場動向
- 米国籍の投資適格・投機級の事業債では、全般的なスプレッドのタイト化、旅客航空輸送業、探査・生産、パイプライン等、前年比でエネルギーコストの抑制などからFY2023決算が改善しやすかった関連した業種で単価上昇が見られた。
◎ 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE)
- 投資適格の事業法人債で、多額の取引を観測したのは、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アッヴィ、シスコシステムズ等大型起債銘柄の即時売却。価格下落を伴い頻繁な商いの対象になったのは、アムジェン、CVSヘルスの2社。
- 投機級の事業法人債で、時価上昇を伴いつつB格以下の一部銘柄(テネコなど)。
◎ 米ドル建て債券の起債市場の動向
- 2024年2月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比+31.5%の374(10億ドル)と大きく増加。月次起債額としては、2022年3月以来の高水準に。
- 1年前(2023年)の2月の起債額が少なかった反動で、米国籍発行体の起債額は前年比+35.0%の増加、米国籍以外の海外発行体も前年比+27.9%の増加。
◎ 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/3/6時点)
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日2024年3月1日-
2024年2月2日から年3月1日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 1月末のFOMCで少なくとも3月中の利下げはなく、市中での議論も年内の利下げが3回程度に収まるとのコンセンサスの下、タイミングを見計らっている状況。
- 2月初頭に懸念された商業用不動産(特にオフィス用物件)の下落に伴う米国内銀行へのストレス懸念も大手銀への波及がなくリスク材料として後退。
- 物価については住宅賃料が統計上の課題を指摘されつつも市場予想より下げておらず下げ止まり。インフレからの脱却早期化への期待も後退。
- 米景気については旺盛な個人消費などを背景にソフトランディング期待が浸透。
- 米国債長期金利は4%台前半に戻す一方、株式相場は最高値圏で推移するなど、一方的な利下げの必要性もタイミングの先送りが織り込まれた状況。
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの分類条件 p.1
◎ 米ドル建て社債サブ・ポートフォリオの全体傾向 p.2
◎ 各米ドル建て投資適格社債(IG)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.5
◎ 各米ドル建て投機級社債(ハイイールド)サブ・ポートフォリオの個別構成 p.13
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 -2023年12月末から2024年1月末まで(一部は2月中旬) –
本レポートでは、2023年12月末から2024年2月13日までの相場動向と、1月末までの米国債券市場の新発債・流通市場の取引額等の傾向を確認した。
◎ 債券指数レベルで見た相場動向と着目点 (p.1)
- 背景には、インフレの安定化や米国経済の堅調さ等があり、現状の金融政策継続が引き続き効力を維持しやすいとの環境がある。
- 2023年末にかけて過度な金利低下を示した市場は、1月以降には落ち着きを取り戻し、金利水準も再度の上昇に転じている。
◎ 個別債券レベルで見た相場動向 (p.7)
- 米国籍の投資適格・投機級の事業債では、全体的に社債時価が下落する中、石油・ガスサービス・設備、ヘルスケア、輸送・流通、公益事業等、人件費やエネルギーコストの抑制に関連した業種で単価上昇が見られた。
◎ 米国社債の流通市場における取引動向(TRACE) (p.14)
- 投資適格の事業法人債で、価格下落を伴い頻繁な商いの対象になったのは、ボーイング、CVSヘルス、AT&T
- 投機級の事業法人債で、時価上昇を伴いつつ取引量が多かった社債BB~B格でカーニバルなど。
- 金融機関の社債で、取引量が多かったのは、米国G-SIBsのTLAC債。
◎ 米ドル建て債券の起債市場の動向 (p.18)
- 2024年1月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比+33.8%の378(10億ドル)と大きく増加。月次起債額としては、2022年3月以来の高水準に。
- 1年前(2023年)の1月の起債額が少なかった反動で、米国籍発行体の起債額は前年比+67.0%の大幅増加、米国籍以外の海外発行体も前年比+18.2%の増加。
◎ 弊社の米国債券市場相場想定(予想、2024/1/31時点) (p.22)
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日 2024年2月2日-
2024年1月9日から年2月2日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 12月末に強気一辺倒で下げた長期金利も1月にはある程度戻した展開だ。
- 1月末のFOMCで少なくとも3月中の利下げはないとのコンセンサスが広がる中、米経済も個人消費を中心に順調な指標が確認されており、2月に入ってからの長期金利水準も乱高下するなど居所を探る展開となっている。
- 米国社債市場のスプレッドは割高感が感じられた投資適格上位(AA、A格)のスプレッドがわずかにワイド化した一方、投機級(ハイイールド)など低格付けの社債では利回りを求める動きが強まりタイト化していた。
- 少なくとも年後半頃までには利下げが行われる可能性がある中、中長期で安定利回りを確保するタイミングを探す上で、2~3月の米国社債市場の利回り水準とその動きには注視が必要だ。
アナリスト
通信
ベライゾン・コミュニケーションズの事業概要と同社債券・株式の長期保有目的投資上のポイント
本レポートでは、米国のモバイル回線数で最大シェアを有するベライゾンの事業概要と特性を確認し、同社社債・株式への長期保有の観点での投資評価を行う。
- ベライゾンは無線通信サービスの提供を主とする米国の通信事業会社。
- 事業セグメント別売上高を契約対象別で分類すると、個人消費者向けワイヤレス事業が75%を占める。
- FY2021Q4にトラックフォンの統合によりプリペイド契約を上積み。直近でプリペイド契約が全体の15%を占めるが、同契約のポストペイドへの移管も好調に進む。
- ベライゾンの四半期売上高は前年同期比で2.6%減少し、約333億ドルに。ただし、無制限プレミアムプランを選択する顧客の増加によって、ワイヤレスサービス収入は前年同期比で+2.9%の増加。
- 解約率は値上げにも関らず1%前後を推移、同社の強固な顧客基盤を反映。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート – 評価基準日 2024年1月9日 –
2023年12月1日から2024年1月9日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。
◎米国社債市場の状況:
- 11月以降の長期金利の急速な低下を受け、安定利回りの確保を目的とした中長期の社債投資を行うタイミングは外れつつある可能性がある。
- 米国社債市場では、この1か月間に全体的に利回りが低下し(価格は上昇)、スプレッドもタイト化した。投資適格(IG)社債の平均利回り(10年)は、12月初頭で5.2%程度が平均水準だったが、1月9日にはぎりぎり5.0%程度まで-0.20%程度の低下。2~5年では短期銘柄以外で5%を確保できる銘柄は、相当に少なくなった。
- 投機級(ハイイールド)では、利回りを求めた債券投資家の需給要因により、投資適格よりさらに社債利回り及びスプレッドが低下した(価格は上昇)。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 -2023年11月末から12月末まで-
本レポートでは、2023年11月末から12月末までの米国債券市場の動向を確認した。この期間に米国債券市場の動きで注目すべき点として、下記が挙げられる。
1) 2023年12月には、米国債券相場は 11月初頭からの全面的な金利低下トレンドを継続、10年金利は4.24%(12/1)から 12月末には3.88%まで大幅に下落した。ただし、年末の流動性低下に起因する行き過ぎた金利低下という側面もあり、2024年1月に入り新規資金による取引が活性化した後は、水準は限定されているもののイールド・カーブは反転上昇している。
2) 米ドル建て社債市場では 12月において信用スプレッドが格付・年限を問わずタイト化。ただし、こちらも2024年1月に入り若干反転しわずかにワイド化。
- 個別社債の単価は、12月には全体的に大幅な上昇傾向(1.94%~3.18%)。
- より顕著に上昇していたのは、米国企業の不動産企業社債と投機級の金融社債。全般的にスプレッドのタイト化が進む中、例外的にワイド化していたのは主に中国・アジア関連を中心とする海外の不動産企業社債。
3) 新発債市場では 2023年12月の米ドル建て社債等の起債額は、前年比-1.1%の153(10億ドル)と微減。格付別にみると、A格社債は前年比+55.9%と増加し、BBB格社債は+64.4%も大きく増加。金融機関債の起債額は 12月の起債額が前年比で+61.2%と大きく増加。金融機関ではJPモルガン・チェース・バンク、ウェルズ・ファーゴ・バンク、シティバンク銀行など、G-SIBsの子銀行(OPCO)の社債が大量起債。
アナリスト
通信
AT&T(AT&T Inc)の事業概要と同社のクレジットの評価
本レポートでは、米国のモバイル回線数で 3 位、有線回線数では最大シェアを有する AT&Tの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
- 主力のポストペイド市場では、AT&T のシェアは大手 3 社の中で 3 位(26%)となっているが、高品質回線を志向し、ARPU は 3 社の中で最高水準。
- 売上高、営業利益はともに FY2023Q2 から横ばいとなっている。当期純利益は非継続事業の影響で、テクニカル要因から前年同期比‐42%と大きく落ち込んだ。
- 自己資本比率は 29.5%に上昇、事業売却資金の充当によりネット有利子負債も減少。
- AT&T の信用格付け(発行体格付け)を示した。AT&T は Moody‘sからは Baa2 格、そしてFitch からは BBB+格とそれぞれ評価されている。見通しは安定的。
アナリスト
通信
ボーダフォン(Vodafone Group Plc)の事業概要と同社のクレジットの評価
本レポートでは、欧州最大手の総合通信会社であるボーダフォンの事業概要と特性を確認し、同社社債への投資評価を行う。
- ボーダフォンは、事業規模の観点では、欧州の一部同業他社をはるかに凌駕する事業規模を有しているが、多くの市場では他のトップ・モバイル事業者に対し、競争力の面で充分な優位性を保持できておらず、大規模な事業再編の実施中。
- ボーダフォンのモバイル事業では、契約回線のうち32%が定期契約(後払い)型、68%がプリペイド契約型であり、より不安定なプリペイド契約型が、安定した定期契約型に比べはるかに大きい。スペイン事業は不採算を理由に2024年前半までに完全売却予定。
- ボーダフォンは解約率の高さから、日米の無線通信事業者に比べ相対的に不安定な事業特性を持つ。
- ボーダフォンの信用格付け(発行体格付け)はBBB格中位。S&Pでは6/30に格付見通しをポジティブから安定的に引き下げ。
- 無線通信事業では参入障壁も高く、10年程度では元利金の支払い能力への懸念は生じにくい。一方、超長期(20年超)でのビジネス・モデルの持続性には一定の懸念。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価基準日 2023年12月1日-
11月3日から12月1日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。(下記の格付けは、S&Pの債券格付けを参照している)
◎米国社債市場の状況:
- 足元の米国社債市場では、今、投資を行うタイミングを逃すと、安定利回りの確保ができないとの危機感が高まっている。
- 米国社債市場では、この1か月間に全体的に利回りが低下し(価格は上昇)、スプレッドもタイト化した。投資適格(IG)社債の平均利回り(2~5年)は、前月末で5.8%程度が平均水準だったが、12月1日には5.0%程度まで-0.80%程度も低下した。スプレッドも5年社債で約104bpsから約80bps程度まで-24bps程度タイト化した。
- 投機級(ハイイールド)では、利回りを求めた債券投資家の需給要因により、投資適格よりさらに社債利回り及びスプレッドが低下した(価格は上昇)。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 -2023年10月末から11月末まで-
本レポートでは、2023年10月末から11月末までの米国債券市場の動向を確認した。また、弊社による米国金利・為替に関する市場予想を示した。
同期間に米国債券市場の動きで注目すべき点として、下記が挙げられる。
1)米国債イールド・カーブの水準切り下げ
- 11月1日のFOMCを受け、米国内でのインフレ抑制と利上げ終息とのコンセンサスが広がり、さらにCPIがこれまでよりも低い水準を示したことから、米国債券相場は10月末までの長期金利上昇局面から全面的に反転、イールド・カーブは全年限で大幅に低下。
- 短期金利の上昇は打ち止め、長期金利上昇と期間に応じたリスク・プレミアムの織り込みにより、イールド・カーブの順イールド化が進むなどの米国債相場の構造的な転換は維持したままでパラレル・シフト。
- 長期金利の低下の中で、より利回りが残るビジネスモデルが安定した業態の長期・超長期10~30年)社債に関する投資の魅力が向上。
2)社債のスプレッドでは、ファンダメンタルを意識せず全面的なタイト化が進む
- 市場が織り込む信用リスクを反映した社債の信用スプレッドは全般的にタイト化、ただし、B格などの低格付け債の信用スプレッドのタイト化(価格上昇)は、ファンダメンタルを反映したものとはいえず、今後2年以内には反転下落の可能性も。
3)新発債では投資適格、投機級のそれぞれの中で、カントリーリスクに応じた選別傾向。米国籍の発行体に対する相対的な信頼感が強い一方、外国籍の発行体に対しては、相対的にカントリーリスクを懸念、選別傾向を観測。
4)今後の相場見通し
- 2024年中は政策金利は高止まり、利下げの可能性は低い
- 急ピッチで低下した長期金利だが、2024年前半は4.5%付近で推移か
- ドル円レートは、過度な市場の動きを警戒するFEBの要人発言に左右されやすく、2023年末から2024年上半期にかけ145円~151円近辺の間で都度振れやすい。2024年後半には円高方向へのトレンドを形成しやすいが、140円台に留まりやすい。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価日 2023年11月3日-
10月6日から11月3日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。(下記の格付けは、S&Pの債券格付けを参照している)
◎投資適格(IG)社債の動き
- 投資適格の平均利回りは全年限で下落、社債価格は上昇。2~5年では-0.29%程度、10年は-0.30%以上。一方で、スプレッドは2年~5年社債で若干タイト化(-0.04%程度)したが、利回り変化に比べれば動きは小さい。さらに、10年社債(10L)のスプレッドは拡大(-0.09%程度)。
- 投資適格で絶対利回りが高かった銘柄は、短期(2年)と長期(10年)で分かれる。短期(2年)の主な高利回り銘柄は、デル(BBB、テクノロジー)5.71%、ボーイング(BBB-、航空機)5.77%、TモバイルUSA(BBB、無線通信)5.98%、フォード・モーター(BBB-、自動車)6.27%、AT&T(BBB、無線通信)6.46%など長期(10年)の主な高利回り銘柄は、AT&T(BBB、無線通信)5.94%、エンブリッジ(BBB+、パイプライン)5.95%、TモバイルUSA(BBB、無線通信)5.98%、オラクル(BBB、ITサービス)5.99%、デル(BBB、テクノロジー)6.10%など。
◎投機級(ハイイールド;HY)社債の動き
- 投機級(ハイイールド)では、短期(2年)の社債利回りはやや下落(価格は上昇)。中期(5年)の利回りも下落(価格は上昇)。ただし、短期(2年)のスプレッドはタイト化(-0.27%)、中期(5年)のスプレッドもタイト化(-0.26%)。主な短期(2年)の利回り下落(時価上昇)銘柄は、BB格ではユナテッド・レンタル北米(BB+、工業) 6.40%、テバファーマスーティカル(BB-、ヘルスケア )6.92%。主な中期(5年)の利回り下落(時価上昇)銘柄は、BB格では、ペトロブラス(BB-、石油)6.02%、テバファーマスーティカル(BB-、ヘルスケア )7.08%。
入門用動画
グローバル事業債投資の考え方:長期の社債投資を行う場合の、投資リスクを抑制するための考え方
本動画では、長期の社債投資を行う場合の、投資リスクを抑制するための考え方を解説します。
投資戦略動画
グローバル事業債投資の考え方
- アメリカや日本など基軸通貨国の国債等とは異なり、事業会社の発行する社債は一定の時間の経過後などに、経営環境や業績が悪化し、支払い不履行や法的破綻を起こす可能性がある。
- こうした一般の個人投資家などが予見しにくい「信用リスク」を、誰にでも分かり やすく伝えるのが「信用格付け」であり、これを行うのが第三者機関である「格付機関」である。
- しかし、格付機関が予想している信用格付けの想定期間は、2~3年(格付け見通しを含んで5年程度)までであり、10年~20年のような非常に長い期間の社債投資のリスクを織り込んでいるわけではない。
- よって、こうした長期の社債投資を行う場合の、投資リスクを抑制するための考え方を示すことが、本資料の目的である。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 -2023年8月末から9月29日まで-
1). 米国内での景気のソフトランディング期待が増加、高い水準での政策金利維持期間の長期化、さらなる長期・超長期金利の上昇を誘引
- 短期金利の上昇は打ち止め、長期金利上昇と期間に応じたリスク・プレミアムの織り込みにより、イールド・カーブの順イールド化が進むなど、米国債相場の構造的な転換が顕著に進む。
- ビジネスモデルが安定した業態の長期・超長期(10~30年)社債に関する投資の魅力が向上
2). 米国経済の減速懸念は後退したが、社債のスプレッドでは選別が広がる
- 市場が織り込む信用リスクを反映した社債の信用スプレッドは全般的に拡大、ただし、投資適格のワイド化はわずかに留まる一方で、B格などの低格付け債の信用スプレッドが相対的に拡大(8月のタイト化の反動という側面もあり)。
3). 新発債では投資適格、投機級のそれぞれの中で、信用力に応じた選別傾向
- 投資適格の新規起債額は、A格社債は前年比+95.0%と大幅増加の一方、BBB格社債は-22.4%と大きく減少。
- 投機級社債ではBB格の起債額が前年比+189.7%と大幅に改善した一方、CCC格では半減。
- 2025年以降を勘案した場合、ハイイールド・ファンド投資において、BB格以上を多く保有するファンドと、B格・CCC格を多く保有するファンドで、パフォーマンス格差が生じやすい可能性がある。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価日 2023年10月3日-
9月1日から10月3日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。(下記の格付けは、S&Pの債券格付けを参照している)
◎投資適格(IG)社債の動き
- 投資適格の平均利回りは全年限で上昇、社債価格は下落。2~5年では+0.5%以上、10年は+0.7%程度。一方で、スプレッドは2年~5年社債で若干ワイド化(+0.09%程度)したが、利回り変化に比べれば動きは小さい。さらに、10年社債のスプレッドは拡大(+0.08%程度)。
- 投資適格で絶対利回りが高かった銘柄は、短期(2年)と長期(10年)で分かれる。短期(2年)の主な高利回り銘柄は、オラクル(BBB、ITサービス)5.94%、ボーイング(BBB-、航空機)6.02%、デル(BBB、テクノロジー)6.03%、TモバイルUSA(BBB、無線通信)6.37%など長期(10年)の主な高利回り銘柄は、TモバイルUSA(BBB、無線通信)6.29%、エンブリッジ(BBB+、パイプライン)6.30%、AT&T(BBB、無線通信)6.36%、オラクル(BBB、ITサービス)6.37%など。
◎投機級(ハイイールド;HY)社債の動き
- 投機級(ハイイールド)では、短期(2年)の社債利回りはおおむね上昇(価格は下落)。中期(5年)の利回りも上昇(価格は下落)。ただし、短期(2年)のスプレッドはワイド化(+0.25%)、中期(5年)のスプレッドはほぼ横ばい。主な短期(2年)の利回り上昇(時価下落)銘柄は、BB格ではフォード・モーター(BB+、自動車)6.11%、エコペトロル(BB+、石油) 7.17%。主な中期(5年)の利回り下落(時価上昇)銘柄は、BB格では、ペトロブラス(BB-、石油)6.32%、フォード・モーター・クレジット(BB+、自動車)7.14%。
アナリスト
テクノロジー
オラクル(MDY:Baa2、S&P:BBB、Fitch:BBB)の事業概要と同社のクレジット投資評価
◎ 本レポートの目的
本レポートでは、Oracle.corp(以下、オラクル)のFY2024Q1までの四半期決算をもとに、オラクルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。本レポートでは、2023年9月11日公表の、2024年度第1四半期までの決算を参照している。
◎ 結論 : オラクルの社債、株式の投資評価
- オラクルは、Moody’sからBaa2格、S&PからBBB格、FitchからBBB格に評価されている。
- 現在のクラウドサービス市場(特にSaaP市場)の拡大が米国で継続する限り、オラクル独自のビジネスモデルの優位性は揺るがない。
- 利回りとスプレッドの期間構造から、2040年頃の満期(残存13~17年)のオラクル社債が、相対的に良好な投資機会を提供していると考える。
- 一方、オラクル株式の今のバリュエーションと財務状況、及び米国以外での業務の伸び悩みなどを勘案すると、同社株式は長期安定保有に適した銘柄とは考えない。
個別発行体評価
インテル(Intel)の概要と社債投資の評価ポイント
- インテルの信用格付は、Moody’sからA2格、S&PからはA格、FitchからはA-格と高い信用能力は評価されているものの、全格付会社から2023年2月に1-2ノッチの格下げが実施されていた。全格付機関とも格付け見通しもネガティブとしている。
- 弊社では、今後1-2年以内にインテルの信用格付けがさらに1ノッチ程度格下げされる可能性があるがAレンジには留まりやすいと考える。
- 投資対象としては、2年以下もしくは15~20年の社債を推奨するが、利回り水準が格下げを織り込んでいることが前提。
- 一方、株式投資の対象として考えられるのはファウンドリー事業の外部売上比率が大きく成長すると想定する場合のみ。弊社では、自社生産分による生産額は短期に成長するが、他社生産分のシェアを上位6社から奪うことには困難があり、株式投資の前提となる利益成長シナリオには懐疑的。株式投資は必ずしも推奨しない。
個別発行体評価
アップル(Apple)の概要と社債投資の評価ポイント
- アップルの社債は、米国の事業社債の中でも流動性が高く、一般投資家にとっても投資機会となりやすい。株式より社債での投資が効率的。
- アップルの信用格付は、Moody’sから最高格のAaa格、S&Pからは上位から2番目のAA+格と、極めて信用力の高い発行体。
- 米国債投資の代替として考えれば、特に5年超のアップル社債の利回りには相対的な投資価値がある。
- 一方、アップルの中長期にわたる継続的な利益成長シナリオは描きにくい。足元で観測されている株価推移は、中国政府の 政府部門におけるiPhone使用禁止を受けた株価の調整を受けても、ファンダメンタルズからの説明は困難。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価日 2023年9月5日-
8月7日から9月5日にかけての米国社債の市場動向を、2年、5年、10年と利回り水準別に分けて確認。(下記の格付けは、S&Pの債券格付けを参照している)
◎投資適格(IG)社債の動き
- 投資適格の平均利回りは全年限で上昇、社債価格は下落。2~5年では+0.2%以上、10年は+0.15%程度。一方で、スプレッドは2年~5年社債で若干ワイド化(+0.02%程度)したが、利回り変化に比べれば動きは小さい。一方、10年社債のスプレッドは縮小(-0.03%以下)。
- 投資適格で絶対利回りが高かった銘柄は、短期(2年)と長期(10年)で分かれる。短期(2年)の主な高利回り銘柄は、ボーイング(BBB-、航空機)5.82%、ベライゾン(BBB+、無線通信)5.53%、シャイアー(BBB+、医薬品)5.53%など長期(10年)の主な高利回り銘柄は、エンブリッジ(BBB+、パイプライン)5.61%、TモバイルUSA(BBB、無線通信)5.65%、オラクル(BBB、ITサービス)5.74%など。
◎投機級(ハイイールド;HY)社債の動き
- 投機級(ハイイールド)では、短期(2年)の社債利回りはおおむね上昇(価格は下落)。中期(5年)の利回りはおおむね下落(価格は上昇)。ただし、短期(2年)のスプレッドはほぼ横ばい、中期(5年)のスプレッドはタイト化(-0.05%)。主な短期(2年)の利回り上昇(時価下落)銘柄は、BB格ではフォード・モーター・クレジット(BB+、自動車)6.96%、エコペトロル(BB+、石油) 6.72%。主な中期(5年)の利回り下落(時価上昇)銘柄は、BB格では、ペトロブラス(BB-、石油)6.06%、テバファーマ(BB-、ジェネリック医薬)6.89%。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向と着目点 – 2023 年 7 月末から 8 月 31 日まで –
結論:米ドル建て債券市場の見通しと投資戦略
1) 米国内での利下げ可能性への期待感の後退が長期・超長期金利にも影響
→短期金利と長期金利の動きが正常化に向け異なるトレンドを取り始めるなど、米国債相場にも顕著な転換が生じた。
→ビジネスモデルが安定した業態の超長期社債に関する投資の魅力が向上。
2) 米国経済の減速懸念の後退により、社債のスプレッドが低下
→市場が織り込む信用リスクを反映した社債の信用スプレッドは全般的に低下投資適格では、利回り対比での銘柄選択を行いやすい(偏りのない)相場B格などの低格付け債の信用リスク懸念は大幅な後退、B格の起債額も大幅に改善
→2025年以降を勘案しても、ハイイールド・ファンドの投資の効用が上がる可能性
3) 相場見通し
→弊社では、米金利の利下げは2024年末以降の後づれと想定。2023末の米10年金利は4.04%、2024末で3.90%とほぼ横ばいの想定
→これを受け、為替(米ドル/円)も2023末で140.4(レンジ130-148)、2024末で140.1(レンジ128-145)を想定
アナリスト
テクノロジー
インテル(MDY:A2、S&P:A、Fitch:A-)の事業概要と同社のクレジット投資評価
- インテルの信用格付は、Moody’sからA2格、S&PからはA格、FitchからはA-格と高い信用能力は評価されているものの、全格付会社から2023年2月に1-2ノッチの格下げが実施されていた。全格付機関とも格付け見通しもネガティブとしている。
- 弊社では、今後1-2年以内にインテルの信用格付けがさらに1ノッチ程度格下げされる可能性があるがAレンジには留まりやすいと考える。
- 投資対象としては、2年以下もしくは15~20年の社債を推奨。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループの2023年第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
ソフトバンクGの第1四半期決算では、株主帰属純利益が-4,776億円と3四半期連続で赤字だが、ただし社債の元利金支払いの安定性に重要な保有資産の現在価値(NAV)は15.5兆円と調整後の単体純有利子負債も1.4兆円を大幅に上回る。
「反転攻勢」による新規投資がコントロールされつつアーム上場によりさらなる資金を得られれば、さらに社債価格は安定。ドル建て社債市場では財務健全性を評価し同社の社債価格が大幅に上昇、既に債券を保有する投資家にとっては債券保有の安定性が高まっている。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価日 2023年8月3日-
6月末から8月3日にかけての個別社債の市場動向を、2年、5年、10年に分けて確認。
- 投資適格では10年社債の平均スプレッドが縮小したが絶対利回りは上昇(社債価格は下落)。
主な高格付けの平均利回り上昇銘柄は、ユニリーバ(A+)、アマゾン(AA)、ハネウェル(A)など 中位の格付での平均利回り上昇銘柄は、Tモバイル(BBB)、オラクル(BBB)、AT&T(BBBなど)
- 投機級(ハイイールド)社債ではスプレッド中央値も縮小したが絶対利回りも下落(社債価格は上昇)
主な利回り縮小(時価上昇)銘柄は、ディッシュネットワーク(CCC-)、ディッシュDBS(B-)、この他、主な利回り字上昇(時価下落)銘柄は、テネット・ヘルスケア(BB-)、ユナイテッド・レンタルズ(BB+)
ストラテジー
米国債全般
米国ドル建て債券市場動向と着目点 -2023年6月末から8月1日まで –
2023年7月の米国債券市場の動きで注目すべき点として、下記が挙げられる。
1). 米国内での利下げ可能性への期待感の後退が長期金利にも影響
2). 米国経済の減速懸念の後退により、社債のスプレッドが低下
3). これまで根強く存在した投機級(ハイイールド)社債の借り換えリスクに対する懸念も後退傾向
アナリスト
テクノロジー
アップル(Apple Inc、MDY;Aaa/S&P;AA+)のクレジット評価
本レポートでは、Apple Inc.(以下、アップル)の、FY2023 Q2(2023年3月期)までの四半期決算(アップルは9月末決算)を元に、アップルの経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
個別発行体評価
ソフトバンクグループ社債投資の評価ポイント
本リサーチ動画では、ソフトバンクグループ社債投資における評価ポイントについて説明しました。
債券市場アップデート
米国債券市場の動向(2023/6初頭まで)
本リサーチ動画では、4月末から6月初旬にかけて観測された米国債券市場の状況を概観した。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建てシニア債のセグメント別市場レート -評価日 2023年6月6日-
本レポートは、米ドル建ての事業債のうち、1 債券当たりの発行額が多い債券を年限別・利回り水準別にグルーピングし、シニア債ポートフォリオを構築する場合の提案の一助とすることを目的とした、データ集である。
ストラテジー
米国債全般
米国ドル建て債券市場動向 2023年5月最終週時点
本レポートでは、2023年6月2日までの米国債券市場の動向を確認した。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループの2022年度通期決算とクレジット評価上の着目点
本レポートでは、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク G)の決算状況と、同社社債投資にあたってのクレジット評価上の着目点について確認する。
ストラテジー
米国債全般
米国ドル建て債券市場動向 2023年5月時点
本レポートでは、4 月末までの米国債券市場の動向を確認した。
ストラテジー
米国債全般
シニア債サブ・ポートフォリオ – 評価日 2023 年4 月20 日 –
本レポートでは、米ドル建ての事業債のうち、1 債券当たりの発行額が多い債券を年限別・利回り水準別にグルーピングし、シニア債ポートフォリオを構築する場合の提案の一助とすることを目的とする。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て銀行社債の取引傾向の変化
本レポートでは、シリコンバレー銀行(以下、SVB)の破綻に端を発した一部の米国国内銀行からの資金流出や、クレディ・スイス・グループ(以下、CSG)の AT1 債のベイルイン(額面全額償却)等を受け、米国債券市場の中での銀行社債の取引動向を確認する。
ストラテジー
米国債全般
米国ドル建て債券市場動向- 2023年2月末から3月末まで –
本レポートでは、3 月末までの米国債券市場の動向を確認した。
債券市場アップデート
米国債券市場の動向(2023/3末まで)
本リサーチ動画では、2023年3月末までの米国債券市場の動向についてお伝えします。
ストラテジー
米国債全般
米国債券市場の動向(2023年1月末から2月末まで)
本レポートでは、2023 年 1 月末から 2 月末までの米国債券市場の動向を確認する。
債券市場アップデート
米国債券市場の動向(2023/2末まで)
本リサーチ動画では、2023年2月末までの米国債券市場の動向についてお伝えします。
ストラテジー
米国債全般
米国ドル建て債券市場動向- 2023年年初から2月10日まで –
本レポートでは、米国債券市場における 2023 年年初から 2 月 10 日 までの約1ヶ月強の米国債券市場の動向を確認する。
アナリスト
通信
ソフトバンクグループのFY2022Q3決算とクレジット評価上の着目点
2023 年 2 月 7 日、ソフトバンクグループ株式会社は、2023 年 3月期 第3四半期の決算を公表した。本レポートでは、同決算内容のうち、同社発行社債などクレジット評価上で重要と考えるポイントについて解説した。
債券市場アップデート
米国債券市場動向(2023-2-10まで)
本リサーチ動画では、2023年2月10日までの米国債券市場の動向についてお伝えします。