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米ドル建て債券市場動向 2024年12月-第2週
[米ドル建て債券相場動向]
- 過去2週間に生じた金利低下ペースへの警戒感が、 12月のFOMCを前にして反転として顕在化。10年国債利回りは、前週末の4.15%(12/6)から4.40%(12/13)に反転上昇。
- 0.25%程度の追加利下げをコンセンサスとして織り込みつつも、下がらないインフレ率に、利下げペースのスローダウンを警戒した形。
[相場の見方]
- FOMC直前ということもあり、市場ではコンセンサスである-0.25%の利下げについての恐怖感あり。急激な金利の変転上昇につながった。
ただし、FY2025年の相場における、10年金利は一定の利回りレンジで推移しやすいことを立証した値動き、ともみなせる。
流動性が低下に向かう中、12月中の金利水準は必ずしも市場のコンセンサスを適正に表しているとは、評価できない可能性がある。
[新発社債の状況]
- 新規起債ランキング上位10案件の半分が10億ドル未満に。年末で起債市場の動きもスローダウン。
- 起債額の特に大きかった案件は、12月10日に発行したヘルスケア施設・サービスセクターの「CVSヘルス」の30.0億ドルの起債。CVSヘルスでは、財務体質改善のために既発債の現金公開買い付けを実施していたが、12/16の同社リリースによれば、10本の既発債について最大元本額で17.7億ドル相当の応募があり、今回の劣後債(NC5が22.5億$、NC10が7.5億$)による借り換えで、償還による資金繰り懸念は大幅に後退。
- 2番目は、12月9日に発行した自動車セクターの「トヨタ モーター クレジット」の21.0億ドル、3番目は、12月9日に発行したヘルスケア施設・サービスセクターの「センコラ」の18.0億ドルの起債。
[米ドル建て社債取引動向]
- 金融機関債は通常通り、大手米銀の債券を中心に取引された。より市場のニーズが高く商いが多かったのは、各金融機関債のうちクーポンが5%を超える水準のシニア債。
- 事業会社のうち、投資適格債券の取引額では、CVSヘルスが最も多く、クローガー、インテルがそれに続いた。どちらかというと、事業の状況に課題を抱える企業の社債が、より集中的に取引された形。投機級では、先週に続き、ディボールド・ニックスドルフの取引が増加した。
[個別社債価格の動向]
- 投資適格・ハイイールド共に、経営課題がある事業会社の社債を中心に価格上昇。
米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのクローガー。買収失敗をプラス材料として評価(同社の利回りは、同社社債が早期償還を決定したことに起因した異常値を含む)。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も下落したのは小売(一般消費財)セクターでホームセンターを営むロウズの社債。ホームセンター大手のロウズは、DIY向けの売上高構成比が同業他社より高くリフォームの不況の影響を強く受けている。さらに商品に占める輸入品の比率が高く、トランプ関税も懸念材料。プロ向けにおいても不法移民の強制送還が建築作業員不足を生むとの懸念も。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、、カジノ、ゲーミングセクターの金沙中国 [サンズ・チャイナ]。サンズ・チャイナは、傘下のホテルのブランド変更と、最高級志向のカジノホテルへの転換計画を表明、市場が好感し株式・債券共に市場価格が上昇。
- 外国籍の投資適格債で最も下落したのが、無線通信サービスセクターのアシアタSPV2。
外国籍企業の投資適格債では、中国関連の多くのネームで社債価格の下落が見られた。
外国籍の投機級債で最も下落したのは、化学工業セクターのメタネックス。