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バイオジェン(MDY:Baa2、S&P:BBB+) 事業概要と同社のクレジット投資評価
- バイオジェンはアメリカの医薬品メーカー。FY2023年の総売上は98.3億米ドルで、製薬会社別売上高で売上高20位内には位置していない、独自の専門性を有するバイオ薬メーカー。
- FY2023の総売上の5割弱を「多発性硬化症(中核神経疾病)」の治療薬が占める一方、各2割弱を希少疾患が占める事業構成。
- 主力製品のうち、TysabriやSPINRAZA等の売上高上位の医薬品については、特許権失効は2034-2035年と、まだ十分な時間が残されている。一方で、Tecfideraは特許切れが迫っており、2025年にはヨーロッパでの独占的販売権を失う予定。既にバイオシミラーによる市場シェアの浸食を受けており、今後も引き続き減収が見込まれる。
- バイオジェンの創薬パイプラインの総保有件数は21件と、より上位に位置する製薬企業と比較して案件の保有件数は少ない。ただし、創薬パイプラインの数は、おおむね製薬会社の売上規模に比例することを考えれば、バイオジェンのパイプラインは、必ずしも不充分なものではないと弊社では判断している。
- 過去2年間でも二件のM&Aが完了。従来から同社が得意とする中枢神経領域の地盤を固める一方でより競合製品の少ないニッチな医薬品をM&Aにより早期拡大するという、同社の経営戦略を反映。
- インフレ対策法の下での薬価交渉制度には、バイオジェンの製品は指定されにくく、同種のリスクは他社より小さい。
- バイオジェンは中核神経領域において最も高い占有率を維持。ただし、主要製品である3製品のFY2023における合計占有率は未だ40%程度を維持するも、過去5年間ではTecfideraの著しい減収により領域内シェアが大きく落ち込む(70%強→ 40%強)。
- 財務構造は、他の製薬会社に比べても頑健。
- 2024年は減収が継続の見込み。ただし、営業利益率はM&A実施直後と比べ大幅に回復。
- バイオジェンの5年債などには充分な投資の効用が存在。20年超の債券も2~3年の保有後に入れ替えを考える場合には効用がある。反面、満期保有を前提とした場合には、超長期にわたり差別化されたビジネスモデルを維持できるかどうかは、不安定性が存在、他銘柄に劣る可能性。