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ペトロブラス(Petrobras)の概要と社債投資の評価ポイント
ペトロブラスは、世界でも有数の生産規模を誇る、ブラジルの総合エネルギー企業で、エネルギーの探査・採掘から石油製品の製造・流通までを一貫して行う。同社のクレジット評価上重要となるポイントは以下の通り。
◎ブラジルの年間原油生産量は世界で第8位、1日当たりの原油生産量は9位であるが、そのブラジルにおける石油・天然ガス生産量の約89%をペトロブラスが占める。当初は、ブラジル政府が独占的な国営石油企業として独自の根拠法に基づき設立したペトロブラスであるが、現在、法的には事業の独占規定は除外されている。それでも、実質的には国内の原油・NGL生産の約9割を独占し、かつブラジル政府が発行済み株式の50%超を保有するため、国策企業として同国政府との関係は非常に強固である。
◎同社の事業セグメント上、売上高構成では競争事業であるRT&M(精製・輸送・マーケティング)の構成比が高いが、税引前利益では実質的な独占事業ともいえるE&P(探鉱・生産)が8割以上を占める。採掘コストの低いプレソルトの生産が伸長したことで、ペトロブラスの石油産業は国際的にも輸出競争力を有する。 短期の業績は、国際エネルギー相場の影響を受けるが、信用力は必ずしも相場に左右されない。
◎逆に、信用力評価に寄り強い影響を与えるのが政治リスク。現在の左派政権(ルラ大統領)の下では、ブラジル国との一体性が増し、経営的な自主独立性は後退しやすい。この結果、社債にはサポート要因となり価格が上昇しやすい反面、株式にはマイナス要因となりやすい。逆に過去の右派政権のような自由経済を志向する政権下では、株式にはプラスだが債券にはマイナスの評価となりやすい。ペトロブラスの外貨資金調達ビークルは、ペトロプラス・グローバル・ファイナンスで、信用リスクは実質的にペトロブラスと一体。
◎米州でカナダを上回る経済規模を有するブラジル国との政治的一体性に加え、日本とブラジルとの間に存在するみなし外国税額控除の関係で、実行的な投資リターンは高く、効率的な投資対象となりやすい。