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「日銀とFRB(2024年7月)」各国中銀の政策決定会合を受けた、為替見通しと外貨建て債券投資の考え方
1. 株式相場について
- 日米の株式の下落は、意味が異なる。
- 米国株は、一部のAI関連株の利益成長期待を全業種に適用した価格形成。明らかに割高感が加速していた。株式投資家が期待する早期に複数回の利下げは、オーバー・バリュエーションの正当化を金融政策に求める内容。経済減速の深刻化、といった懸念は裏付けが不十分。
- 日本株は、新規市場参加者の増加などに起因する狼狽売りはあるもののファンダメンタル面での割高感は少ない。今後も、米株の調整が生ずると連動して下げやすいものの、最大下落余地は米株よりも限定されている。
- パンデミック前のイールド・スプレッド水準を目安として、株価指数の最大下落余地を評価すると、TOPIXは1999程度、S&P500は3346程度と、米株の乖離ははるかに大きい。当面はリスク資産を現金性の高い資産に退避を推奨も、調整後は日本のバリュー株から再エントリーが効率的か。
2. 中央銀行の金融政策について
- 米連邦準備理事会(FRB)の最大責務は、雇用最大化と物価安定の2つであり、経済の安定化はこれらのミッションとも深く連動。
- 一方で、FRBは金融相場に対し何の責務も負わない。
3. 米国のマクロ経済環境
- 物価・雇用・個人消費のいずれも、深刻な経済鈍化のシグナルとまでの指標は観測されていない。
- 物価;インフレ高止まりの主因は住居費と輸送サービス費の高止まり。2024年末までの鎮静化確信は困難なペース。
- 雇用;失業者の大幅増は移民増などに起因。労働者の解雇により生じているわけではなく、景気の深刻化材料にはならない。
- 個人消費;2極化を観測。低所得者層は厳しいが、消費金額の大きい高所得者層の買い控えは、足元で車などの高額な耐久消費財のみ。生活必需品やサービス消費は減速しにくい。→ GDPの全面下落にはならない
- 金融システム;金融システムは頑健。クレジットカードや商業用不動産が極端に大きい影響を及ぼす銀行は、特定のネームに限定。
4. 投資戦略の考え方
- 当面の投資環境と相場を見る上で最も重要な点は、行き過ぎた株価のバリュエーションに対するサポート要因として期待されていた利下げタイミングが後ずれして株式相場の調整が生ずることと、経済や企業活動のファンダメンタルが悪化することは、全く異なる事象と認識すること。
- 過去のクレジットサイクルでは、株式相場の大幅下落時に社債のデフォルトも増加する傾向。ただし、金融機関の破綻は限定される事例も、(2000年のハイテクバブル、2020年のコロナ危機など)今回の調整は2000年に類似。
- 米ドル建て債券で、インカムゲインと金利低下に伴うキャピタルゲインを狙う投資戦略を推奨。