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米ドル建て債券市場動向 2024年11月-第4週
[米ドル建て債券相場動向]
- トランプ次期大統領の再選後、いわゆる「トランプ・トレード」に連動して約2か月にわたり価格下落と金利上昇を続けていた米国債券市場は、前週に反転、金利は下落(債券価格は上昇)に転じた。
- 米国債利回りの反転下落が進んだ中、社債の利回り・価格の調整は遅れた。ベース金利の低下を単純に反映してスプレッドは全般に拡大したものの、利回りは国債に連動して低下した。
[相場の見方]
- 株式市場は、増益の継続などのファンダメンタル面での根拠を必ずしも充分に持たない相場上昇を続けている。
- しかし、価格下落と金利上昇が続いていた米国債では、10年債がおおよそ4.5%程度に近づくと、実需が増え、約2か月ぶりの急速な相場反転につながった。
- 今後も不安定な相場は継続しやすいが、年末で流動性が細る前に相場が反転したことで、2025年初以降の相場において金利の上限を意識するための目安が示された、とみることもできる。
[新発社債の状況]
- 前週の米ドル建て新発債市場では、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの主要銀行によるTLAC債(無担保優先債)の起債が目立った。年度末を控え年次決算上でのリスク対応を完了させつつある動きとなっている。
起債額の特に大きかった案件は、11月26日に発行した銀行セクターの「ロイズ・バンキング・グループ」の30.0億ドルの起債。2番目は、11月29日に発行した総合銀行セクターの「JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー」の25.0億ドルの起債。
[米ドル建て社債取引動向]
- 最も債券の取引額が多かった金融機関はJPモルガンチェースで、ウェルズファーゴがそれに続く形となった。JPモルガンチェースは、大型の新規TLAC債の発行案件の影響もあり、取引額が最も多くなった。
- 事業会社のうち、投資適格債券の取引額では、コノコフィリップスが最も多く、アッヴィ、オラクルがそれに続く形となった。石油大手のコノコフィリップスは、マラソン・オイルを買収した際の40億ドルの債務の借り換えを目的として、12月5日を発行日とする総額52億ドルの5本のシニア債起債を実施、この影響で流通市場でも既発債を含む多額の取引が観測された。
[個別社債価格の動向]
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、生活必需品小売のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド。投機級債で最も上昇したのは、自動車部品のグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー。
WTIが$68/bblに低下した中、原料価格低下を好感し、デューク・エナジーやネクストラ・エナジーなどの米国の広域電力会社や、化学工場などで原料価格の低下を好感した社債単価の上昇が観測された。
- 米国籍の投資適格事業債で最も下落したのが、パイプラインのターガ・リソーシズ・パートナーズ/TRPファイナンス。国際エネルギー相場の下落に伴う米国からのLNG輸出減や米政権のGHG(温暖化ガス)対策の後退に伴うCCS関連の投資意欲の後退などを受け、装置産業であるパイプラインの投資回収の遅れなどを懸念し、複数のパイプライン事業社債の価格が下落した。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、消費財のユニリーバ・キャピタル。ユニリーバでは、11月23日までにアイスクリーム事業の再建計画の進展に伴い、同事業のスピン・オフ(分離・独立)を実施する方針を公表、アイス事業の分離に伴い、ユニリーバは4部門構成に移行。事業再編方針を好感して社債相場は上昇で反応。
- 前週は、米金利の全般的な低下に伴い、社債価格も全般的に上昇。ベンチマーク対比で下落しているほとんどの債券単価は、絶対水準では上昇していた。相場の居所が見えにくい中、相対的な下落銘柄は、残高の大きい特定ネームに集中。外国籍の投資適格債で最も下落したのが、投資適格債で最も下落したのが、石油:総合のメキシコ石油公社(ペメックス)。