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米ドル建て債券市場動向 2024年9月-第4週
2024年9月13日から9月20日までの週次の米国債券市場動向を確認し、起債市場、流通市場の取引金額、流通市場の価格変化について報告する。
(1)起債市場の傾向
- 起債額の特に大きかった銘柄は総合銀行セクターの「シティグループ」、TLAC債で71億ドルの大型起債を実施。
- 2番目は、医薬品セクターの「ノバルティス・キャピタル」。昨年のチヌーク・セラピューティクス買収以降、弱っていた財務の強化が図られることに。
- 3番目は、生活必需品小売セクターの「ブンゲ・リミテッド・ファイナンス」。
(2)流通市場における取引金額
- 2024年9月13日から9月20日までに取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はシティグループ債。新発債の大型起債に合わせた、シティグループ債の入れ替えに伴う広範な取引が、前週に引き続き観測された。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「ヒューレットパッカードエンタープライズ」が最も多く、「ボーイング」、「インテル」がそれに続く形となった。一方、投機級債券では「ロイヤルカリビアンクルーズ」の取引額が多かった。
(3)流通市場における価格動向
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- FOMCでの0.5%の利下げを受け短期金利(1~5年)は大きく低下したが、10年超の金利はわずかにしか反応せず、特に25年超の金利はほぼ変化なし。
- 米国国債の利回りが下がりにくくなる一方、イールドハンティングの目的で社債は幅広く買われ、スプレッドは全般的に低下。特に低位ハイイールド債のタイト化が著しい状況。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは旅客航空輸送業セクターのアメリカン航空2015-1クラスAパス・スルー債だった。前週まで下落を続けていたインテル債は、クアルコムによる救済的合併の可能性が報じられ、反転上昇した。また、投機級債で、最も上昇したのはケーブルテレビ・衛星放送セクターのディッシュDBS債だった。
- 外国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。一方で、最も下落したのは化学工業セクターのUPL。
- 金融機関の投資適格債では、最も上昇したのはサンタンデール・ホールディングスUSA債。一方、最も下落したのはJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー債。
(4) まとめ
- FOMCで「利下げ」が確定した中、これまで期待が先行していた長期・超長期債はスティープ化(長短金利差が増す)する一方で、利回り水準は低下しにくい状況。
- 長期・超長期の利回りにフォーカスした長期保有投資による利回りベースでの投資が引き続き有効であることが確認された。一方で、短期の価格変動にベットしたストリップス債投資等の有効性は低下。