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リリース日
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レポート
米ドル建て債券市場動向 週次:10月18日まで
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レポート
バークレイズの概要と投資評価ポイント
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レポート
米ドル建て債券市場動向 週次:10月11日まで
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債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第3週
本動画は、2024年10月11日から10月18日まで(ただし、起債額、及び取引額は10月14日~10月18日のデータを集計)の米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、10月14日~10月18日までの起債市場動向を確認する。
- RBC(ロイヤルバンクオブカナダ)は米ドル建てとカナダドル建て同時起債を実施。カナダドルのフォワードレートがプラスに転じる中、与信ニーズも高まり、大型同時起債を実施することとなった。
前週に公表された決算が好調だったモルガン・スタンレーは事業資金ニーズが高く、規制上の要件から非常時にベイルイン可能な持株会社発行のシニア債(TLAC債) に加え、より安全な子銀行債も合わせて発行。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、 JPモルガンチェース債、次いでゴールドマンサックスグループ債だった。
2,3位を占めた投資銀行2行では相次いでTLAC債の起債を実施。投資銀行業務が好調な中、既存債務の借り換えと損失吸収余力の拡大によるさらなる事業機会の拡大を目指す動きを受け、社債取引も活発化していた。
- 投資適格社債は、過去2週と同じ銘柄が主な取引対象。投機級では、米国の天然ガス価格の急落を受け、米州のエネルギー企業の社債が、集中的な取引の対象に。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 投資適格の米国籍事業債で、最も上昇したのは航空宇宙・防衛セクターのボーイング。ボーイングは、19日、ストライキを実施中の労働組合に対し4年間で35%の賃上げを含む新労働協約案を提示。労組側は23日に組合員の投票の予定。可決されれば1カ月以上にわたって実施されたストライキが終了するため、週末にかけて社債価格が上昇。米国籍の投機級事業債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのウォルグリーン・ブーツ・アライアンス。
- 米国籍の投資適格債で最も下落したのが、投資適格債で最も下落したのが、管理医療セクターのセンティーン。米国の医療保険会社は、公的医療保険のメディケアとメディケイドからの支払い減少に直面。政府統計によるメディケアの平均支払い額が0.2%減少したとの統計情報が、主要医療保険会社の利益率圧迫懸念により、株式・社債の両時価の下落を誘引。
- 外国籍事業法人の投資適格債で、最も価格が上昇したのは林産物・紙製品製造セクターのスザノ・オーストリア。世界的なパルプ価格の上昇の中で、ESGとの兼ね合いでも負荷が限定されているブラジルのスザノ社の株価がFCF改善期待から上昇、同グループの米ドル建て資金調達に主に活用されている、子会社のスザノ・オーストリアの社債価格も上昇した。
- 投資適格の外国籍債で最も下落したのが、投資適格債で最も下落したのが、パイプラインセクターのエンブリッジ。北米(ヘンリーハブ)の天然ガス先物価格が、 10月18日には2.258(MMBtu)と過去5年で最低レベルまで急落、北米でパイプライン事業を営むカナダ企業エンブリッジでは、採掘地域の採算性の低さから輸送量の減少が懸念され、社債時価が下落した。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 前週の米国債市場は、主要指標の合間ということで材料出尽くし感もあり、値動きに乏しかった。
- 投資適格社債も、同様に値動きが減る中、個別の材料を求め、相対価値に基づく取引が進んだ。
- 株価指数は最高値を更新も、不動産価格指数や、実物資産価格は下落。高止まりする金利のさらなる上値が重い中、株価の急落に備え、ディフェンシブなポジションを債券で構築する機会か。
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:10月18日まで
本レポートでは、2024年10月11日から10月18日まで(ただし、起債額、及び取引額は10月14日~10月18日のデータを集計)の米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年10月14日から10月18日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄は国際機関(Supra)セクターの国際復興開発銀行の51億ドルの起債。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はJPモルガンチェース債、次いでゴールドマン・サックス・グループ債だった。事業会社のうち、投資適格債券で取引額が最も多かったのはボーイング債。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。主要なマクロ統計の公表タイミングとずれたこともあり、週次での金利の動きは鎮静化。全年限で金利は横ばい。
- 米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは航空宇宙・防衛セクターのボーイング債。投機級債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスだった。
- 外国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは、林産物・紙製品製造セクターのスザノ・オーストリア。投機級債では化学工業セクターのUPLだった。
個別発行体評価
バークレイズ(Barclays PLC)概要と投資評価ポイント
バークレイズへの債券投資を検討するにあたって、8月1日に公表されたFY2024Q2までの決算を参照して,企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説します。
[バークレイズの概要]
- バークレイズは、イギリス国内でHSBCに次ぐ資産規模を持つ銀行であり、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[バークレイズの信用リスク評価の着目点]
(1). 収益力評価 - 評価軸 #1
収益力から見た場合、シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(2). 経営環境の変化への耐性- 評価軸 #2
経営環境の変化耐性には、重大な懸念点は無いものの、必ずしも他行より頑健ではなく。G-SIBsの中位程度。シニア債券の投資評価上はポジティブに評価。
(3). 資金流動性とRWA当たりの収益性 - 評価軸 #3
RWAあたりの収益性が相対的に高く、短期の資金流出による悪影響が生じにくい資金調達構造を維持。シニア債券の投資評価上はポジティブと評価。
(4). 規制資本から見た安定性 - 評価軸 #4
劣後債投資に重要な、CET1資本に生じうる劣化がG-SIBsの中でも中程度(ただし平均を下回る)。AT1債の潜在的なコールスキップ・リスクはG-SIBsの中で相対的に高い。
[英国に特有の金融規制など]
- 英国では独自のリングフェンス規制を導入済。銀行持株会社の潜在リスクは、理論上、他地域に比べ相対的に高くなりやすい。AT1債のベイルインのトリガー条件も他地域(スイス以外)の銀行より高く、ベイルインが生じる潜在リスクがより大きい。ストレステスト結果の前提に「戦略的マネジメント施策」としてAT1債の損失吸収が含まれる可能性も。
[バークレイズの債券への投資評価]
- AT1債の投資評価;現時点ではベイルインリスクは抑制的だが、マクロ経済にストレスが生ずるとAT1債には配当停止やコール・スキップが生ずる可能性は他のG-SIBsに比べ相対的に高く非推奨。
- TLAC債(無担保シニア債)は良好な投資機会を提供。仕組み債の発行体としても同様の効用が存在。
アナリスト
銀行
バークレイズの概要と投資評価ポイント
本レポートでは、バークレイズ(Barclays)の発行する有価証券(社債、株式)に対する投資を検討するにあたり、8月1日に公表されたFY2024Q2までの決算を参照してバークレイズの経営状況を確認し、同社の概要と説明と同社に対するクレジット評価を行う。
◎バークレイズの概要
バークレイズは、イギリス国内でHSBCに次ぐ資産規模を持つ銀行であり、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
◎銀行の信用リスク評価の着目点
収益力評価 - 評価軸 #1
環境変化への耐性- 評価軸 #2
資金流動性とRWA当たりの収益性 - 評価軸 #3
規制資本から見た安定性 - 評価軸 #4
◎英国に特有の金融規制など
◎バークレイズの債券・株式等への投資評価
ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:10月11日まで
本レポートでは、2024年10月4日から10月11日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
〇 米ドル建て債券起債動向 p.1
- ここでは、2024年10月7日から10月11日までの起債市場動向を確認する。起債額の特に大きかった銘柄はシェル・ファイナンスUSインクの債。
〇 米ドル建て社債取引動向 p.2
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債は前週に続きバンクオブアメリカ債、次いでJPモルガンチェース債だった。事業会社のうち、投資適格債券で取引額が最も多かったのはメキシコ石油公社(ぺメックス)。
〇 米ドル建て債券価格動向 p.4
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。米国CPIの下げ渋りや堅調な雇用指標からくる景気の安定化期待もあり、利下げへの慎重論が増加、米国債イールドカーブも全般的に上昇し、7月中旬の水準まで戻す展開になった。
- 米国籍事業法人の投資適格債で最も上昇したのは石油:総合セクタースーパーマーケット&薬局セクターのクローガー。投機級債で、最も上昇したのは消費者サービスセクターのジオ・グループ債だった。
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第2週
本動画は、2024年10月4日から10月11日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[全体動向]
- 米国CPIの下げ渋りや堅調な雇用指標からくる景気の安定化期待もあり、利下げへの慎重論が増加、米国債イールドカーブも全般的に上昇し、7月中旬の水準まで戻す展開に。
- 米ドル建て社債市場では、投資適格社債のスプレッドがおおむねタイト化した。一方で、投機級社債のスプレッドは拡大しており、信用リスクによる選別が広がった形となった。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、2024年10月7日から10月11日までの起債市場動向を確認する。
- 新たに観測された起債額の特に大きかった銘柄はシェル・ファイナンスUSインクの債。シェルでは、グループ内の債務を事業地域に合わせ再編するためにシェル・インターナショナル・ファイナンスの既存債券をシェル・ファイナンスUSインクの債券と交換するエクスチェンジ・オファーを実施、10月8日に新会社から巨額(計8本、114.6億ドル)の社債が発行された。
- 次に起債額が多かったのは、定期的な社債発行体であるトヨタ モーター クレジットの社債(計3本、30億ドル)。同社は、計30億ドルの巨額起債を実施。トヨタの7?9月期の米国新車販売は前期比-8%減の54.3万台。HV車等の販売は同+39%増の25.6万台に伸長した一方、複数車種でのリコールと生産停止が一時的な売上減少要因となった。同要因解消後の販売金融は回復の見込みであり、トヨタ モーター クレジットの資金調達は順当と評価。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、前週に続き大手米銀6行の債券。これに加え、新たに取引金額が増えていたのは、RBC(ロイヤルバンクオブカナダ)債。同銀行では、10/18のドル建て債、10/17のカナダドル建て債の起債がそれぞれ決まっており、また発行条件がそれぞれ10/8、10/9に決まる中で、入れ替えに伴う取引が大幅に増加した。さらに、カナダ国債の10y-2yの利回り格差は長らくマイナスであったが、長期金利の急騰により同年限間のフォワードレートがプラスに転じたことも、銀行経営上にプラスの評価となった。
- 事業会社のうち、投資適格の事業会社社債のうち上位4社(ボーイング、PEMEX、CVSヘルス、オラクル)は前週と同様に盛んな取引対象となっていた。加えてゼネラルモーターズ債の取引額が増えていた。投機級では、10/22の新発起債や日本製鉄によるUSスチール買収に絡んだ思惑などから、クリーブランド・クリフス社債の取引が増加した。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 米国籍の事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは投資適格の米国籍事業債で、最も上昇したのはスーパーマーケット&薬局セクターのクローガー。米食品スーパー2位のクローガーが同4位のアルバートソンズの買収条件をおおむね決定したことを受け社債価格も上昇(正式発表は14日)。実現すれば、首位のウォルマートの店舗数に迫る大型買収だが、まだ規制当局の承認は得られていない。
- 米国籍の投資適格債で最も下落したのが、航空宇宙・防衛セクターのボーイング。ボーイングでは、ストライキの影響を受け、11日に資金繰りの改善に向けた諸施策を発表。 全世界の従業員を1割削減、中型貨物機「767F」の生産中止、開発中の新大型機「777X」の初号機納入も1年遅れの2026年に。これを受け社債価格も下落。
- 外国籍の投資適格債では最も価格が上昇したのは総合石油セクターのトタルエネルジー・キャピタル・インターナショナル。次いで上昇したのは、欧州製鉄企業のアルセロール・ミタル債。日本製鉄が、11日、「米USスチール買収が実現した場合にアルセロール・ミタルとの米国での合弁を解消、合弁会社のAM/NSカルバート株式持分を約9億ドルの債権放棄後に1ドルでミタルに譲渡することで合意」と発表。市場ではミタル債が好感され購入対象に。
- 投機級債で、最も上昇したのは探査・生産セクターのLeviathan Bond Ltd。
- 投資適格の外国籍債で最も下落したのが、石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。過去3週にわたり上昇を続けてきたペメックス債だが、10/8にFitchレーティングスが、公式な格上げシナリオの前提条件を公表したことを受け、当面の材料が尽きたこともあり、大きく反落した。また、投機級の外国籍債で、最も下落したのは総合石油セクターのエコペトロル。
- 金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは金融機関の投資適格債で、最も上昇したのはBlackstone Private Credit Fund。
- 一方、最も下落したのが、ウエストパック銀行。2024年7~9月のオーストラリアの住宅価値の上昇率が前期比+1.0%上昇に留まるなど住宅需要の低下を受け、住宅向け与信が多いウェストパック銀やナショナルオーストラリア銀等の豪銀の社債価格が下落。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 米国債のイールドカーブは反転したが、金融当局の関心がインフレ抑制から経済・雇用対策に移った現状が変化したわけではない。
- マクロ的な指標からみれば、9月のFOMC前後は実態を超えた過度な金利低下のオーバーシュートが、その後の雇用指標を受けた後には過度な金利上昇のアンダーシュートが発生している。
- 投資家は、短期の相場変動に過剰に反応することなく、市場の真のトレンドに沿った投資評価を行うことで、利回りを確定させる投資機会を得やすい市場環境。
個別発行体評価
ソシエテ・ジェネラルの概要と投資評価ポイント
ソシエテ・ジェネラルへの債券投資を検討するにあたって、企業の概要から投資評価ポイントについて簡潔に解説する。
[概要]
- ソシエテ・ジェネラルは、フランスでBNPパリバ、クレディアグリコルに次ぐ規模で、全世界に11万人以上の従業員を持ち、顧客数は2,500万人に上る巨大金融機関。
- また、同社はG-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)にも指定。
[同行の事業構造]
- 同社の事業構成は大きく3つに区分(国内リテール銀行等/国際銀行・投資銀行等/海外リテール銀行等)。
- 足元では、国内外のリテール銀行は、いずれも減益トレンドを継続。投資銀行は増益のタイミングもあったがもともと不安定で持続性はない。
- 銀行事業に関しても、リテール向け融資に傾斜していることから、金利や失業率といったマクロ経済への影響度が高く、リスク分散の観点で、他の欧州主要行よりも安定性で劣る。
[同社の収益力評価]
- ソシエテ・ジェネラルの収益規模は大きな変動はない一方で、減益傾向が継続しており、収益性は悪化していると評価。
[同社の環境変化耐性]
- ソシエテジェネラルは費用水準が上昇傾向にあり、他行と比較し市場環境の変化に脆弱であると評価。
[同社の健全性評価]
- ソシエテ・ジェネラルは現時点の健全性指標に重大な問題点は見受けられず、現状ではG-SIBs内でも中程度の健全性であると評価。
- ただし、マクロストレステストではより大きな資本毀損が生じやすく、ストレス状況下では同行が発行する劣後債の時価に大規模な下方修正が生じる可能性も。
[同社のクレジット投資評価]
- 同行に対する投資で個人投資家などに最も効用が高いのは、シニア債とデフォルトのトリガー条件(実質破綻認定)が一致する、Tier2債(期限付劣後債)。ただし流動性面で投資機会が得られない場合には、無担保優先シニア債(TLAC債)にも投資の効用が存在。
投資戦略動画
個人投資家の資産運用の方法:金融資産(株式・債券)、投資信託の選別法
本動画では、現在の市場環境を反映した資産投資の考え方についてご説明します。
1.経済環境の構造的な変化と資金需給の影響
コロナ後の相場形成;資金需給が押し上げたバブル的相場からの脱却
金融政策に起因した相場への影響(資金需給)は継続も、正常化によりファンダメンタル相場へ
2.市場特性の変化と「ポートフォリオ運用」の有効性
富裕層の場合、まだしばらくはポートフォリオ運用に適さない市場環境が継続する可能性
3. 日本株式/米国株式相場の市場傾向と投資戦略
リスク資産の変動と下落はまだ続く可能性。積立投資などには向くが、一括の投資資金は相場が調整を終えるまで現金性の高い資産に振り替え。国内バリュー株投資は効率的な可能性
4.日米イールドカーブ見通しと債券投資戦略
米ドル建て債券で、インカムゲインと金利低下に伴うキャピタルゲインを狙うことにより円高リスクをオフセット
5.人生設計と金融資産運用
個人投資家にとっての金融資産運用の効用は、運用パフォーマンスではない
高齢に近づくほど、利息で稼ぐ、より安定的な金融資産を積み上げることで、人生を下支えする生活インフラを構築することが重要
債券市場アップデート
米ドル建て債券市場動向 2024年10月-第1週
本動画は、2024年9月27日から10月4日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。
[全体動向]
- 強い米国労働指標を受け、利下げペースへの期待が後退。前年限で米国債金利が上昇。ただし、6月までの労働統計上の失業者数の増加自体が、雇用者の減少ではなく移民などの流入に起因、今回はこれらが就業した結果を反映。
- 前々週に引き続き、社債は動意が薄く、スプレッドはほとんど変化しなかった。国債金利の急激な動きに社債市場がついてこれていない状況。
[米ドル建て債券起債動向]
- ここでは、2024年9月27日から10月4日までの起債市場動向を確認する。
- 新たに観測された起債額の特に大きかった銘柄は10月2日に発行した半導体セクターの「ブロードコム」の50億ドルの起債。債券の本数は4本、年限は3~10年、優先債調達。ブロードコムはストレージやネットワークの制御プロセッサー等を製造する半導体メーカー。長い年限の起債が難しい業態で、既存債務の借り換えが目的。(2025年に10億ドル以上、2027年に40億ドル以上が償還。)
- 次に大きい新規案件は、10月4日に発行したソフトウエア&サービスセクターの「Accenture Capital Inc」の50億ドルの起債。債券の本数は4本、年限は3~10年、優先債調達。アクセンチュアは機械学習に特に重点を置いたデジタル、クラウド、セキュリティ機能を構築する上で活発なM&Aパイプラインを維持しており、継続的な買収資金の調達が必要。買収は人材強化に効果的と説明。
[米ドル建て社債取引動向]
- 前週の取引額が多かった社債を、金融機関債と、事業会社(投資適格、投機級)に分け、それぞれ示した。
- 債券の取引額が多かった金融機関債は、前週に続き大手米銀6行の債券。金融相場が大きく動く中、過去にも影響を受けた資産運用事業の構成比が大きいモルガンスタンレー社債の取引が増加した。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「メキシコ石油公社(ぺメックス)」が最も多く、「CVSヘルス」、「オラクル」がそれに続く。投資適格債では、前々週に引き続きぺメックスは格上げ期待からの取引が継続、また同様に新発債が出た直後のオラクル、ヒューレットパッカード社債も頻繁な取引の対象となった。
[米ドル建て債券価格動向]
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。とはいえ、価格変動のほとんどはベースとなる米国債金利に連動、スプレッドの変化は限定的。一部銘柄で限定的な物色が行われた形。
- 米国籍の事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは石油:総合セクターのシェル・インターナショナル・ファイナンス。シェルは、グループ内の債務を米国事業と整合させるために既存のシェル・インターナショナル・ファイナンスB.V.発行の旧債券をシェル・ファイナンスUSインクの債券と交換するエクスチェンジ・オファーを実施していた。10月4日に最終結果が公表された。
- 米国籍の投資適格債で、最も債券価格が下落したのは、管理医療セクターのヒューマナ。ヒューマナは、米国で医療保険などを手掛ける管理医療会社。メディケア(高齢者向け公的医療保険)は、ヒューマナの主要な健康保険プランを格下げする方針で、来年以降同プランでは政府から支払われる追加収入が制限される見込み。
- 外国籍の投資適格債ではぺメックス債が上昇。また外国籍の投資適格債で最も下落したのは、、公益事業セクターのステート・グリッド・オーバーシーズInv2016だった。中国の経済停滞状況を受け、中国関連の社債が軒並み下落。中国国家電網(State Grid Overseas)や寧徳時代新能源科技の子会社(Contemporary Ruiding Development Ltd.)等の社債が値を下げた。
- 金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは三井住友フィナンシャルグループ、イギリスのナットウェストが続いた。米国金利が激しく変動する中、個別銘柄の物色が継続。英国での利下げの中で、英銀の中でも相対的に金利変動に対して堅固なビジネスモデルを持つナットウエストの社債価格が選別的に買われた形。
[米ドル建て債投資戦略のまとめ]
- 米国国債カーブの変動が大きくなっている中、本質を見失わない投資スタンスが重要。
- マクロ指標は早急な景気対策を要するほど深刻な状況にはない。同時にインフレは抑制されており、穏やかな利下げペースに変更は生じにくい。
- 9月のFOMC時に、そもそもパウエル議長は「今回の▲0.5%のようなペースで利下げが進むと考えるべきではない」と言及。
- 過剰な期待や反動に振り回さわれる市場だが、本質を見誤らなければ、むしろ良好な投資機会を提供。
個別発行体評価
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(MDY:A2、S&P:A)事業概要と同社のクレジット投資評価
本動画では、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol-Myers Squibb Co.)(以下「BMS」と表記)の経営状況や主要商品市場の現状を確認し、同社に対するクレジット評価を行う。
[BMSの事業概要]
- BMSのFY2023の売上は3割前後をがん腫瘍、免疫疾患、心臓病がそれぞれ占める構成。精神神経疾患(中核神経)領域における収益力強化に注力。
- 主力商品(ブロックバスター)5つの売上高合計が総売上高の75%以上を占めており、売上上位製品への依存度が高い構造となっている。
これらの商品は、いずれも2024~2030までの間に特許期限が切れる。
- ブロックバスターの収益機会喪失に対応するため、フェーズIIIまでの創薬ポートフォリオを充実化。FY2024Q1にも大型M&Aが3件を完了。
うち、2件はがん腫瘍疾患領域、残りの1件は精神神経疾患領域におけるシェア拡大が目的。
- 主力商品が、インフレ対策法の薬価交渉制度の対象となるなど、さらなる減収要因も。
[BMSの業績/財務状況]
- 直近四半期(FQ2 2024)における売上高は前年度同期より+8%ほどの増収で12,201(百万米ドル)。
Q2の営業利益は、前年度同期より▲10%ほどの減益で、1,559(百万米ドル)となった。なお、Q1の営業損益は大幅な赤字(3件の大型買収に起因)。
- 自己資本比率は大型M&Aの実施に伴い、FQ1 2024に▲14.3ポイントほどの大幅な下落がみられ16.7%まで悪化したが、FQ2 2024には18.0%へやや改善。
- 返済能力の指標である「ネット有利子負債/EBITDA倍率」はFQ1 2024にマイナスに転じたのち、直近四半期では2.87倍となった。
- M&Aによって得られた創薬パイプラインの収益化が進めば、有利子負債の圧縮が継続的に行いやすくなり、これらの指標も改善される可能性。