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ストラテジー
米国債全般
米ドル建て債券市場動向 週次:12月20日まで
[米ドル建て債券相場動向]
- 12月18日、米FOMCで2025年度におけるFEDの利下げ予想が9月予想の年4回から年2回に修正され、同インフレ予想が上方修正されたことを受け、2年より長い米国債利回りは、全年限で上昇に転じた。
- 前週までにタイト化が進んでいた米国社債スプレッドも全面的なワイド化に転じた。特に、これまで歴史的にもタイトな水準となっていたハイイールド債のスプレッドは反転し全面的な拡大に転じた。
[相場の見方]
- FOMCで示されたパウエル議長の見解は、米国の強い経済・消費動向を踏まえて、利下げペースを落とす可能性について、従来より明確に示したもの。
- トランプ次期政権の政策が米国経済に及ぼす影響についても、現状では実現可能性、対象範囲、タイミングなどが不明で、金融政策の判断にほぼ加味されていないと言及。
- 2025年1月末のFOMCで、利下げが実施されない可能性も高まり、長期金利は高止まりしやすい状況。ただし、クリスマス休暇を前に既に市場の流動性はなく、中長期にわたりインカム収入を得るための、「バイ・アンド・ホールド」ポジションの設定は、2025年1月2日以降の相場と市場環境次第。
[新発社債の状況]
- 起債額の特に大きかった案件は、12月19日に発行した損害保険セクターの「アーサー・J・ギャラガー(AJG)」の50.0億ドルの起債。債券の本数は5本、年限は3~30年、優先債調達。AJGは、12月9日、保険ブローカーのアシュアードパートナーズを134.5億ドルの現金で買収すると発表。12月11日に普通株式約85億ドルの公募増資を完了し、これを受け、12月19日には50億ドルの起債に成功した。
- 2番目は、12月16日に発行した銀行セクターの「オーストラリア&ニュージーランド・バンキングNY」の34.5億ドルの起債。債券の本数は4本、年限は2~5年、優先債調達。
[米ドル建て社債取引動向]
- 金融機関債のうち最も債券の取引額が多かった金融機関は「モルガンスタンレー」。投資銀行であるモルガンスタンレーは、これまで商業銀行が独占してきた法人向けの国際送金サービスに参入するためTFXハブを新設、さらに18日、同サービス大手の英ワイズとの提携を発表、取引材料に。
- 事業会社のうち、投資適格債券では「CVSヘルス」の取引が最も多く、「ユナイテッドヘルスグループ」、「ベライゾンコミュニケーションズ」がそれに続く形。トランプ次期大統領は、メディケイドと医療費負担適正化法(ACA)の2つのプログラムの予算の大幅削減可能性に言及。実現すれば、複数の州でメディケイド拡大イニシアチブが終了し、低・中所得者が公的な健康保険制度から外れる可能性があり、関連セクターの社債取引増につながった。