レポート
Report
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ストラテジー
欧州債全般
欧州国内銀行の破綻処理制度が抱える課題/公的支援の対応格差のケース・スタディ
◎ 前提
- 金融政策は、「政策金利」だけに影響される訳ではなく、「量的緩和」と「銀行による信用創造機能」を加えた全体で政策効果を実現。このうち、エコノミスト的な観点では3番目の「銀行機能」の安定性への理解が不足しやすい。
- 米国では、「国内銀行による信用創造機能」が不全化したことは、結果としてインフレ抑制効果の早期の実現に影響した。ただし、米国では強力で公平な国内銀行への監督制度適用が可能であったために地域レベルの金融システミック・リスクを回避できた。
- 欧州でも2024年7月以降に量的引き締め(QT)を強化する。市場の資金量が減る中で、中小銀行からの預金流出や国・銀行の選別が生じると、地域レベルでの金融危機により金融政策の副作用が拡大しかねない。
◎ 本レポートで指摘する課題
- EUには銀行危機管理・預金保険(CMDI)という、中堅・中小を含む銀行の破綻処理を秩序持って正しく管理する機能がある。
- しかし、過去のイタリアの事例に示されたように同制度の原則は、現状で個別国家の判断により例外として曲げられ得る。
- 一部国家のモラルハザードは、結果として地域間・銀行間での預金流出や資金移動のトリガーとなりかねず結果としてユーロ圏域内全体の地域金融システミック・リスクの連鎖を生じさせかねない。(米国との差異)