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2023年7月日銀政策決定会合を受けた国内金融政策の今後と国内金利見通し
本レポートでは、7月28日の日銀政策決定会合後のリリースと植田総裁のコメントなどを元に、背後にある経済状況を確認し、今後の金融政策の動向と円金利に関する相場予想、債券投資戦略に関する弊社の考え方を示す。
◎ 2023年7月の日銀政策決定会合リリース(2023/7/28)
長短金利操作(YCC)に関する政策修正が行われた点が最も大きな変化;
(i) YCCの変動幅について、従来の±5%を“目途”とし、より柔軟に運用すると言及。
(ii) 基本、毎日実施する指値オペの10年物国債利回り水準を0.5%→1.0%に変更。
(iii)資産買入れ方針の説明に“共通担保資金供給オペの実施”を表記上追加。
◎ 日銀政策決定会合後の植田総裁会見のポイント
- 金融緩和は継続。経済、景気は安定。インフレ圧力は穏やか。
- YCCに関する政策修正は、あくまで金融緩和の債券市場への副作用への対応、
金融引き締め(正常化)へのステップではない。
- 金融政策の変更に、国民の実質所得や、為替市場の動向は意識しない。
◎ 総裁メッセージの背後にある各種経済データが示す状況
- 国内消費者物価は3.5%で安定的に推移、国内企業物価は5.1%まで大幅に改善
- 企業物価の改善は主にエネルギー等一次産品の輸入価格の低下を反映したもの。
下半期には、消費者向け価格転嫁の影響も緩和されやすい。
- 労働コスト面からのインフレの弊害は、日本では顕在化していない。
- 主に、小売業・サービス業・その他などの専ら国内で事業を営む業種で倒産も増加。
- 金融緩和からの正常化を早期に進めれば、国内金融システムの不安定化要因に。
◎ 国内の金融政策、債券利回り見通し (p.11-図表11,12)
- 弊社の金利想定、社債利回り想定を提示。