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生命力を高める日常の実践(2)

生命力を高める日常の実践(2)

5バリューアット株式会社は、日本のIFA(金融商品仲介事業者)を変えたいとの理想の下に、代表斉藤彰一が立ち上げた企業です。

当社ではお客様と社会に役立つ存在を目指し、経営哲学・理念の共有や、精神性の修養に努めるべく、外部講師をお招きしての社内勉強会を定期的に催しております。

以下では、当社が開催した社内勉強会についてご紹介させて頂きます。

2025年5月23日に第8回オフサイトセミナーを実施しました。今回は3名の講師の方に登壇いただき、個々の専門に絡めながら「生命力を高める実践」という演題でお話をいただきました。

本記事では羽賀ヒカルさん、こがみのりさんのお話を掲載してあります。講師紹介などについては前回記事、ちこさんのお話については「生命力を高める日常の実践(3)」をご参照ください。

「なぜ、今、生命力が大事なのか」(羽賀ヒカルさん)

まずは羽賀ヒカルさんから、自己紹介も兼ねて樟葉で展開される事業に関する説明や、「日常で実践できるもの」という要望を基に、今回は「生命力」が演題のメインテーマに据えられたことが説明されます。

本題に入る前に、まず「最近、心を動かされたのはいつですか?」という問いがだされます。「心を動かされた」例としては、映画やドラマを見て感動した、本を読んで感動した、誰かから良い話を聞いて感動したといった経験や、「この人を助けたいと心から思った」ことなども、心が動いたということに含まれ、最近は半年~1年前程度の期間が含まれます。

羽賀さんのケースでは、社会学者の宮台真司さんと対談する機会を持ったことが感慨深い経験になったほか、夫婦関係で相談を受けた70歳代のご夫婦をどうにか助けたいと思い連日相談に乗り、ご夫妻の家を掃除したり、30-40年の夫婦関係でどんなことがあったかを聞くということも心を動かされた経験としてあげられました。

次にA・Bの2人でペアを組み、「最近、心が動いたこと」を互いに1分間シェアし、2分間のフィードバックを行うというワークが行われます。このワークは「生命力を高める」というテーマに繋がっているそうです。

人によってはSNSに感動を投稿したり、blog等に随筆的な記事を掲載し、文章による言語化を通じて感動をシェアするケースもありますが、今回のワークのように不意打ち的に「最近、心を動かされたのはいつですか?」と問われ、思い出したことをシェアとフィードバックによる会話に落とし込むということは、人前で話しをする機会が多い人でなければあまり馴染みのない体験であり、会話を通じて他者を深く知る契機でもあるので、中々興味深いワークと感じさせられました。

生命力のもたらす作用

現代は様々な問題を抱えているが、現代人は年々生命力がなくなっていることが最大の問題点と羽賀さんらは捉えているそうです。若者は数が減っているのに対し引きこもりの数が拡大し、高齢者では認知症の問題がより顕著(羽賀さんのもとにも、親の認知症の相談が増えているそうです)になり、中年層も生命力が下がっていることが課題と指摘されます。

生命力の低下は感動(心を動かされる)すること減少させてしまうため、「最近、心を動かされたのはいつですか?」という質問が設定され、「最近(初めて)ガーデニングを始めて毎朝水を上げており、花が咲いているのをみて感動した」、「初めてユニバーサル・スタジオ・ジャパンにいって、新しいアトラクションや作りこまれた世界観に感動した」、「今読んでいる小説に心を動かされ、どんどん先を読みたくなる」などの体験が、羽賀さんにマイクを向けられた参加者から寄せられました。

執筆者が最近心を動かされたことは、セミナーの翌日に私用で一泊二日で大阪に行き、天満駅で京阪本線に乗り換えようとした際に「樟葉」の名前を発見して前日のセミナーのことを思い出したり、初めて海遊館に行って巨大水槽やジンベエザメに圧倒されたり、かつて福澤諭吉も学んでいた「適塾」で、国内における蘭学の発展に尽力してきた先達の痕跡に触れたり、蘭和辞書『ヅーフ・ハルマ』の実物写本(偶然にも訪問日が展示最終日)を目にしたりなどがあり、「感動が生命力を高める」という観点から振り返ると、相当に生命力を高めて東京にもどってきたのだなと感じさせられました。



「ヅーフ・ハルマ写本」
福澤諭吉『学問のすゝめ』(複製)


生命力が低下すると感動する / 心を動かされることが減ってくるほか、イライラしやすくなる、人と人との繋がりを感じなくなり孤独感が増し、やる気が起きないという状態を引き起こしてしまいます。それに対し、生命力が上がっているとモチベーションが高くなり、人や自然との繋がりを感じる状態でもあり、安らかな気持ちになり、心が感動しやすい・震えやすくなる一方、現代社会ではスマートフォンでのゲーム、偏った食事(食事はエネルギーを授かるので、生命力に直結)、散らかった部屋、仕事のし過ぎといった、生命力を低下させる習慣が広く定着していると羽賀さんは指摘されます。

生命力を低下させる習慣の中でも、やはり重要なものは食事であり、「医食同源」という言葉もあるように、健康のことを考えるうえでは「丁寧な食事」心がけることをおろそかにできないでしょう。

経済やお金は何のためにあるのかを考えると、語源である「経世済民(けいせいさいみん)」にあるように、世を救い人を救う=命を助けるためにお金があると考えられてきたが、現代ではお金の為に命を削るといった状況になってしまっていると指摘されます。

営業は人の心を動かす仕事であり、生命力が高ければ心が動きやすくなるという点からも、ビジネスと生命力は関連性を持つだけでなく、日常生活におけうちょっとした習慣や人と人との向き合い方においても、生命力の高低は影響を及ぼします。

グレイトティーチャー株式会社では飲食店や学習塾を経営し、羽賀さん個人としては相談を受けたりYouTubeでの情報発信などを長年続けており、生命力を高めるといことはそういった対人関係中心の活動における軸でもあるので、「食」というテーマで、どういった習慣と向き合いながら生命力を高めていくという点も含めて、こがみのりさん、ちこさんのほうからお話をいただきます。

「生命力を高める『お茶』」(こがみのりさん)

 著書『神様に愛される一杯の「お茶」習慣』(2017, 自由国民社)は、こがさん自身がお茶を飲むことで人生が変わっていったことを記した内容です。茶肆ゆにわの店舗には同書を読んだお客さんが来訪するようになり、お茶習慣を取り入れることで生活が色々と変わったというケースが多々あるそうです。

一例としてあげられたのは、離婚まで秒読み段階であった岐阜のご夫婦です。まずは旦那さんがお茶習慣を単独で実践し、1年経った頃に奥さんもお茶習慣に巻き込み、最終的には2人で毎月、大阪の茶肆ゆにわに来店するようになったそうです。

奥さんは子供最優先で旦那さんの仕事や趣味に興味がなかったところ、お茶習慣を通じて夫婦仲が改善され、子供のほうも自分たちで食事を作るなど、夫婦で出かけやすい環境造りに協力するような関係性に変化したとのことで、こちらは家庭内に共通の習慣や趣味を採り入れることで、新たなコミュニケーションが生じたケースです。

別の例は、10年ほど勤めている従業員と会社の社長の事例です。長らく一緒に働いており、デスクもすぐ近くであるにもかかわらず仕事の話以外をしたことがないので、ティーブレイク的にお茶を飲む時間を設け、社長自身がお茶(コーヒーの時のある)を入れて、従業員に出すような場(感想を求めたりせず、とりあえず出す習慣を続ける)を設定し、それを続けているうちに家族同士で食事にいくようになるなど、交友関係が劇的に変化したそうです。家族ぐるみでの付き合いになるほど仲が深まった社長と従業員の関係では、交流が深まる最たるきっかけは不明とのことで、一緒にお茶を飲む関係を続けているうちに深い交友関係が構築されました。

また別の例も会社組織のケースで、社長1名と営業複数人、そして事務の女性1名が同室するオフィスでの話しです。オフィスに来客があった際には暗黙の慣習で事務の女性がお茶(粉茶)を出しており、粉末の匙加減によっては苦みや渋みもあれど、お茶としての体を成しているので、特に問題なく出していたそうです。また、営業成績が振るわない時には社長の機嫌が悪くなってしまうため、そういう状況になると営業担当は総じて外渉に逃げてしまうため、オフィスに残った事務の方が社長のお小言を聞かされることになる、というような環境だったそうです。

事務の方が茶肆ゆにわでお茶を飲んだところ「自分もお茶を入れてみたい」と思ったそうで。こがさんの提案により、会社でお茶を入れる(粉茶ではなく茶葉と急須を使用)ようになると、お茶を入れるのが楽しくなり来客が待ち遠しくなるという心境の変化が生じたほか、今までは仕事の話ばかりだった営業の方が出張先でお茶の葉を買ってくるようになり、さらには社長が茶菓子を買ってお茶に時間にみんなで食べるように勧めるなど、お茶を中心にした関係性が新たに生じたそうです。

こがさんのお話の中では、お茶を介して生じる人間関係やコミュニケーションの変化の例が複数紹介されましたが、歴史を辿ると戦国時代にはお茶が政治に利用されており、当時に説かれた茶道に関連した思想や教義なども、組織運営などの参考にできる部分が多くあると思われます。

御茶の湯御政道

戦国時代ではお茶がひとつのステイタスや武家の文化として定着しており、その中心にいたのが、お茶に精神性を取り入れ、お茶を飲むことで禅的な修行進める・人間的な器を形成するというスタイルを打ち立ててきた千利休です。当時の武将たちは、利休と繋がることで得られる政治的な利益のみならず精神修養を求め、こぞって信長の配下である利休への弟子入りを志願したそうです(利休への弟子入りは、信長との関係性を深めることにも繋がります)。

精神性で国をまとめ、理念や理想で繋がるということを目指したのが信長の時代であり、とりわけ政治におけるお茶(茶の湯政道)を信長は重視していたといわれています。


桶狭間の闘いを通じ、御恩と奉公のような単純なギブ&テイク、いわば利益的な繋がりでは今後も下剋上的な対立が起こると信長は考え、精神・理念的な繋がりを重視するようになったことも、茶の文化の広まりを支えてきたといえます。

利休は、茶の師匠のとの間で精神性を高めていくことや、客振り(部下の態度が殿さまの評価に繋がる)の良さや、同じ場所にいるのであれば全員でその場をよくするという「一座建立(いちざこんりゅう)」といった精神性面の教化を担っており、国のことや現実的なことを信長が担うという二人三脚の体制で政治行われてきたと、こがさんはまとめられます。

お茶とは

お茶は天平時代に日本に渡来し、当時は団茶(茶葉を固めて熟成させたもの)で、擦り潰して煮だす漢方薬のように処されており、精神力や活力を高めるための常用薬として用いられていたといいます。

東洋医学では、気・血・水の三要素から人間の身体が形成されると考えられ、各要素が偏ってしまうと身体や感情に悪影響を及ぼすと考えられています。また、経済活動においては血がお金の流れ(決まったルートを流れる)、お金(水)を支えるように流れるものが情報、その2つによって上がり下がりするエネルギーを景気として置き換えることができます。

偏りが生じた場合、例えばひどく怒りつかれて三要素のバランスが崩れた際に用いられるのがお茶となります。人間の身体は取り入れた食べ物・飲み物を分解して、身体を再構築するものに作り替える機能を持ち、東洋医学ではこれを「水穀精微(すいこくせいび)」の気と称しており、考えや血・水の偏りを飲食によって改善し、気を流していくことでバラバランスを整え循環を促していきます。

循環している状態はエネルギーが高いという状態でもあり、会社組織ではコミュニケーションの循環が良好な関係性の構築に繋がります。こがさんが挙げた例では、家庭や会社組織におけるコミュニケーション(循環)がお茶を媒介にして促されています。また、お茶の薬としての側面は気・血・水の循環を促す効果があると、こがさんは付け加えられます。

どのようなお茶がいいのか?

血・水・気の循環やお茶の効能を踏まえ、生命力を上げていくにはどのようなお茶が効果的か。こがさんによれば、低い位置に植えられた茶畑の茶葉(土の養分が少ないので肥料などで濃厚さを出す)ではなく、地面の下のほうまで根を伸ばしてミネラルを吸収して蓄えるお茶の樹から採取した茶葉のほうがエネルギーをよりしっかり吸収できるほか、中国の岩茶(岩に根を下ろす)などは濃厚な味わいでエネルギーが豊富にあるそうです。

茶畑で栽培されるお茶は、飲み物としてならば十分ではありますが、お茶の本来的用途である薬としての部分を活用する際には、樹木から採取したものや岩茶などのほうが良いとされます。

セミナーのスライドで紹介されたのは、台湾の山間部に自生するお茶(原生茶)で、お茶にとっては産地・土壌が重要であり、各地の土壌の影響でよってお茶に蓄えられる成分が変化します。それゆえ、薬として使う際には。産地や成分に着目して目的に適したお茶を選ぶのが良いとされます。また、かつての戦国武将は薬としてのお茶を愛飲していたので、生命エネルギーに満ち溢れていたのではないかと、こがさんは考察されます。

セミナーでは実際にお茶を入れて頂き、一般的な飲料用のお茶と薬としてのお茶(銘柄名などを持たない台湾の原生山茶で)を飲み比べて、エネルギーの違いなどを体験したほか、お茶の飲み方についてもレクチャーがありました(お茶の飲み方についての詳細は動画をご参照ください)。


人間の五臓(肝、心、脾、肺、腎)と対応する陰陽五行ではそれぞれに司る感情があり、今回出されたお茶は怒りなどに作用するお茶とのことです。怒りは肝臓の肝(五行では木に相当)の部分に働きかけ、怒りのエネルギーが肝を刺激すると身体や手が震えると考えられているほか、アルコール中毒で手が震えるといった例も肝が刺激されることで生じると言われているそうです。

まずは五臓の中から悪影響の出ている箇所に作用するお茶を飲み、次に全身を整えるお茶を飲むというのが本来的なお茶の飲み方で、各お茶の作用や効能を理解したうえで飲むことでお茶の働きを感じることができます。

特徴的なのは、空間を暗くした状態で少量ずつお茶を飲む(陰陽師や医者なども、暗い部屋でお茶を飲んで身体を整えていたそうです)という点で、お茶を飲むという行為が冒頭で紹介されたようなコミュニケーションを生じさせるだけでなく、精神修養や身体を整える(体内の三要素の循環を促す)機能を本来は持っていることは初めて知りました。

ワーカホリック時代とエネルギーの関係

過去にワーカーリックに陥った経験があるというこがさんは、当時は仕事(店舗販売の店長職)のことや営業成績を上げることを第一に考え、食事をする暇を惜しんで、朝はコンビニのかつ丼(車の社内でも食べやすいように冷たい状態)や、手早く食べられるパンなどで済ませていたそうです。また、公休も8日のうち2日しか取得せず、休みはプロレスやライブ観戦でため込んだものを発散していたそうですが、後になって人間関係の構築や循環にとって重要な生命エネルギーも一緒に発散しすぎていると指摘されたそうです。

営業成績はしっかりと上げる一方、間髪入れずにアルバイトが大量に辞めてしまうことが相次ぎ、営業成績を伸ばすという第一義的な目的や熱意・思いが上手く共有されないばかりか、周囲にプレッシャーをかけるような状態では生命エネルギーが下がっているため、羽賀さんのお話にもあったような人との繋がりを実感できないという状態に陥ります。

一緒に働いている人との繋がりこそが一番大事である。それが感じられない働き方を改善することが必要となり、自身のエネルギーも下がっている状態を改善するにはちゃんとした食べものを選んだり身に付けたりすることが必要となる。また、温かいところに人が集まって、人が集まると活気が生じ、活気があるとエネルギーが循環するため、自分がエネルギーを発する際には、温かい/冷たいを意識するとよいという、北極老人(グレートティーチャー株式会社の創設メンバーが通っていた大学受験塾の塾長で、転職後のこがさんが秘書を務めていた人物)からのアドバイスを受けたこがさんは、 温かいもの、軽いもの、明るいもの、薫り高いものを選んで食べたり、身に付けたりするようにライフスタイルを変えたり、アドバイスを実践することで状況が大きく好転したそうです。

実践するうちにアルバイトが辞めなくなり、こがさんが生き方/選ぶものを変えた後に雇ったメンバーは、こがさんの転職後も会社に残ってマネージャー職にまで上り詰めるなどのポジティブな結果をもたらし、こがさんはそれらを振り返って、自分が頑張るとか以前に自分の食べているもの、口にしているもののエネルギーの高さ、口から発する言葉のエネルギーの温かさなどが、生命力を高める=人との繋がりを感じる=ポジティブなエネルギーの循環にとって重要なものとなるとまとめられます。


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鈴木 真吾

鈴木 真吾

2023年3月よりインハウスクリエイターとして写真・映像撮影および編集、グラフィックデザイン、DTPなどを担当。専攻は文化社会学、表象文化論等。

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