生命力を高める日常の実践(1)

5バリューアット株式会社は、日本のIFA(金融商品仲介事業者)を変えたいとの理想の下に、代表斉藤彰一が立ち上げた企業です。
当社ではお客様と社会に役立つ存在を目指し、経営哲学・理念の共有や、精神性の修養に努めるべく、外部講師をお招きしての社内勉強会を定期的に催しております。
以下では、当社が開催した社内勉強会についてご紹介させて頂きます。

2025年5月23日、第8回のオフサイトセミナーを開催しました。これまでのセミナーは、お招きした講師の方による単独での講演で、思想・哲学、偉人、歴史、社会的なコミュニティの構築や医療問題などが主題として扱われてきましたが、第8回となる今回はこれまでと少し異なった内容となっています。
演題は「生命力を高める日常の実践」で、3名の講師の方に登壇いただき、それぞれ「なぜ、今、生命力が大事なのか?」、「生命力を高めるお茶」、「食の力」という副題で講演をいただきました。
講師紹介
今回は大阪の枚方市樟葉に拠点を置き、学習塾経営、飲食店経営、ECショップ運営、セミナー・コンサルティング事業をてがけるグレートティーチャー株式会社より、羽賀ヒカルさん(神道研究家)、こがみのりさん(茶肆ゆにわ店長)、ちこさん(御食事ゆにわ店長)の3名にお越しいただきました。

『たちまち開運! おうち神社化計画』(2023, エムディーエヌコーポレーション)などの著作を持つ羽賀ヒカルさんは神道研究家としての活動のほか、YouTube神社チャンネルの主宰、セミナー・講演活動などを通じて幅広いジャンルに関する情報発信を行われています。

単著に『神様に愛される一杯の「お茶」習慣』(2017, 自由国民社) を持つ、こがみのりさんは、18歳の頃に比叡山への出家を志願(しかし叶わず)するという経歴を持ち、現在は日本茶・中国茶を扱う「茶肆ゆにわ」と「シロフクコーヒー」の店長(後者では主に焙煎を担当)を勤められています。

開運料理人として、執筆活動や食と生き方をテーマにした講演活動などを行うちこさんは「御食事ゆにわ」で店長つとめるほか、ドキュメンタリー映画『美味しいごはん』(2018)で主演を担当されました。同作はちこさんと御食事ゆにわの1年半を追いかけた作品で、グレートティーチャー株式会が全事業の運営母体として展開する「ゆにわ」(オフ/オンラインで展開する私塾、店舗経営、コミュニティ活動、YouTube等での情報発信など)の事業を紹介するという側面もあるほか、劇中には今回登壇いただいた羽賀さんとこがさんも、各々の専門領域についての解説担当として登場されます。
今回はこれまでのように講義形式の座学ではなく、日常に活かせる実践を取り取れたワークショップ的な内容も含んでいます。講演内容も身近なテーマを扱っているので予備知識などは特に不要とは思いますが、内容をより深く知りたいという方は講師のみなさんが出演されるYoutubeの動画などをご参照ください(関連リンクは文末に記載)。
講演内容については「生命力を高める日常の実践(2)」で詳述していくので、まずは今回のセミナーの開催にあたり社内勉強会で取り上げた映画についてご紹介します。
映画『美味しいごはん』

今回のセミナーにあたっては、事前用の予習用の共通テクストとして映画『美味しいごはん』と、参考資料としてちこさんとこがさんが出演されたYouTubeの動画を各自で鑑賞し、視聴しての感想をグループディスカッションや代表者による発表を通じて共有を行いました。
発表の中では多く出た感想は、相手のことを思うこと(自分たちが良いと思う・納得するものを、相手に提供する)や、ていねいな仕事、食材・自然への感謝の念、妥協なき「こだわり」などで、弊社の債券ビジネスや顧客重視(クライアントファースト)という理念を体現するために参考にすべき点についても、多くの観点が提示されました。
自主製作作品である同作は、現時点では自主上映の企画(上映日程はHPにて適宜更新中)等に限られてしまいますが、同タイトルの書籍『美味しいごはん』(2018, サンマーク出版)も刊行されており、ゆにわの取り組みや、ちこさんが御食事ゆにわを立ち上げるまでのエピソード、映画『美味しいごはん』に関するエピソードなどが掲載されています。
1年半に渡る取材を通じて制作された自主映画『美味しいごはん』は、2017年にクラウドファウンディングを実施し、400人以上の支援者と目標の2倍の支援金額を集めました。 書籍版『美味しいごはん』によれば劇場での初公開は2018年夏に大阪と東京で実施され映画館は全席完売、全国各地から1000人以上の来場があったそうです。
ちこさんに密着した映画の内容は、ゆにわの取り組みや特色、関連店舗の紹介や御食事ゆにわのこだわり、ちこさんの周囲に集う人へのインタビュー(人を惹きつける魅力や尊敬を集める人についての考察)、食の力や米という神道との結びつきの深い象徴的な食材への着目(映画の中でも田植えや稲刈りが、重要な場面として使われます)などが含まれています。
映画『美味しいごはん』は密着型のドキュメンタリーなので、どのような点に着目するか、あるいは何を学びとるかといった点は個々でかなり異なります。以下では、発表の中で出た感想の一部をトピック毎に整理したものをご紹介します。
全般
・ていねいな食を考える機会になったほか、米が日本文化において非常に重要かつ象徴的な意味を持つ(イタリア人にとってのパスタのような?)ということを改めて感じた
・今の時代は金銭に換算し辛いメッセージは伝わりにくい。急がずじっくり、地道に発信することが大事。そういった点で、ゆにわの方々は自分たちのメッセージを発信するために映画『美味しいごはん』を作ったのだろうと感じた。
・業種に限らず、わかる人にはわかるが自分たちのビジネスや組織が周囲から難解あるいは不可解に見えてしまうということは少なくない。そのため、外に対して見せるためのこだわり(見られることに対する意識)や工夫も重要だということを、映画を視聴して感じた。
・扱うものは異なるが、料理も我々の債券ビジネスも、お客様の人生を豊かにするという目的は同一。ひとつのおにぎりをきっかけとしてちこさんの現在があるように、私たちも今まで学んできた信頼関係を基に、多くの方にきっかけや良い影響を与えられる存在であり続けたいと思った。
興味を持った点
・ごはんを「ひかり」と例える点や、食で人を幸せにするという共通の目的を持った人がゆにわに集まるところ。
・手間暇を惜しまず食に対してとことんこだわる姿勢(米の選別/ ハンドピッキングなど)が印象的。生き様を貫くことや表現が、飲食という形になっている。
白米なら精米したてを、玄米ならそのままを。白いバットの上に広げ、割れたり、かけたり、黒ずんでいるお米、籾殻、異物、元気のなさそうなお米を、一粒ずつ手作業で取り除いていきます。
(書籍版『美味しいごはん』)
・京都の農家に野菜を「頂きにいく」という考え方や、農家の人の気持ちになって野菜をていねいに洗うほか、食器や空間もていねいに整えることを重要視することが印象的。「まごころ」や「愛情」を篭めることで食事にひかりを与え、お客さんはそれを感じ取る。
・コンビニなどにはたくさん並んでいるおにぎりが並んでいるが、誰が作ったのか、それとも機械が作ったかなどは誰も気にしていない。近年では、ごはんは作る人によって味が変わるという原理的な部分も気にされてなくなっている。子供のころは作り手と食べる側の距離が非常に近い(相互認識が可能)という記憶があり、『美味しいごはん』では互いの距離が非常に近いことが印象的だった。
・神棚があると、やや宗教染みた印象を持つ人も少なくないが、ある神道系のお客様から聞かされた「神道は今では宗教扱いだが、本来は道徳とイコールであった」という話を聞いて非常に腑に落ちた。また、ちこさんの日々の取り組みは、崇高なる道徳心の賜物であり、それが「美味しいごはん」に結びついていると思った。
相手を思うこと
・御食事ゆにわがまかないを重視する点や、自分たちが食べて美味しいと思うものを相手にも食べてもらいたい、という気持ちをもつことが重要に感じた。日々のコミュニケ-ションや会話によって周りの人たちを幸せにする、というような印象を受けた。
・どんな状況であっても、まかないをおろそかにしないというのが印象的だった。まずは自分たちが満たされている状態だからこそ、「食べることは生きること」という「ひかり」を真に伝えられるという考え方は、メリルリンチの理念に通ずるものがあると感じた。
・無添加食材や栄養バランスが整った食事も大切だが、気持ちをこめて作ることが大切。普段だと時間に追われてしまい、気持ちをこめて料理をするということが疎かになりがちだが、心にゆとりを持ち、自分や家族を大切にするという気持ちをこめて、料理を作ることを心がけていきたいと思った。
・気持ちを込めて行動することはものづくり以外でも重要なことで、言葉を伝えるとき、気持ちがこもっているとき/そうでないときでは全く異なり、相手にも気持ちがこもっている/こもっていないというのが伝わると思う。
・ビジネスーンでも、気持ちを込めてお客様にご提案すると伝わり方も変わると考える。まずはお客様のことを考え、生活スタイルや家族のこと、今いらっしゃる環境を思いやり、なぜこの提案を今行うのか、お客様の今とこれからの幸せを思い描いて、気持ちを込めて伝えることが大事。また、「感謝すること」も大事だと感じた。
こだわることの重要性
・良いものを徹底的に、簡単に調べられないような情報を駆使して調べ、それを付加価値としてお客様に提供する姿勢は、業界を問わず取り組む人の姿勢の強さに影響される。徹底的なこだわりや手間暇をかけるというスタイルは人を選ぶほか、マニュアルを渡せばできる内容ではないので、人が重要となる。
・同業他社と差別化できるほどのこだわりや発信力を、会社としても個人としても磨いていく必要があると感じている。また、こだわりが強くなればなるほど理解・共鳴する人は減ってしまうが、わかる人だけわかれば良いという開き直りではマーケットの縮小を招いてしまう。
・こだわりをなくすと、チープかつ均質化されたものになってしまう買う人の数は増える一方、提供する物の差別化ができなくなるため、バランスのとり方が大事。こだわりは自信の根源なので捨てるべきではないが。わかってくれる人の数を増やす努力が重要となる。
ビジネスとの関連付け
・食べ物からもらった「ひかり」を他者とシェアしていくという発想から、食をビジネスに置き換えて考える。
・当社の理念は、まず第一にクライアントフォーカスであるが、お客様と向き合う際、ややテクニカルなものに走りすぎていると感じることもある。それゆえ、いまいちど素直さや道徳心を持ってお客様に接し、信頼関係の構築や提案のプロセスを大事にしたいと、改めて考えた。
・食も我々も仕事もお客様の人生を豊かにするという共通点がある。金融商品に関しては投資家の方は必ずしも商品に精通しているわけではないので、お客様が投資されるものがオーガニックなものか、添加物はどうなのかという点を我々がきちっとチェックし、お客様にとって良いもの、経済的・財務的な健康に資するものを提供するという意識を持つことが大切。
・今日の金融業界では、道徳心が消失してしまっている。高度な分析に基づいた説明を行えば良いとしながらも、その実は流れ作業のようにお客様に対応し、お客様のことを思わないのが当然という風潮になっているのが問題点であり、個人金融資産が貯蓄から運用にまわらないことが続く原因のひとつかもしれない。
・外国債券のセカンダリー営業では、 顧客がマーケットや債券の動向を目にすることがないので、メンテナンスや個々のアフターフォローが重要になってくる。それが顧客の立場に立って、ニーズに合う債券を探し出す=相手の胸中や要望を汲み取り、誠意をもって行動していくことが求められるという点に、ゆにわの取り組みと弊社の外債ビジネスとの共通点と感じた。
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・生命力を高める日常の実践(3) [6/20公開]
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参考動画
・衝撃的な食の真実!添加物大国「日本」の末路|及川幸久×ちこ×川嶋政輝