1. 楽天の債権マルシェを見てみよう
株式投資と比べ購入のハードルが高そうな外国債券ですが、楽天証券が提供する債券マルシェでは、買付単位が低く比較的少額(2,000米ドル、約30万円)から投資ができる外国社債銘柄が多く、各時点における価格も分かりやすいという点で、国内証券の中でも魅力的なサービスが提供されています。
今回は、特に非常に長い年限の社債への投資を行う場合に、どのような特徴を有する業態を選ぶべきなのか、という点について確認していきたいと思います。
2. 社債発行企業に選別に大事なこと(信用格付けとビジネスモデル)
社債への投資を行う際には、発行企業の選別が重要です。社債は、株式とは異なり短期的な値上がりを目的とした投資を行う証券ではありません。長期にわたり保有を継続しながら、安定した利払いを受け取り続けることを目的とした投資が目的の金融商品となります。
ですので、長期にわたりずっと経営が安定し続けるとの安心感をもって、保有銘柄を選ばなければなりません。
債券の利回りが高い企業の中には、短期的には問題がなくても、長期間にわたって同じ強みを維持し継続できないリスクを懸念された結果、非常に高い利息(社債の利率など)を支払わなければ、社債の発行、つまり市場からの借金が出来なかった企業も一部に含まれます。ですから、債券の利回りが高い銘柄というだけでは、長期の社債を保有し満期までの投資期間にわたってその企業を信頼し続ける理由にはなりません。
この企業なら長期投資でも信頼できる、と判断するには、一般に2つの大切な材料があります。「信用格付け」と「ビジネスモデルの安定性」です。
3. 信用格付の重要性とその限界
債券投資で、元金や利金の支払いが発行企業の破綻などにより支払われないことを「デフォルト」と呼びます。また、デフォルトが起こるリスクのことを「信用リスク」と呼びます。先進国の国債などには信用リスクはほとんどありませんが、社債などには一定の信用リスクが存在します。しかし、個人を含む一般の投資家が、詳細な企業の財務分析を行い、支払い不履行の可能性を評価することは難しいです。
こうした信用リスクを表す指標である「信用格付け」を中立で信頼できる第三者の立場から分析・評価し公表するのが「信用格付機関」です。 信用格付けが低いほど、社債を発行した企業の倒産などによる支払い不履行(デフォルト)の可能性が高くなります。以下の表に信用格付けの例を示しました。
各格付機関は社債発行企業に対して信用格付け(発行体格付け)を付与しています。また、各企業が発行する個別の社債に対しても信用格付け(個別債務格付け)を付与しています。ただし、通常の社債として最も一般的な無担保シニア(優先)社債の個別格付けは、どの年限の社債に対しても共通で、発行体格付けと同じです。つまり、信用格付は現時点において、発行企業が社債等の金融債務を返済する能力や意志についての格付会社の意見を示してはいるものの、3年満期の社債と20年満期の社債で投資期間に応じた別々の評価を行ってはおりません。
一般に、信用格付機関が想定する信用リスクの評価期間は2~3年(格付け見通しを含んで5年程度)とされています。また、株式アナリストのレポート等に示される予想利益なども一般に最大でも2~3年程度先までしか示されておりません。
このように信用格付けは社債投資において非常に重要な評価基準ではあるものの、10年~30年債のように非常に長い残存期間の社債を継続的に保有する場合の、保有期間全体にわたる投資リスクを見通すことを目指しているわけではないのです。
4. 長期投資で重要な「ビジネスモデルの安定性」
では、10年~30年といった非常に長い年限の社債投資を行う場合に、投資家にはどのような観点が必要なのでしょうか。ここで最も大切な評価軸は、「ビジネスモデルの安定性」です。例えば、いくら足元の業績が良かったり高成長を示していたりしたとしても、
・時代の経過と共に技術的に陳腐化しやすい事業
・他の企業が新規参入しやすく厳しい価格競争や選別にさらされやすい事業
・消費者の信認などを失った場合に容易にブランド価値を失いやすい事業
などでは20年以上の超長期債を安定保有する対象としてはビジネスモデルを信頼するには不充分です。短期保有で値上がり益を目指す株式投資と、長期保有により元本を確保しながら安定利回りを得ることを目指す長期債投資では、考え方が全く異なるのです。
それでは、どのような発行企業が長期債の投資に向くのでしょうか。
– 規制などにより厳しい参入障壁があり、新たに強力なライバル企業が参入しにくい事業
・公益性が高く非常時にも国家などから公的な支援を受けやすい事業
・ 社会インフラなど必要不可欠で代替の効かない事業
・ 保有している企業の資産価値が非常に大きく、かつ劣化しにくい事業
こうした条件を満たす事業を行っている産業・業態、いわゆる「規制業種」では新規参入障壁が高く、逆に言えばが長期間にわたり今の主要企業の「ビジネスモデルが安定」して維持されやすく、長期債の投資対象として考えやすいことになります。典型的な業態として、大手銀行、広域送電網を持つ電力会社、広域無線通信会社、広域鉄道会社、などが挙げられます。
では次のコラムでは、どの様に個別の発行企業を選別するのか、について考えてみましょう。
次回記事: 米ドル建社債投資の始め方・選び方(2)
国内債券のリスクと費用について
外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。
国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。
外国債券のリスクと費用について
外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。
外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。
商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号