とっつきにくい金融用語について、クイズ形式でご紹介します。
第一回目は、私たちの得意分野「債券」からの出題です。
問題
海外の発行体(企業や政府)が、別の国で、その国の通貨建てで発行する債券があります。
海外の発行体が日本市場で円建てで発行する債券のことを「サムライ債」と呼びます。
以下のうちサムライ債などとは違う仕組みの債券はどれでしょうか?
- カンガルー債
- パンダ債
- キムチ債
- ブルドッグ債
正解:3のキムチ債
1. カンガルー債=海外の発行体がオーストラリアで豪ドル建で発行する債券
2. パンダ債=海外の発行体が中国で人民元建で発行する債券
4. ブルドッグ債=海外の発行体が英国でポンド建で発行する債券
で、サムライ債と同じ仕組みですが、
3. キムチ債は、海外の発行体が韓国で米ドルなどの外貨建てで発行する債券のことを言います。韓国でサムライ債と同じ仕組みの債券は、アリラン債といいます。
海外の発行体にとっては、日本の低い金利で資金調達できるサムライ債、発行数はあまり多くありませんが、2022年はフランスの自動車大手ルノーが、個人投資家向けのサムライ債を発行しました。
ところで日本でサムライ債を発行するのはどういう発行体でしょうか?
現存するサムライ債で見てみると、圧倒的に多いのは金融機関でその次が公益事業や政府です。また国別で見るとフランスがダントツで、イギリス、韓国と続きます。世界中で金利が高くなっている中、金利の低い日本で調達できるサムライ債ですが、ルノーのように一般的な事業会社のサムライ債は数少ないようです。
これは、国や金融機関は外貨を持つこと自体が政策や経営上に役に立つことがありますが、事業会社では直接の資金使途がない限り、本国と異なる資金を調達する意味があまり大きくないからです。日産との資本提携関係を緩くしているルノーが、今後、サムライ債を発行するかどうかは分かりませんね。
国別・セクター別サムライ債発行数(2023/9現在残高がある債券のみ)