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【債券Q&A】ハイブリッド劣後債投資のメリット・デメリット

【債券Q&A】ハイブリッド劣後債投資のメリット・デメリット

このシリーズでは、一般的な債券の知識に加え、2023年の市場環境を踏まえた債券投資の考え方をQ&A方式でお伝えしています。主な投資対象の債券として想定しているのは、低金利の円建て債ではなく、相対的に高金利の外貨建て債であり、これらを活用した運用の考え方をお伝えしています。

Q48. 銀行劣後債の商品性の違いは?

同じCoCo債(ベイルイン可能な債券)の中でも、期限付劣後債(Tier2)と永久劣後債(その他Tier1)では性格が大きく異なります。

期限付劣後債は監督庁から実質破綻認定を受けない限りは通常の債券に近い性格をしております。

一方で永久劣後債は期限付劣後債とは異なり、元本や利払いについて実質破綻認定時以外にも様々なリスクがかかりますが、その分だけ利回りも高い商品となっています。


永久劣後債(CoCo債)の元利金支払にかかわるリスクとして、まず元本について、実質破綻認定を受けなくとも経営が悪化し自己資本比率(CET1)が一定水準(5.125%または7%)まで低下した場合に、元本が普通株式に転換、削減されてしまい、最悪の場合には元本が全損するリスクが存在します。

また、自己資本比率(CET1)が一定の水準まで低下した場合に、利払いを制限(または停止) することを監督官庁より求められる仕組みとなっているほか、商法上や会計上の理由など金融規制以外の決まりによって、その期に定められている分配可能額を超えた場合に利払いが制限・停止されてしまうこともあり、利払いに関しても毀損するリスクが存在しています。

Q49. ハイブリッド劣後債投資のメリット・デメリット

この章で紹介したハイブリッド劣後債は、かなり複雑な商品性となっております。このため投資にあたってもいろいろなメリット・デメリットがあります。

[ハイブリッド劣後債のメリット]

・一般に利回りが高い。ただし、最終利回りが確定しているわけではないので、個人投資家の運用においては直利(=クーポン/債券単価)が高い債券など、確実に得られるクーポンが高い水準の債券の方が適している場合がある点に注意。

・初回コール日に早期償還されなかった(コールスキップが生じた)場合など、機関投資家が好まない状況が生じ需給要因で価格が下がった場合などには、個人投資家には逆に投資機会となる場合がある。

・ 事業劣後債や銀行のB3T2債など償還日が定まっている劣後債では、元利金の支払い停止リスクは無担保シニア債/非優先シニア債等と基本的に同じ。破綻時の弁済順位により利回りが乗っているため、シニア債に近い考え方で投資リスクを評価しやすい。

[ハイブリッド劣後債のデメリット]

・債券の価格変動リスクが大きい。

・格付と残存期間だけでは、利回りやスプレッドを評価しにくい(シニア債との違い)

・初回コール日に償還されなかった場合には、償還日が非常に先になる可能性がある。

・発行体の格付けが下がった場合に、さらに大きく格下げが引き下げられることがある。

・商品の仕組みが難解。特に銀行の永久劣後債(AT1債)では制度などに起因したベイルイン・リスクが存在する。



こうした特性があるため、ハイブリッド劣後債の投資においては、投資家自身も一定の商品知識が必要になります。さらに金融市場の情報を入手できる市場のプロフェッショナルであるアドバイザーなどを介して取引を行うことが、望ましい商品といえるでしょう。



国内債券のリスクと費用について


外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。

国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。

外国債券のリスクと費用について

外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。

外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。

商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号




上田祐介

上田祐介

5バリューアセット株式会社 副社長兼インベストメント・ストラテジスト。1991年より大和総研でキャリアを開始。2001年より複数の欧州系・米系大手投資銀行でクレジット関連業務を担当。2010年よりメリルリンチ日本証券の、2017年からは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・クレジットストラテジストとして国内外のクレジット市場の調査チームを統括。日経ヴェリタス等の外部顧客評価で実績を上げる。

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