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【債券Q&A】債券インデックス投資のメリット・デメリット

【債券Q&A】債券インデックス投資のメリット・デメリット

このシリーズでは、一般的な債券の知識に加え、2023年の市場環境を踏まえた債券投資の考え方をQ&A方式でお伝えしています。主な投資対象の債券として想定しているのは、低金利の円建て債ではなく、相対的に高金利の外貨建て債であり、これらを活用した運用の考え方をお伝えしています。

Q40. リスクフリー債券のインデックス投資の特性は?

ここでは、リスクフリー債のインデックス投資が、どのような特性を持っているのかを確認しましょう。以下の表には米国国債の残高構成を示しました。図表に示した通り、米国国債は多様な年限やタイミング、商品タイプで発行されています。


では、こうした米国国債全体に連動するインデックス商品に投資を行うと、分散投資になるのでしょうか。以下では、Bloomberg米国国債総合インデックスのデュレーション(平均償還年限と似た指標)と利回りの推移をグラフで比較しました。

Q41. クレジット債のインデックス投資の特性は?

ここでは、クレジット債のインデックス投資が、どのような特性を持っているのかを確認しましょう。以下の図表ではBloomberg米国社債総合インデックスのデュレーション(平均償還年限と似た指標)と利回りの推移をグラフで比較しました。また米国社債の総合インデックスとデュレーションの近い国債インデックスとの利回り格差の推移を比較しました。

米国の社債は、おおむね7-9年の間のデュレーションで推移しています。最近のデュレーションに近い米国7年国債の利回りと比較すると、時期により異なるもの信用スプレッドが寄与するために、国債よりも0.75~2.0%程度高い利回りを示す時期が多くなっています。

クレジット債の投資で安定した利益を得るためには、個別債を組み合わせた分散投資が欠かせません。しかし、ここで示したような社債のインデックスはそもそも現実的に可能な限り大きいクレジット債の分散投資を行った場合を模倣しています。このため、米国社債総合インデックスを構成する各社債の保有比率はかなり低くなっています。

クレジット債のインデックス投資では、国債とは異なり非常に多くの債券への分散が行われています。また、超過収益の源泉もイールドカーブや頻繁な売買ではなく、信用スプレッドへの分散投資となっています。よって、米国社債全体に連動するインデックスでは、インデックス自体が有効な分散投資になっている可能性が高くなります。ただし、投資信託になっている場合には、加重平均スプレッドに対して過度に大きな運用報酬が課せられている商品もあることに注意が必要です。投資家が個別社債投資を行うべきか、社債の投資信託を買うべきかを考慮する際には、最低取引金額や超過収益とコストのバランスなどを考慮すべきでしょう。

Q42. 債券インデックス投資のメリット・デメリット

先に示した通り、2020年以降のグローバル債券市場では、欧米の中央銀行が類似の金融政策をとったことで株式や債券の価格が上がるときも下がるときも連動しやすい市場環境が続いています。このような資金需給に連動した市場環境では、一時的に長期的なトレンドが示す分散投資が有効に寄与しにくい状況が生じ得ます。よって、インデックス投資を活用することが有効かどうかは、運用の目的や資金の入れ方などによっても大きく変わります。

個人の方で、長期間にわたり一定金額を追加投資しながら積み立てるような運用を考える場合には、インデックス投資やアセット・アロケーションは引きつづき有効な投資手段です。ただし足元の市場環境では、手数料率の安いパッシブ型の債券インデックス連動の投資信託などが、有効に寄与しやすいでしょう。

一方、既に一定の資金を保有されている個人の方が、2023年の段階でまとまった金額の投資を行う場合には、デュレーションが長期に固定される債券インデックス型の投資が有効になるとは限りません。外貨建てで短期の個別債投資などを活用して、より高いインカム収入を得ながら時価変動リスクを抑制することが、インデックス投資よりも有効である可能性があります。

 このように足元の市場環境を勘案した場合には、それぞれの投資家の資産の保有状況や運用目的によって、債券のインデックス投資の有効性は変化し、メリットとデメリットが入れ替わり得る、という点を意識しておく必要があるでしょう。



国内債券のリスクと費用について


外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。

国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。

外国債券のリスクと費用について

外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。

外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。

商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号

上田祐介

上田祐介

5バリューアセット株式会社 副社長兼インベストメント・ストラテジスト。1991年より大和総研でキャリアを開始。2001年より複数の欧州系・米系大手投資銀行でクレジット関連業務を担当。2010年よりメリルリンチ日本証券の、2017年からは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・クレジットストラテジストとして国内外のクレジット市場の調査チームを統括。日経ヴェリタス等の外部顧客評価で実績を上げる。

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