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【債券Q&A】なぜ株式と債券は連動して下落しているの?

【債券Q&A】なぜ株式と債券は連動して下落しているの?

このシリーズでは、一般的な債券の知識に加え、2023年の市場環境を踏まえた債券投資の考え方をQ&A方式でお伝えしています。主な投資対象の債券として想定しているのは、低金利の円建て債ではなく、相対的に高金利の外貨建て債であり、これらを活用した運用の考え方をお伝えしています。

Q38. なぜ株式と債券は連動して下落しているの?

2022年以降の株式と債券の連動した下落の背景には、世界の主要中央銀行の政策スタンスが大きく関係しています。

2020年頃、世界の主要中央銀行は、コロナ下で停滞した経済・社会活動を支えるために大規模な金融緩和を実施しました。これにより、世界中で多額の資金が市中に供給されたため(下図)、余剰資金を活用するため株式・債券関係なく投資が加速しました。一方で、2021年になると、経済が正常化してきた半面、物価の上昇やそれに連動した株価や債券価格の上昇が巻き起こりました。

ところが2022年に入ると、インフレを深刻視した欧米主要中央銀行が反転してインフレ対策を目的とした金融引き締めを実施し始めました。これにより、インフレは落ち着きましたが、市中から資金が吸い上げられてしまったことに起因して株式や債券の価格が下落してしまいました。

したがって、2022年以降の株式・債券価格の下落はそれ以前に起こった下落要因とは大きく異なり、世界的な資金量の増減に影響されて起こったものであるため、伝統的な逆相関的連動にならなかったと言えます。

また、2023年以降も欧米の中央銀行は引き続き正常化を継続する可能性が高く分散投資が機能しない状況が続く可能性は高いと言えます。例外として欧米の中央銀行が景気悪化に対応して金融政策を固定化した場合、市場が伝統的な特性を持ち直す可能性があると言えるでしょう。

Q39. アクティブ型投資は有効か?

アクティブ運用とはプロのファンドマネージャーが銘柄や対象タイミング等を選別して投資を行う運用方法です。これに対してパッシブ運用では銘柄の選定などは行わずに無作為に投資を行うことで市場の指数に沿った運用を行います。

そのため、それぞれの運用戦略の前提について、(1)アクティブ運用では「専門家の分析によって市場平均と比較して高い報酬に見合うだけの運用成果が得られる」、(2)パッシブ運用では「中長期的に均すと専門家の分析では市場平均と比べて、運用報酬に見合うだけの運用成果を出し続けることはできない」という、全く異なる運用哲学の前提条件が存在します。

 下図は、モーニングスターの開示データに基づき、国内債券を投資対象とした公募株式投信に関する累積リターンの傾向を、2022年末の純資産残高上位20ファンドについて比較した集計結果です。トータル・リターンで比較しても、アクティブ型とパッシブ型のトータル・リターンには大きな差はありませんでした。パフォーマンスが相対的に勝っていたのは、インフレ連動債などを組み込んだセミアクティブ型のファンドです。一方で、信託報酬はアクティブ/パッシブ間で約2倍程度の差となっていました。

債券のアクティブ・ファンドはハイブリッド・劣後債型など明らかに異なる性格の債券を組み入れており、1年間と3年間ではパフォーマンスの優劣が逆転するなど、異なる効用が存在したことをうかがわせるものではありましたが、明示的に優位なパフォーマンスを示したわけでもありません。

アクティブ・ファンドが勝てない背景には、コロナにおける資金の急激な量的増減に伴い国内外問わず過去の経験則が通用しない市場環境になってしまったことが挙げられます。


国内債券のリスクと費用について



外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。

国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。

外国債券のリスクと費用について

外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。

外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。

商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号


上田祐介

上田祐介

5バリューアセット株式会社 副社長兼インベストメント・ストラテジスト。1991年より大和総研でキャリアを開始。2001年より複数の欧州系・米系大手投資銀行でクレジット関連業務を担当。2010年よりメリルリンチ日本証券の、2017年からは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・クレジットストラテジストとして国内外のクレジット市場の調査チームを統括。日経ヴェリタス等の外部顧客評価で実績を上げる。

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