このシリーズでは、一般的な債券の知識に加え、2023年の市場環境を踏まえた債券投資の考え方をQ&A方式でお伝えしています。主な投資対象の債券として想定しているのは、低金利の円建て債ではなく、相対的に高金利の外貨建て債であり、これらを活用した運用の考え方をお伝えしています。
Q22. クレジット債とは?
クレジット債への投資(発行体への貸付け)において、法的な義務がある元金または利金の支払いが行われないことをデフォルトと呼びます。デフォルトが発生する潜在リスクのことを「信用リスク」と呼びます。元利金の支払い条件が事前に定められた確定利付証券(債券)のうち、信用リスクがあるものを「クレジット債券」と呼びます。(なお、信用リスクがない自国通貨建ての国債などの債券は、「リスクフリー債券」※と呼ばれます。)
デフォルトが発生すると、債券投資家は得られるはずだった資金を回収できず、損失を負うことになります。なお、デフォルトと認定されるケースは以下のとおりです。
※金融経済に関する学問上「リスクフリー」と呼んでいますが、あくまで信用リスクがないという意味です。外貨建て投資における為替変動リスクについては含んでおりません
企業デフォルト事由の例
債権者の法的破綻(倒産・清算など) | 裁判所が介入して法的な破綻手続きを行う |
支払い不履行 | 債権者に一定期間支払いが滞った場合、 債権者の主導で法的手続きに移行される |
国家デフォルト事由の例
モラトリアム | 債務者が債務の支払い猶予や 支払い停止を宣言すること。 |
[クレジット債券への投資]
ー利回り/時価変動/これらの見通しだけではなく、信用格付け/業種/個別発行体の特性など、さまざまな観点から投資判断を行う必要がある
―投資リスクは、時価変動リスクだけではなく、債券が債務不履行になる信用リスクもある(ただし、信用リスクが生ずる確率は一般に低い)
―投資リスクの低減には、小口の分散投資も重要
―債券の銘柄選択は、発行体、年限、担保順位など、さまざまな観点が必要
―利回りの水準は、国債(リスクフリー債)よりも高い
Q23. 信用格付とは?
信用格付けとは、信用リスクの多寡を示す指標で、格付記号と+/-などを組み合わせたノッチという単位で信用力の強さ/弱さを示しています。
信用格付けは、中立な「信用格付機関」が公表することになっています。代表的な信用格付機関として、日本ではR&I (格付投資情報センター)とJCR(日本格付研究所)、海外ではMoody’s(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)やS&P(S&Pグローバル・レーティング)、Fitch (フィッチ・レーティングス)などが挙げられます。
ムーディーズを除く多くの格付け機関では最も高い評価であるAAAから順に、下表のように定義づけられています。またAAA格からBBB格(ムーディーズではAaa格からBaa格)のノッチ帯は信用力が高くデフォルトリスクが低いことから、投資先に適しているとして投資適格(IG)と呼ばれ、BB格以下のノッチ帯をデフォルトリスクが存在する反面、リスク分の利回りが高いことから投機級(HY)と呼ばれています。
ノッチが高い(表の昇順)ほど、リスクが低く利回りも低いローリスク・ローリターンの傾向が強く、ノッチが低い(表の降順)ほど、リスクが高い分、利回りも高いハイリスク・ハイリターンな傾向が強くなります(表を参照)。
一般的には、信用格付けが低いほど、社債を発行した企業の倒産などによる支払い不履行(デフォルト)の可能性が高くなります。なお、信用格付けはあくまで信用格付機関の意見を表象したものであり、格付機関では、信用格付けが絶対的なリスクを正しく表しているかどうかを保証していません。
Q.24 信用格付の種類は?
信用格付けにもさまざまな種類があります。
信用格付は大きく分けて個別債務格付と発行体格付の二種に分類されており、それぞれが長期格付と短期格付に分類されます。
個別債務格付とは、個々の債務等が約定通りに履行される確実性を表した格付け機関の意見です。一方、発行体格付は、債務者が追うすべての金融債務についての総合的な債務履行能力を表した格付となります。
一般に、短期格付は短期債務の不履行の可能性(デフォルト確率)を評価するものの、デフォルトが起きた場合の回収可能性については反映せずに評価します。
これに対し、長期個別債務格付けはデフォルト確率に加えデフォルトが生じた場合の回収可能性の違いについても評価に反映しています。
例えば、倒産法制やその他債権者の権利に影響しうる法律に基づく破産や会社更生などの手続きがあった場合に、金融債権保護の内容(保証の有無)や個別の金融債権の相対的地位(担保順位等)などが回収可能性の違いに影響します。こうした特性は個別の債務毎に異なるため、個別債務格付けには反映されますが、発行体格付けには反映されません。
ここでは、S&Pの格付定義を参照してみます。
個別債務格付 | 長期個別債務格付 |
短期個別債務格付 (定義がない格付け機関も) | |
発行体格付(ソブリン格付) | 長期発行体格付 |
短期発行体格付 | |
クレジット・ウォッチ | ポジティブ・ウォッチ |
ネガティブ・ウォッチ | |
格付アウトルック | ポジティブ |
ネガティブ | |
ポジティブ |
クレジット・ウォッチとは格付けの見直しを必要とする特別な出来事または短期的なトレンドに焦点をあてた、短期格付けまたは長期格付けの方向性に関するS&Pの意見を示すものです。
信用格付がプラスの方向への調整が検討されている場合はポジティブ、マイナスの方向の場合はネガティブと呼ばれています。通常は上限を90日として格上げ・格下げ・維持の判断が示されます。なおR&I「レーティング・モニター」も同義であります。
格付アウトルックは、長期格付けが中期的にどの方向に動きそうかを示したものです。一般的には投資適格水準の格付の場合は向こう2年間、投機的水準の格付の場合は向こう1年間の評価がされます。信用度が上がる・下がる・安定して推移する可能性がある場合「ポジティブ」・「ネガティブ」・「安定的」と表します。
国内債券のリスクと費用について
外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。
国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。
外国債券のリスクと費用について
外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。
外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。
商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号