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【債券Q&A】国債投資は安全なの?

【債券Q&A】国債投資は安全なの?

このシリーズでは、一般的な債券の知識に加え、2023年の市場環境を踏まえた債券投資の考え方をQ&A方式でお伝えしています。主な投資対象の債券として想定しているのは、低金利の円建て債ではなく、相対的に高金利の外貨建て債であり、これらを活用した運用の考え方をお伝えしています。

Q12. 国債とは?

国債とは、政府部門が市場から資金を借り入れるために発行する債券です。通常は、発行している国の名前を冠して「日本国債」、「米国国債」等の名称で呼ぶことが多いですが、USトレジャリー(米国利付国債)、ブンズ(ユーロ建てドイツ国債)など、特有の名称で呼ばれることもあります。

国債も、他の債券と同様に、支払い金利の種類や償還日までの期間などによって、分類することもできます。ただし、最も残高も多く一般的なのは、固定利付国債です。日本国債の固定利付債の場合には、利子は半年に1回支払われ、元本は償還日に償還されます。日本国債では、定められた償還日より前に、債券を額面金額で償還すること(繰上償還)はありません[1]

日本やアメリカなど、世界でも経済規模の大きい主要通貨を有する国の国債に対する投資のメリットは、国家が破綻する可能性が極めて低く、償還日には必ずリターンが確定することにあります。その反面、利回り自体は低めであるため、大きなリターンを期待している方には向きません。

 また、主要国の国債は、非常に取引量が多く、いつでも流通市場での売買により換金可能な点も特徴です。このように換金性が高い特徴を「流動性が高い」とも呼びます。一部の低格付け債券などでは、市場が大きく混乱したときなどに、流動性が低下し、換金できないままに時価が下がり続けてしまうこともあります。しかし、主要国の国債では、こうした流動性リスクが極めて低いことも、投資の安全性の裏付けになっています。

[リスクフリー資産への投資の特徴]

・投資年限に応じた利回り/時価変動/これらの見通しにより投資判断

・投資リスクは、期中に生じる時価変動リスクのみ(償還日まで保有した時には時価変動リスクなし)

・償還日まで保有すれば、同じ通貨上で想定外の損失は生じることはない

・債券の銘柄選択は、年限のみ

・ただし、利回りの水準は低い


[1] 平成10年12月以前に発行された国債については、券面に、繰上償還を行うことがありうるとの記載がありますが、これについても、実際に繰上償還を行うことはないとの方針を財務省が示しています。

Q13. 安全な国債とそうではない国債とは?

国債は国の借金ですから、少なくともアメリカや日本などの基軸通貨国では、元利金の支払いが滞る債務不履行リスクは基本的にありません。もちろん、仮に財政危機に陥り、国が信認を失えば、金利の大幅な上昇に伴い国債価額が下落し、家計や企業にも影響を与えるとともに、国の円滑な資金調達が困難になり、政府による様々な支払いに支障が生じるおそれがあります。このため、こうした事態を招かないよう、それぞれの国は、財政規律を維持し財政健全化に努めていく必要があります。

ただし仮にこうした事態が起きても、基軸通貨国では中央銀行の国債引き受けにより、元利金の支払いは維持されます。しかし通貨や金融政策を他国と共有しているユーロ通貨圏や他国の通貨で国際取引を行う必要があるローカル通貨国などでは、他国の判断や市場環境などにより、支払い不履行が生じることがあります。(例、ギリシャ、アルゼンチン)

このため、支払い不履行の起こりにくさから考えると、リスクの低い国としては、順に自国通貨と中央銀行が独立している国、人民元など基軸通貨ではないが独立した通貨と中央銀行を持つ国、共通の基軸通貨を使っている地域の主要国、共通の基軸通貨を使っている地域の主要国以外の国、その他のローカル通貨国の順になっております。したがって基軸通貨の自国通貨建て国債に投資している限り、元利金の支払いが止まる可能性は、きわめて低いと考えられます。(政府機能が停止するような戦争や大災害などを除く、ユーロ圏を除く)




国内債券のリスクと費用について


国内
債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。
国内債券の取引にかかる費用
国内債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。

外国債券のリスクと費用について

外国債券の取引にかかるリスク
債券は、債券の価格が市場の金利水準の変化に対応して変動するため、償還前に換金すると損失が生じるおそれがあります。また、債券を発行する組織(発行体)が債務返済不能状態に陥った場合、元本や利子の支払いが滞ったり、不能となったりすることがあります。外国債券(外貨建て債券)は為替相場の変動等により円ベースでの損失(為替差損)が生じたり、債券を発行する組織(発行体)が所属する国や地域、取引がおこなわれる通貨を発行している国や地域の政治・経済・社会情勢に大きな影響を受けたりするおそれがあります。

外国債券の取引にかかる費用
外国債券を購入する場合は、購入対価のみお支払いいただきます(手数料相当分が購入対価に含まれます。委託手数料はかかりません)。また、円貨から購入する場合は、債券の発行通貨に為替交換する費用が生じます。この費用は債券の発行通貨によって異なります。

商号等 5バリューアセット株式会社/金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第437号

上田祐介

上田祐介

5バリューアセット株式会社 副社長兼インベストメント・ストラテジスト。1991年より大和総研でキャリアを開始。2001年より複数の欧州系・米系大手投資銀行でクレジット関連業務を担当。2010年よりメリルリンチ日本証券の、2017年からは三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・クレジットストラテジストとして国内外のクレジット市場の調査チームを統括。日経ヴェリタス等の外部顧客評価で実績を上げる。

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