以下のコメントは、より顧客に寄り添った存在として日本のIFA(金融商品仲介事業者)を変えたいとの理想の下に、5バリューアセット株式会社を立ち上げた、斉藤彰一の経営理念を述べたものです。
福沢諭吉に学んだこと
「私の生涯の中に出来(でか)して見たいと思う所は、全国男女の気品を次第々々に高尚に導いて真実文明の名に愧(はず)かしくないようにする事と、仏法にても耶蘇(やそ)教にても孰(いづ)れにても宜(よろ)しい、之(これ)を引立てゝ多数の民心を和(やわ)らげるようにする事と、大(おお)いに金を役じて有形無形、高尚なる学理を研究させるようにする事と、凡(およ)そこの三ヶ条です。」
父が59歳で亡くなったからか、私も50歳を過ぎた頃から、「残りの限りある人生を如何に生きるべきか?」と考えるようになった。このような問いに対しての答えとして、私が最も参考にしているのがこの福澤の文章である。私はこれになぞって、ぼんやりではあるが、次の3つで考えている。
① 日本のWM(ウェルスマネジメント)の発展に貢献すること
② 世のためになっている宗教的な修養を大切にすること
③ 世に必要だと思う知識人を支援すること
何よりも①である。
断っておくが、私は個人的に恥ずかしがり屋ではなく、田舎者でも学歴が低くても、そんなことは昔からそれほど気にならない、鈍感なタイプである。
また、日本人が欧米人と較べて一般的にダメだとも思っていない。今日の日本にも立派で尊敬すべき人は大勢いると思っている。
ただ、私が30年以上携わったWMについては、昔から今日に至るまで、欧米と較べてまだまだ大きな差があると思っている。そしてその差が小さくなっていく兆しはほとんど感じられない。
そもそも日本のWMの関係者は、この現実に目を向けるべきだと思う。昨今EB債関連のビジネスが大きな問題となっているが、このようなことの繰り返しでは、業界として顧客の信頼を回復することは非常に難しいと思っている。
福澤がこの文章を書いた時代背景では、欧米列強に日本が支配される怖れがあったので、日本国民を欧米に向けて、恥ずかしくないように、高尚に導く必要を感じていたことと思う。
我々のWMはこのままの状態であれば、欧米との差は縮まらず、日本人にはWMは出来ないとのレッテルを国際的に貼られことになりかねないのではないか。我々日本人の民度はもっと高いはずである。
私のこれからの人生と、私のこれまでに築いた資産は、日本のWMを少しでも立派にするためにあると私は考えている。